まろの公園ライフ

公園から世の中を見る

メメント・モリ

2012年12月29日 | 日記

朝からどんよりとした曇り空。
風のない穏やかな日だったが夕方から雨になった。

我が家の「ピアノ小僧」も冬休みになって
体力づくりのためにジョギングに同行するようになった。
正直、ペースが乱れて迷惑である。

早速、ジョギングの途中に「落ち葉遊び」を開始。
もう中学生なのだからと呆れるが、まだまだ子供なのかも知れない。

落ち葉ダイブ!
フカフカで気持ちよさそう!
私も時々、やってみたくなるけどなあ・・・

冬空にボンヤリとした太陽。
この季節、テレビはしきりに一年の「回顧」をやっている。
先日、中村勘三郎の葬儀をやっていたが
そう言えば、今年もいろいろな人が亡くなったなあ、と思いを馳せる。



「100歳の映画監督」新藤兼人さん。
独立プロから叩き上げた根からの映画人だった。
シナリオ学校時代、一度だけ講義でお目にかかったことがあるが
朴訥な広島弁の語り口ながら、こと映画に関しては眼光鋭く
どこか畏怖の念すら覚える存在感だった。
「生きている限り生きぬきたい」が心情で色紙にもよくその言葉を書かれた。
生きている限り「撮り続けた」人生だったと言える。

「散歩の達人」地井武男さん。
私が公園散歩を始めたきっかけは「ちい散歩」だった。
基本的にはバイプレーヤーながら悪役から刑事役、マイホームパパまで
幅広い役をこなす「柔軟性」は希有のものだったと思う。
「ちい散歩」でも自然や植物への愛情、人と接し方の妙、スケッチの味わい
どれをとっても地井さんの「人間力」を感じさせた。
それだけに突然の死は今年一番のショックだったかも知れない。
この素晴らしい笑顔、まだ70歳だった。

「狂気の俳優」大滝秀治さん。
その独特の個性的な演技はつねに狂気を感じさせた。
劇団民芸の創立以来のメンバーで舞台、映画、テレビドラマからCMまで
この人も本当に幅広い分野で「存在感」を発揮された。
宇野重吉に否定されたと言うあの「悪声」も味わいがあって実によかった。
どれか一つと言われれば、私はやはり
倉本聰さんのドラマ「ホンカンシリーズ」の駐在役での飄逸な演技だろうか。
87歳、名優ならぬ「怪優」だったと思う。

「戦場のに散ったジャーナリスト」山本美香さん。
何度見ても美しい人だなあ・・・と思う。
その輝きの秘密は「意志」と「知性」と「優しさ」にあるのではないかと思う。
つねに死と隣り合わせの現場で培われたものなのだろう。
彼女が政府軍の凶弾に倒れたシリアは・・・いまも内戦状態のままだ。
この死の衝撃を忘れないでおこうと思う。
惜しみて余りある45歳だった。

写真家・藤原新也の写真集「メメント・モリ」をご存じだろうか。
もう20以上も前に出版された本で
写真集というより「詩文集」と言った方がいいかも知れない。
メメント・モリとはラテン語で「死を想え・・・」というほどの意味である。
極限の死を切り取ったさまざまな写真に、著者の短いコメントが添えられている。
荒野に打ち捨てられた人間の死体を野良犬が貪っている光景には・・・

  「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ」

大河のほとりで遺体の野焼きをしている光景には・・・

   「ニンゲンの体の大部分を占める水は水蒸気となって空に立ち昇る。
   それは雨の一部となって誰かの肩に降りかかるかも知れない。
   何パーセントかの脂肪は土にしたたり、焼け落ちた炭素は土に栄養を与えて
   マリーゴールドの花を咲かせ、カリフラワーをそだてるかも知れない。」

つまり森羅万象、人間の体でさえ所詮は「物質」に過ぎないのであり
私たちは常に「生と死」の微妙なバランスの上で今を生きているにすぎない。
だからこそ「死者を忘れない」のはニンゲンにしか出来ない行為なのではないかと思う。
死を想え、メメント・モリ・・・年の瀬にそんなことを考えた。

と、ボンヤリしていたら・・・
ピアノ小僧の突然の「落ち葉攻撃」!
頭のてっぺんから枯れ葉だらけになってしまった。
12月28日、夜からやはり雨になった。

 


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2 コメント

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Unknown (戸塚貴久子)
2012-12-29 13:10:20
息子さん、パパと過ごせて嬉しいんでしょうね!思春期なのに仲良さそうで、理想の親子ですね。
ニュースになるような方々は皆さんそれぞれ自分の使命を果たして亡くなられ、変な言い方ですが羨ましいです。自分ももう少し悔いのない人生をおくらなきゃなぁ、って思います!
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思春期と聞くと・・・ (まろ)
2012-12-29 16:56:54
戸塚貴久子様
何やら複雑な思いもありますが、うちの子は奥手と言うのか
まだ反抗期の気配もなくて、まあ、ノンビリしたものです。
戸塚さんは若いですが、私の場合はこの歳ですでに
「悔いだらけ」の人生ですから、どうしたらいいものか(苦笑)


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