栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

内部ルール上問題なかった?

2006-06-21 01:43:42 | 視点
 危惧したとおり後からボロボロ出だした。
福井日銀総裁は村上ファンドに1,000万円投資したが、利益は受け取っていない、現金化していないと弁明していた。
 ところが昨日、01年2月に242万円の運用益が分配金として振り込まれていたことが分かった。5年も前に利益が振り込まれていたわけだ。知らなかったわけがない。
これで利益総額も当初言われていた1,231万円から1,473万円に増えた。

 日銀総裁に就任した時、村上ファンドへの投資金を解約、あるいは信託銀行に預けるなどの措置をしなかったが、そのこと自体は「内部ルール上問題なかった」「内部規約に違反していない」という福井総裁の弁明を聞いていると、最近よく聞いた台詞
だと思う。
 そうライブドアの堀江氏も村上世彰氏も皆同じように「ルールに違反はしていない」「金を儲けることが悪いことなのですか」と開き直っていた。
福井総裁の発言も同じレベルだ。
こういう人が国の金融政策を行っていたのかと思うと薄ら寒くなる。

 しかも、どんどん辻褄が合わなくなってくる。
例えば2月に解約し、村上ファンドから資金を引き揚げたことも、村上氏が当初の志と違ってきたと弁明していたが、日銀が量的緩和政策を解除したのが今年の3月。解除すれば株価が下がることは予想されていたはず。

「村上氏の志が変化したから解約」したのではなく、株価下落によるリスクヘッジで解約したというのが本当のところではないか。
 実際、昨日、福井総裁のこの行為はインサイダー取引に当たる行為だとして、東京地検に告発されもした。
給与30%の自主返納で乗り切ろうという腹づもりのようだが、果たしてそれで済むか。
結局、辞任せざるを得ないだろう。


辞任なしで済まされるか日銀総裁

2006-06-21 01:02:34 | 視点
 村上ファンド事件の報道を見ていて改めて感じることは、「人は変わる」「理念を維持することは難しい」「金を前にすると皆変わる」ということだ。
 たしかに村上世彰氏も当時の通産省を辞めてファンドを立ち上げた時は崇高な理念を持っていたに違いない。

 しかし、ファンドの取扱額が飛躍的に増え、その上利回りも期待され出すと、当初の株主価値を高めるという理想とは別に儲けを優先してくる。
「金は魔物」とは昔から言われることだが、村上氏にしろ堀江氏にしろ、金を前にすると人が変わり、金の魔力に負け、魂を売り渡していったに違いない。

 ところで、福井日銀総裁の村上ファンドへの投資問題だが、結論から言えば辞めるべきだろう。
どんなに日銀の内規(職務上知り得た秘密での利殖行為を禁じ、在職中に株式などを取得・売却した場合には報告する義務があるetc)に抵触していないと言っても、国の金融政策を左右するトップの人間が一ファンドに投資していたこと事態が問題だ。
しかも、利益が1,000万円以上出ているというではないか。

 「出た利益は個人的に使うつもりはない」と言おうと、それは後付理論で、問題が発覚したから弁解しているに過ぎない感は否めない。
「李下で冠を正すな」という叱責程度で済まされる問題ではないだろう。
シンドラー社製エレベーターの問題の時もそうだが、問題が発覚しなければ頬被りを続ける、発覚したから問題を小出しにするという態度が見える。
 福井総裁もそうだ。最初は村上ファンドの問題だけだったが、後から他の株も持っているということを言い出した。
本当に今言われているだけなのかどうか。