栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

中国の現状に関して

2006-06-13 19:06:03 | 視点
 福岡県下にも世界をまたに飛び歩いている中小企業があります。
昨日はアメリカにいたかと思うと今日は中国というふうに世界中を飛び歩いています。
福岡・小郡市に本社がある「田中三次郎商店」の社長、田中宏氏がその人です。
主に世界水産展示会に出展されているようですが、行く先々から時々海外情報を送っ
てもらっています。

 5月下旬には合弁会社設立のために北京に行かれてたようで、その時には以下のよ
うなメールが届きました。

> ニーハオ。お元気でしょうか。合弁会社設立の打ち合わせで昨日から北京に来てい
> ます。
> 蒸し暑い曇り空、建設中の巨大なオリンピックメーンスタジアムが眼下に怪鳥のよ
> うに羽を広げています。
> 相変わらず凄まじい勢いで続くビル建設、貧富の差は益々広がるばかりで、地方都
> 市は治安が想像以上に悪化しているようです。なりふり構わず爆走する北京政府、
> 五輪後は一体どんな国になっているのか想像もつきません。

 いま中国、特に北京はオリンピックバブルの様相を呈しています。
急ピッチで進む開発のせいで日本に飛来する黄砂の量も例年になく増えています。
 宴の後が心配です。
都市部と農村部では収入格差がどんどん広がっていますが、都市部の中でも富める者
と富めない者の階層格差が出ています。
開発の名の下に進む自然破壊、共産党幹部の汚職・・・。
数え上げればきりがないでしょう。

 でも、こうした現象は中国固有のものでも、中国人特有のものでもありません。
日本もアメリカも同じ道を通っています。
高度経済成長時代に我々も同じ経験をしました。
その結果、全国で公害問題が起き、その後遺症に長いこと苦しめられました。

 人間というのは愚かなものです。先達の負の経験に学ばないようです。
我々は逆に中国のいまの状況を見て嘆いたりバカにするのではなく、我が振りを直し
たいものです。
日本のコピー文化などはその最たるものでしょう。
賞をもらったどこぞの画家の絵がほとんどイタリア人画家のコピーだった話。
人のことは笑えないものです。

 さて、以下は昨日田中社長から届いた投稿です。
田中三次郎商店と田中社長のことは「リエゾン九州」のHP内「九州と中国の頑張る
企業」に収録している拙稿「ベリースモールでローカル。それでもタナカ イズ ベ
スト」を参照下さい。 

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栗野様

 重慶から中国の友人がやってきました。
一年ぶりだったのでどうしていたの?と聞いたら「いやーいろいろあって何から話し
ていいか・・・・」
 話を聞いて驚きました。
日本の理科系大学を卒業して帰国後彼の従弟と産業用製氷機の工場を立ち上げ順調に
業績を上げてトップメーカーになりましたが、経営戦略の意見が合わず全量の株を買
い取ってもらって友人は新しい製氷機会社を日本メーカーの技術的な支援を得て立ち
上げました。
 約2年で最大のライバル会社に育て上げたところ、薄暗い夕闇の中事務所を出たと
ころを刺客に狙われて危うく命を落とすところでした。
たまたま携帯電話をかけていたので中指を落としただけで助かったそうですが中国人
は日本人の常識では考えられないような行動をとる場合がありますね。
 彼は取っ組み中に指のないことに気づき指を拾って病院に飛び込んで8時間掛かっ
て接合してもらったそうですよ。
 中国人はすごいねえと話しましたら、いやーこんなことは日常茶飯事、中国では当
たり前のことです。
 しかし相手には2回も同じことされたら必ずやり返す・・・と手紙を出したそうで
す。
 ちょうど日本の技術者と一緒だったそうですが彼は怖気づいたのか2度と中国に来
てくれなかったそうで大変困ったと話していました。
 日本の常識だけでの進出は危険だなあと思った事件ではありました。