中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。
栗野的視点(Kurino's viewpoint)
三流の国になり、ますます貧富の差が拡大するニッポン
栗野的視点(No.851) 2025年3月5日
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三流の国になり、ますます貧富の差が拡大するニッポン
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三流の国ニッポン--。ついこの間まで一流国の仲間入りをしていたと多くの
日本人が思っていたはずだが、いつの間にかアジアでも三流の国になっている。
なぜ、そうなったのか、いつから日本は三流国になったのか。
アメリカの圧力に屈し下降線
今この国の経済を表面的に支えているのはインバウンドと呼ばれる外国人旅行
客で、それは言うなら見かけの繁栄経済。ニッポンの国力(経済力)が落ち、円
安で安く旅行できるようになったから旅行客が来るようになっただけで、それで
ニッポン経済が潤っている(一部を除き)わけではない。
いうなら今のニッポン経済は見かけの好調、数字上の好調経済で実体経済を反
映したものではないが、政府や経済アナリストはこの数字を操り国民を納得させ
にかかっている。
国民の方も体感では悪化していると感じていても、「オエライさんが言うこと
が間違うわけない」とどこか諦め気味で、米騒動も物価高反対デモも起きる気配
はない。
それにしても日本の国力が低下しだしたのはいつ頃からなのか。
(略)
階層社会から階級社会へ
それが今やゴールデンウィーク、シルバーウィーク、盆、正月の連休は1,000
円高速どころか休日割り引きさえ廃止の実質値上げ。これでは連休利用の旅行を
止められたのも同じで、その影響は庶民ほど受け、せっかくの連休でも近場での
1泊旅行か日帰り旅行しかできない。
これではなんのための連休なのか分からないが、オエライさんや富裕層には関
係ない話だ。
少々宿泊費が上がろうと海鮮丼やラーメンが数千円しようと関係ないし、意に
も介さない。庶民が食べているサンマを食べた殿様が、こんなにおいしいものは
ないと城を抜け出し食べに行く落語の「目黒のサンマ」と同じで、常日頃高級・
高額品を食べている富裕層がたまに庶民の食べ物を食べて、「おいしいじゃない
か、これがこの値段なのは今までが安すぎたのだ」と嘯くのと同じで庶民感覚と
は大きくズレている。
かつて栄えた日本は中間層が支えたが今や中間層はいなくなり大半が下流へと
移行し、気が付けば日本から階層はなくなり、代わりに「階級社会」が生まれて
いた。
(略)
2極化した社会の先に現れるのは
1980年代から受け続けたボディブローが効き、国内の製造業は海外へ移転して
しまっているから国内の産業は空洞化し、80年代のアメリカと同じ状態に陥って
いる。
さらにバブル期を経験し、汗水流して真面目に働くのがバカらしいと考える者
が増え、ちょっとでも仕事がきつい職場は「3K」と称して避けるものだからマン
パワーを必要とする建設・建築や介護・医療、運送、接客などの長時間労働にな
りやすい職場、特に中小企業の現場が慢性的な人手不足に陥り、コロナ禍で一度
離れた人はそれ以後も元の職場に戻らなくなっている。
まさに忽然と消えたわけで、元の職場を離れた人はどこに吸収されたのか。一
部には大企業が吸収したという話もあるが、頭数だけ揃えればいいというわけで
はないだろうし、大手企業ほどデジタル化を進めているからかつてのように人を
必要としなくなっている。
日産自動車を例に挙げるまでもないだろうが大企業の場合は数千人、数万人単
位でリストラという名の人員整理をしているから吸収するより放出している人数
の方が多い。
人員整理の対象にされた人達が再就職できる場はあるのか。もちろん一部の人
は再就職できるだろうが、そうでない人もかなり出て来る。
博士号を取得している大学講師でさえ非正規で働かざるを得ない時代だ。受験
人口が多かった時代は予備校講師という職場もあったが今は予備校も倒産する時
代。毎年、雇用契約の延長があるかどうかを考えながらする研究生活では人生を
楽しむことさえできない。
かくして人は下流へ下流へと流されていき、一度、下流に流されれば上へ這い
あがることは難しい。家計が苦しければ子供を有名私立大学に行かせることも難
しくなるし、仮に地元を出て都会の大学に入学しても授業料や家賃その他のため
にバイトに明け暮れ、授業をまともに受けられなかったりする。
当然そうした生活は就職にも影響し、下流から這い上がるのは難しく、その状
態が固定化されてしまう。固定化した階層=階級が形成される。
(以下略)
全文は「リエゾン九州」のHP内の下記「栗野的視点」に収録
http://www.liaison-q.com/kurino/3ryunippon1.html
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