栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

フードデリバリーテクニックの違い

2008-08-26 11:02:44 | 視点
 今回も読者の投稿をお届けします。
ほり編集事務所の堀さんから寄せられたものです。
 堀さんといえば4年前の栗野的視点で「最近増えた胴長短足の若者」を書いたとき
のコメントを思い出しますね。本ブログに収録しているので興味がある方はご覧下さい。

 商品のデリバリー・テクニックという点でふく鮨三太郎さんのそれは、競合企業である「銀のさら」((株)レストランエクスプレス)に劣っていたのではないか…と考えています。

 (株)レストランエクスプレスは、フライドチキンや釜飯の宅配なども行っている(同社の江見社長ご自身も、起業前はフード・デリバリー企業の従業員だったようですね)だけに、鮨に関してもデリバリー業務の重要性をよく知っていて、宅配効率化を十分に研究していたようです。
 例えば、盆や正月、成人式、七五三シーズンなど一般に鮨の出前需要がグッと高くなるシーズンには、ヤマト運輸が宅急便事業で用いている「エリア・ターミナル方式」(配送が集中する住宅街やマンション街に行ったトラックを、いったん近隣のターミナルポイントに待機させ、そのエリアへの貨物を積んだ他トラックの荷物を全て待機トラックにバトンタッチするやり方)と似たようなやり方を採用していて、宅配時間の短縮と省力化を着実に進めていました。

 デリバリー用バイク1台ごとに携帯電話を割り振り、配達が終了した段階で同一方向への宅配の有無を確認させ、店舗と宅配地点の途中で合流して商品を受け渡す…といったやり方も、本部側が指導していたようです。
 もちろん、それらデリバリー便の動きと現在地は店舗側で把握していて、宅配の注文を受けた際も、デリバリー便の動きに応じた宅配予定時間を伝えるなどの配慮も怠らなかったようです。


 なるほど。よく考えていますね。
後からその地域を攻めるところは先発組と同じことをやっていても勝てないわけで、新しい「何か」を付加する必要があると思いますが、その「何か」の内容が非常に重要になるということですね。

 私の自宅の近所には、ふく鮨三太郎と銀のさらの店舗がほぼ同距離で立地していて、どちらの店にも出前の注文をしたことがありますが、ふく鮨三太郎の場合は「はい、それでは…。だいたい●●分後にお持ちします」という対応だったのに対し、銀のさらは「何時頃にお持ちしましょうか?ええ、お急ぎでも結構ですよ」と、完全に宅配時間をコントロールできるぞと言わんばかりの余裕(?)を感じさせる対応だったのが印象的でした。

 ご近所の親しいご主人も似たような印象を受けたのか、「昨夜、銀のさらって店に鮨の出前を頼んだんだけどね、あそこ、時間に正確だよねぇ」という話題が世間話のついでに出てきたことを思い出します。


 「何分で届けます」と「ご希望の時間に届けます」の違いですね。
究極のサービスでしょう。

 物事は段階に応じて戦略戦術を変える必要があると思っています。
ところが、これが案外できない。
内部にいると目先のことばかりしか見えなくなるからです。

 例えば
競合がいないときのやり方、
競合が現れた時のやり方、
商品の初期段階と中期段階ではそれぞれ違うはずなのですが、
これを同じやり方でずっとやってしまう。

 どの業界にでも通用ことですが、「成功体験を引きずるな」というのはこういうこ
となのでしょうね。

 もちろんそれ以外にも、栗野さんがご指摘だった原価高や外食離れ、その他、
様々な要因が重なっての民事再生法申請なのでしょうが、いずれにしてもピザ宅配
をはじめフード・デリバリー業種にとって、デリバリー・テクニックは客の信頼感
にもつながる、非常に重要な問題なんだという思いが強まった一件でした。


 そうですね、市場が成熟してくると、いままで以上に様々な方面に目を向けて経営に当たらなければならないと思いますが、逆に経営者の方は気の緩みも出てくる頃です。
 それにしても民事再生法の申請が急増しています。
それだけ経営を取り巻く環境が急激に悪化しているということです。


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