仙台に着いたのはもう23時を過ぎた頃合でした。
2年前の、つまり震災直後のころとは見違えるほどの変わりようです。もう何事もなかったかのように。
それは、福島の南相馬から来た者にとっては、なにか違和感を感じるものでした。
そして、改めてこう思うのです。
とりかえしのつかないことが福島に起きたのだと。
わたしは、宿泊する予定のホテルを目指しました。
「アパホテルヴィラ 仙台駅五橋」。
楽天トラベルで検索し、最も宿泊料金が安価だったので、予約したホテルです。
恐らく、ドタキャンで急遽部屋が空いたのでしょう。格安の料金でした。
しかも、このホテルには温泉がついていました。
南相馬で雨に打たれたわたしにとって、大浴場のついている風呂付きのホテルは渡りに船です。
チェックインして、荷物を置き、わたしは外に出ました。
ホテル近くの居酒屋に入ると、「看板です」と言われました。
そして、しばらく居酒屋を求めて歩いたのですが、0時近い街はもう眠ろうとしていました。
仕方なく、部屋へと戻り、わたしは浴場に行くことにしました。
日付をまたぎそうな時間であるにも関わらず、大浴場は混んでいました。
わたしはちょっとうんざりしました。
ゆっくりと風呂に浸かりたいと考えていたからです。
お風呂は思っていたよりも広く、豪華でもありました。
「アパホテル」のイメージからは想像できないものでした。
しかも、ホテル側の説明文によると、天然温泉とのことです。
曰く
<泉温>42.4度
<泉質>ナトリウム―塩化物泉(高張性・高温泉)
<湧出量> 60リットル/分
【浴用適応症】
神経痛・筋肉痛・五十肩・運動麻痺・うちみ・くじき・慢性消化器 病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進・慢性皮膚炎など
このお湯は、近隣の温泉地から持ってきているのでしょう。
泉温42℃がそれを物語ります。
ともあれ、お風呂としては申し分のないものですが、いかんせん入るタイミングが悪すぎました。
大勢のお風呂客は中国からの団体さんでした。
大声で交わされる中国語の会話が機関銃のように飛び交います。
それも露天風呂で。
なんなんだ。このアウェイ感。
全然、リラックスできません。
それにつけても、世間は変わりました。
中国からの観光客が、日本の温泉に浸かる。
こんな時代になったのだと改めて思います。
この中国からの客人は、この仙台が被災地であることを知っているのでしょうか。それとも、被災地だからこそ、旅行代金が安価だったということがあるのでしょうか。
しかしながら、お風呂は一日の疲れを癒してくれます。
緊張していた筋肉がじんわりとほぐれていくのが分かります。
それにしても、長い1日でした。
朝の6時に家を出て、福島から南相馬へクルマを走らせ、2件の取材した後、再び福島へ。そして新幹線で仙台へ。
明日から、また被災地を巡る取材が続きます。
体を温める温かい温泉はとても助かります。
今日の疲れをとって、明日も頑張ろうという気持ちになります。
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