ジャズとレコードとオーディオと

音楽を聴く。人によって好みが分かれるでしょうが、このブログでは主に女性ジャズボーカルを紹介させていただきます。

SHIRLEY HORN

2007年10月01日 | 女性ボーカルH
STERE-O-CRAFT/#16/SHIRLEY HORN/EMBERS AND ASHES/1960

ニューヨークヘ短期で出て来た時にスモールレーベルに収録された本アルバムがシャーリー・ホーンのファースト・アルバムなのですが、僕のブログでは以前に彼女のMERCURY盤SHIRLEY HORN with HORNも紹介していますので、そちらもご覧下さい。このアルバムの収録の後には彼女はニューヨークへ出て来てヴィレッジ・バンガードへの長期出演で人気が出てくるわけですが、それをお膳立てしたのがマイルス・デイビスであったのです。特にマイルスは本アルバムを聴いていたく気に入り彼女に直接電話をかけてニューヨークへ来る事を強く勧めたと織戸氏がジャズ批評の解説で述べておられます。後年, 彼女もマイルスに捧げるアルバム「I REMEMBER MILES」を出してしますが、そのアルバムが1999年にベスト・ジャズボーカル・グラミー賞を受賞したのはみなさんもご存知のとおりです。
そういった彼女が26歳の時の本アルバムですが, “SHIRLEY HORN with HORN”のアルバムでは僕は「歌い口は燻銀の味と言えば良いのでしょうか、艶がありながら乾いたようなくすんだような声がとても心地良く耳に入ってきます。懐の深い歌い方も独特で、間の取り方が絶妙で美しさを感じさせます」と表現させてもらいました。本アルバムでもその印象は変わりませんが、今アルバム聴きながらブログを書いているのですが、彼女のボーカルはとにかく渋い。クール。ピアノのタッチも渋いです。きっとマイルスがボーカリストをするならば彼女のように歌いたいと感じたのではないでしょうか。そういう想いで聴いていると彼女のピアノやボーカルがマイルスの音楽に通じるものが有るような気もするのです。

A-1のLIKE SOMEONE IN LOVE, ジョー・ベンジャミンの歯切れの良いブラシに続いて彼女のピアノが始まり歌い始めますが、カッコいいですよ。多分この一曲目からこのアルバムは聴けると思えるはずです。A-3はピアノのみの演奏ですが、彼女のピアノ演奏は切れがあって且つ男性にはないしなやかさが感じられます。A-4の I THOUGHT ABOUT YOUは決してそうではないと思いますが自然に流して歌っているような感じがあるのですが, 急所は外さないというボーカルで僕は凄みを感じてしまいます。A-5のMOUNTAIN GREENERYはスインギーに歌いますが、続くA-6がこれまたスローテンポでじっくりと歌われ曲に緩急があって飽きることはありません。B-2のDAY BY DAYやこの曲をこんなに乾いた声で渋く粋に聴かせ色気すら感じる事はあまりないのでは思います。B-4のWILD IS THE WINDも静かに歌っていますが情がほとばしっています。全部は書き切れませんが全曲聴き物ですから是非聴いていただきたいアルバムの一枚です。

パーソナル:SHIRLEY HORN(vo. p), JOE BENJAMIN(b), LEWIS POWERS(b), HARRY SAUNDERS(ds), HERBIE LOVELLE(ds)
収録曲
A面
1, LIKE SOMEONE IN LOVE
2, HE NEVER MENTIONED LOVE
3, SOFTLY
4, I THOUGHT ABOUT YOU
5, MOUNTAIN GREENERY
6, GOD BLESS THE CHILD
B面
1, BLUE CITY
2, DAY BY DAY
3, IF I SHOULD LOSE YOU
4, WILD IS THE WIND
5, COME RAIN OR COME SHINE
6, JUST IN TIME