古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

新型コロナウイルスの検査について 一般のかかりつけ外来で起こっていること。

2020-03-12 16:35:36 | 趣味
古森病院@福岡市博多区です。

「一般のかかりつけ医の判断でも新型コロナウイルスのPCR検査を行えるようにする」
と令和2年2月29日に首相が記者会見で仰っておられるようですが、
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020030301291&g=pol

実態はまったくそんな気配はなくて、
以下にご紹介する記事で 匿名ドクターが投稿されているようなことが
起きているのが現状です。

個人的な経験では 37.5度以上の発熱および感冒症状が1週間くらい続く方について
帰国者接触者相談センターにご相談したところ
「先生が毎日検温したわけではないので PCR検査の適応ではない」(当院での確認は当初と最後の2日)
と言われ、唖然とし(外来患者さんに毎日当院に来てもらって 監視下検温するはずがありません) 
そこで「ああ入院適応だけ考えておればよいのか」と気づいたので
それ以降は 発熱の続く方は胸部CT撮影(あるいは胸部レントゲン写真撮影)を施行しています。

管理人は新型コロナウイルスのPCR検査について 

①韓国やイタリアなどで「検査しすぎた」という
反省があっているらしいこと
②新型コロナウイルス感染症は軽症が8割で
死亡率は2~3%と見積もられていること
③PCR検査は 偽陰性(本当は陽性なのに、陰性と出ること)が少なくないこと

から

統計上の話はともかく(全数把握は諦める)
PCR検査を入院を要しそうな比較的重症の人とその周囲に
限ることについて
まったく問題ないと思いますが、

下記の先生が仰るように 建前論(検査はきちんとする)だけ前面に出し、
本音(本当は肺炎を起こした人とその人の濃厚接触者にしかしない)を出さず 

「軽症者はとにかく家で寝ていてください」(勤務はどうするの?軽症者ってどんな人?)

帰国者接触者相談センターに患者さんが電話しても「かかりつけ医を受診してください」

挙句に「PPE(個人防護具)のないところでは インフルチェックはしないでください(日本医師会)」
(でも帰国者接触者相談センターでは「インフルエンザの検査はしましたか?」と聞かれます)
(実際、時々 インフルエンザの人もいます・・)

感冒症状で医療機関を延べ7回受診し、
どんな風にお願いしたのか 肺炎所見だったのかわかりませんが
ようやく一人見つかったら そこから濃厚接触者検査が始まる。

一般企業を含め、
昏迷を極めておりますので、
いい加減「37・5度以上4日以上」「きつかったら2日以上」で相談などという
現実とかけ離れた基準の広報はやめてほしいです・・。


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新型コロナウイルス、”持ちこたえている”という評価の中で現実に起きていること

都内某クリニック
匿名

2020年3月12日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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先月末、20代の生来健康な女性が発熱と咳で来院されました。症状は通常の上気道炎と思われましたが、現在の状況を鑑み念のため胸部レントゲンを施行。肺炎像がないことを確認し、内服薬で帰宅といたしました。3月7日土曜日、症状が改善しないため来院されました。非常勤医が対応しましたが、増悪所見がないことからいったん経過観察とし、改善がなければ再度来院を指示いたしました。本日、37.8度の発熱が下がらないことを主訴に来院されました。症状は乾性咳嗽と発熱、だるさ。レントゲンを再度施行し肺炎像がないことを確認いたしました。採血では白血球数に異常なく、Hb9.0の小球性貧血を認めだるさはこちらからくるものかもしれないと考えられました。しかしながら、37度後半の熱が、およそ10日間続いていることから帰国者・接触者センターに相談の電話をし、PCRを念のために施行していただきたい旨を伝えました。
返答は
1.緊急性がないようであれば、今日は5時で業務が終わっている。
2.明日になっても症状の改善がないようであれば、医師の方から保健所に連絡をして、支持を仰いでほしい。本人が保健所に電話をしても、検査はしてもらえない。

上記のようなものでした。あまりの返答にびっくりいたしました。まず、緊急性がないというのはどういうことなのか。肺炎等の病状としての緊急性がなければ、仮にコロナの感染が疑われてもそのまま様子を見てしまってよいということなのか。それであれば、なぜ、感染者が一人でも出た場合は全員を隔離するという方法をとっているのか。
保健所に心配な患者さんが直接電話をしても検査できる医療機関を紹介してもらえないということも、メディアでの説明と大きく異なっていました。濃厚接触が疑われる場合であっても、本人からではだめなのかという問いに対しましては、濃厚接触者は国が全員を把握しているので患者さん側から申し出があることはあり得ないとの返答でした。そうであれば、なぜ濃厚接触が疑われる場合は電話相談をするように呼び掛けているのか全く理解できない返答でした。
患者さんは、結局かかりつけの医療機関を受診し、肺炎が認められるまでは検査をしてもらえず、あちこちの医療機関を何か所も回ってついに感染が発覚するという状況が蔓延しているように思われましたが実際にこの対応ではそうならざるを得ないことが明らかとなりました。
そして、かかりつけ医療機関はコロナの感染者が受診したとなれば風評被害も出れば業務に支障も出るという状況でありこれではだれも診療を行いたくなくなります。特殊な防護服もなく、マスクさえも手に入らないような状況で第一線で医療をやっている臨床医を守ろうという意識も全く欠如していると強く感じました。

もし、重症ではないが、コロナかどうかわからない人を通常の日常生活にもどしてしまってさしつかえないのであれば、コロナ感染症を大げさにとりあえず通常の風邪として扱うべきです。そして重症化しない限り心配がないことを広く伝えていくべきです。
もし、コロナ感染症を特別な危険な感染症と本当に考えているのであれば、疑わしい患者さんをしっかり検査して、自宅隔離でも何でもよいので隔離措置をとるべきです。現在行われていることは、このどちらでもなくいたずらに不安と混乱を招き、医療現場を疲弊させる行為であると強く感じました。

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