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仁義なき戦い 代理戦争

2016年06月19日 | 日記

ヤクザ映画である。
血で血を洗う抗争劇である。
しかし、日本映画が誇る金字塔である。

『仁義なき戦い 代理戦争』
菅原文太・主演の大人気シリーズである。
従来の「任侠路線」と呼ばれるヤクザ映画の様式美を
ことごとく覆した革命的映画である。
1970年代、暗く鬱屈した大学生だった私は
ドキュメンタリーと錯覚するようなこの映画の迫力に圧倒され
血沸き肉踊る思いでスクリーンにかじりついたものだった。

広島・呉の実在のヤクザをモデルにした実録ものである。
主演の菅原文太は当時38歳。
監督の深作欣二は41歳。
ともに映画界では不遇をかこっていた二人が結束し
ギラつくような情熱と執念で体を張り
ヤクザ映画の「新境地」を拓いた記念碑的作品である。
とにかくスピードとバイオレンス満載の
すさまじい群集劇であった。

仁義なき戦い 代理戦争(予告編)


ご覧の通り全編、暴力に次ぐ暴力である。
泥沼の抗争劇で若いヤクザが虫けらのように殺されていく。
PTAあたりからは随分苦情が来たと聞くが
笠原和夫の脚本は野望と裏切りに翻弄されるヤクザ社会の生態を
骨太の人間ドラマに仕上げていて
キネマ旬報の読者ベストテンでは堂々一位に輝いた。

全くの余談なのだが・・・
私は新婚旅行の途中に京都で一泊し
たまたま京一会館で上映中の「仁義なき戦い」シリーズを
オールナイトで鑑賞したことがあった。
自分がどんな映画を観て来たかを妻に知っておいて欲しい。
そんな純粋な思いではあったが
新婚旅行の途中にわざわざ妻にヤクザ映画を観せる夫が
いったいどこの世界にいるのか!(笑)
破局の原因はそのせいかも知れないと反省するのである。

この映画のもう一人の主役は
山守親分役を演じた金子信雄の存在感である。
頼りなくてお調子者で、自分勝手でずる賢いバカ親分を
実に「秀逸」な演技で演じ切っていた。
この人無くしては「仁義なき戦い」は成立しなかったと思う。

菅原文太はまだ若々しく
広島弁のドスの利かせ方がとにかくカッコよかった。
映画史に残る名優だったと思う。

仁義なき戦い、見ても損はせんけえのう!(広島弁)


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 ()
2016-06-19 09:54:07
理想を描くものが、映画だとしても、やくざの世界は、仁義なき苛酷な世界が、理想なのかもしれません。そうした、暴力が蔓延る世界であっても、不思議とやくざであれば、ディストピアには映らないです。むしろ、功名と出世を狙うギラギラした若者にとって、仁義という伝統は不要にすら思えます。

菅原さんは、そうした、欲望を持った若者を見事に演じていると思います。菅原さん的には、やくざという仮面をつけた若者、されど、作中では骨の髄まで、闘争に浸り切った強者だと思います。
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こんばんは。 (まろ)
2016-06-19 18:11:57
隆様
ヤクザ世界が現代社会の縮図とは言いませんが
剥きだしの欲望をストレートに暴力で表現できる世界は分かりやすくて小気味いいですねえ。
任侠映画の様式美を愛しながらも、このシリーズのリアルさにすっかりハマってしまいました。
権謀術数渦巻く、小汚い政界の方がよほどディストピアです。(笑)

あらためて菅原文太は傑出した役者でした。
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