くまわん雑記

時々問い合わせがありますが、「くまわん」というのは、ある地方の方言です。意味はヒミツです。知る人ぞ知るということで。

パンダはもう要らない!

2008年05月02日 | Weblog
上野動物園のパンダ、陵陵が死んた。これで昭和47年に二頭のパンダが来日して以来36年近くいたパンダが上野からいなくなることになった。(それにしてもなんで中国側は「陵陵」なんて名前を付けたものだか?)

中国から貸与されたものは別として、日本に所有権のあるパンダはこれでいなくなった。

そこで、日本政府は、政府(高村外相)が!、既に上記パンダが死ぬ前、先月に中国政府にパンダ貸与を要請していたという。

だが、一寸待って欲しい。国内各地には既に同じく貸与されたパンダが複数頭いるのだ。上野からいなくなったからと言って、何ゆえに更に貸与を求めなくてはならないのだ。何故にそこまでパンダにこだわる必要があるというのだ。

中国はパンダを外交の具として利用してきたことはつとに知られる話だ。38年前に上野に来た際のあの熱狂を思い返せば、それが確かな成功をおさめたこともああったことは事実だ。しかし、今日、かつてのような外交的効果が期待できるといは考え難い。悪化の一途をたどる日本の対中認識の改善に一役買うことになるとは到底思えぬ。貸与料が一年一億と聞けば、「そんなに取るのか!?」、「何が友好の証しだ!」、「中国人はつくづく金に抜け目がないなあ!?」と、日本人の対中イメージを更に悪化させるのが落ちというものだ。

日本政府も一体、パンダを借り受けることに何を期待しているのだろうか。パンダを借り受けることによる対中外交のメリットとは何だというのだ。国内政治的な効果を期待してというのであれば、新たなパンダの来日で、断末魔の福田政権の支持率がいささかなりとも上向くと思うてか。ならば、それは、腫瘍のよる腹痛を癒すべく正露丸をのむに均しい行為というものだ。ガソリン価格の高下に翻弄され、というか、マスコミのくどいくらいのガソリン価格報道に踊らされ、ガソリンスタンドに駆け込む姿に、パンダ来日の翌年に起きたトイレットペーパー騒動に似た者を見れば、この30年以上の間に、日本人の民度がさほど変わっていないことの証左かもしれぬとは思う。しかし、新たなパンダの来日に、国民が36年前のように熱狂し、日中友好ムードに浸ることなどもうあるまい。第二次天安門事件あれだけ彼の隣国の嫌な部分を見せつけられてしまった今となっては・・。その点に限っては、我が国民の民度も若干の進歩があったと思うのだが。

今更のパンダへの固執は、我が国政府の環境問題への認識の低さをあらわしているとの見方をされても致し方ないのかもしれない、ということに福田政権も気付いてはどうか。パンダはかつて絶滅が叫ばれた時期に比べて総頭数がかなり増えているとはいえ、いまだ保護対象動物であることに変わりはない。増えたと言っても激減した水準から増えたと言うだけの話に過ぎない。我が国が環境問題を重視し、それを外交戦略の一つに据えるというのであれば、あえてパンダという保護対象動物を我が国に持ってくることが、いかに環境保護に矛盾する行為であるかを思い知るべきだ。上野に連れて来て繁殖に成功すれば、パンダ保護に一役買うことになる。確かにそうだが、それは結果論に過ぎないし、陵陵のように繁殖に成功しなければ、その主張は成立しなくなるのだ。つまり後付けの論理でしかないということだ。それに、そもそも、パンダを動物園におくことは、保護や繁殖が一義的な目的ではないはずだ。動物園のそもそもの存在意義は「見世物小屋」と同様のものであるはずだ。さもなくば、あの自然状態とは程遠いコンクリートち鉄柵に囲まれた棲息環境が、動物保護、愛護とは無関係なものであることを如実に語っているのではないのか。

ここにきて加熱するチベット問題からみても、今更のパンダへの執着は、あまりにも愚かしい。中国、北京政府は、パンダを中国を対外的に象徴すべき動物のように扱い、上記のように外交の具としてきたが、実は、パンダは歴史的な「中国」の動物とは言い難い。むしろ、歴史的には、パンダはチベット(=西蔵にあらず!)の動物である。現在パンダが棲息する四川省西部の山岳部や甘粛省の山岳部は、現在でこそ北京政府が呼ぶところのチベット自治区すなわち西蔵の外にあるが、歴史的にはチベットの一部であった。一部マスコミ的にいえば、「大チベット」の一部ということになる。今時、パンダで日中友好強化などと、政府が思っているのだとすれば、それはチベット問題という人権問題への認識の低さを露呈していると批判されても致し方あるまい。

パンダはもう要らない!

パンダを動物愛護とはかけ離れた環境に棲まわせ、チベット侵略を糊塗する政治の道具として利用することに加担するくらいなら、そう主張したいものだ。
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