イタリアの詩人ダンテの生誕は1265年。今年は750周年にあたる。混迷の中世後期を生きたダンテが、光明を見いだしたのは「女性}の存在であっつた
ダンテ研究者の矢内原忠雄氏は言う。「ダンテほど深く女性の価値を認識した人はあまり多くありません。」(『ダンテ神曲講義』みすず書房)と。例えば『神曲』地獄篇の第4歌。ここでは古代ローマ建国の歴史が描かれており、建国に功労のあった男性と共に、その母や妻や娘の名前が明記され、平等に名誉が与えられている。
また、『神曲』はラテン語ではなく、当時の一般女性が読めるように、日常の話し言葉であるイタリア語(トスカナ語)で書かれた。さらに、『神曲』の執筆自体が、一人の女性への敬慕に導かれていた。信強く心清き女性こそが、世界を変える力の源泉であることを、ダンテは確信していた。
同じ13世紀に日蓮大聖人が、あえて御書を「かな文字」で書かれ、「男女はきらふべからず」(御書1360頁)と述べ、広宣流布への女性の使命を重んじた点とも深く響きあう。
今また、時代の転換期にあって、生命尊厳の哲学を実践する婦人部、女子部こそ、平和と文化のルネサンス(復興)の主役だ。ここに世界を照らす光がある。
(進)
【2010年1月5日(火曜日) 聖教新聞より転載】
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