「案山子」を出て、歩いて新潟駅へ。このまま帰るのももったいないかなと思っていると赤提灯に巨大なたぬき。
看板には「越乃 赤たぬき」と書いてある。
「赤たぬき」とは面白い。酔って赤くなった狸か。
まさか、店主がカープファンで「赤ゴジラ」よろしく、「赤たぬき」というわけではあるまい。
「越乃」とはやはり新潟という意だろうか。
「越乃」とつくと急にブランドっぽくなるから不思議だ。
「越の寒梅」然り、そしてファッションデザイナーのコシノ三姉妹然り。
わたしのようなカップラーメン世代からすれば、赤いのがきつね、たぬきは緑と相場が決まっている。
赤提灯に誘われて、気がつくとわたしは店に入っていた。
カウンターに座る。
店内はローカルなチェーン店の様相。
だが、店内は広く圧迫感がない。これはいい。ゆったりと酒が飲める。
メニューを繰ると、またしても目に付くのが「きりんざん」。
やっぱり、グリーンボトル。
今宵は「きりんざん」づいている。
その酒をまたしても燗にしてもらい、「栃尾揚げ」で乾杯。
「たぬき」なのに油揚げとはこれいかに。
ともあれ、ネギをのせただけのシンプルなそれは、この辛口の酒によくあう。
もう一品、「もつ煮込み」(320円)。
風味はあっさり。なんか「のっぺ」の延長線上にあるようなあっさり系の「煮込み」。
しょうゆ?いやいや味噌風味。
お客があまり多くはなく、ゆったり飲んでいると、どやどやと大勢のお客が入ってきた。
10人、15人、どんどん客が入っていく。送迎会だろうか。どこかの会社組織の集団に見えた。
木の温もりのする、古典的酒場。田舎くさくて、わたしはこの店、好きだな。
最後に一品。新潟らしいものを食べて帰るとしよう。
メニュー表を繰りながら、新潟らしいものを探す。
あ、やっぱりこれだろうな。
「ごはん」(200円)。
新潟のお米は特別。〆はご飯。
「もつ煮込み」をおかずにおいしいご飯をいただく。
やっぱりうまい。
このうまいものを前に一抹の不安がよぎる。よもや、わたしは化かされているんじゃないだろうか。
あとで、この店を訪ねても元のところには何もなく、泥団子が残されていただなんて、洒落にもならない。
わたしは店を出た後も、何度も何度も振り返り、店舗の姿を確認した。
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