古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

ジェネリック医薬品について

2013-12-18 12:44:22 | 日記

寒い日が続きます。古森病院@博多区対馬小路です。


今日はジェネリック医薬品(いわゆる後発品)についてのお話です。

ジェネリック医薬品とは(よくまとまっています)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E7%99%BA%E5%8C%BB%E8%96%AC%E5%93%81

医薬品はメーカーが長い期間と少なくない投資を行って、薬の成分が何の病気に効果があるのか
研究した結果、製品化を行い、その後 動物実験を経て、
治験(同意をとって人間に投与すること)を行った後に ようやく発売されることになります。
これをジェネリック医薬品(後発品)に対して 先発品(先に発売された薬)
(ブランド品というところもあります)と業界では言います。
治験は少人数で行われるために、発売後に予期せぬ副作用が起こって、
販売に漕ぎつけても、発売中止に追い込まれることも皆無ではありません。
医薬品メーカーは自社で発見した薬品で特許を取り、販売代金で研究費を回収し、次期の
医薬品開発に備えることになります。

医薬品の特許は一般的に20年で切れ(5年延長可能)、その後主要成分を他社でそのまま模倣することが可能になるので
後発品メーカーあるいは、先発品メーカーが後発品部門を作り、同様の作用をもつ医薬品を発売します。
これがジェネリック医薬品(後発品)です。
研究投資をしておらず、また発売までの要件が先発品に比べて緩いので、
先発品に比して安価に発売することができます。

当院でもジェネリック医薬品を積極的に使用していますが、中にはジェネリック医薬品に変えたら
効果が乏しくなったといわれる方が時に居られます。(頭痛の薬や抗不安薬など)

ジェネリック医薬品は薬の成分は同じなのですが、添加物が異なることがあり、
完全に同等の作用があるかと言われると、その通りですと断言できない面があります。
先発品の2-7掛けくらいの値段なのだから、効果もそれくらいでしょうという
考え方もあるいはあるかもしれません。
また以前内科学会雑誌に、後発品にしたら皮膚アレルギーが出た方がおられ、
先発品に戻したら消失した。後発品に含まれた添加物によるものが原因であったという症例報告がありました。
(これはたまたま後発品の添加物が合わなかっただけで、先発品の添加物が合わず、
後発品に変えたら良くなったという人も存在するものと思われます。)
反面、ジェネリック医薬品は値段以外に良くなった面もあり、
飲みやすい剤型(形)になったり、味付けが豊富になったり(小児の薬はいいでしょうね)
規格(一剤に含まれる薬の量)のバリエーションが増えたりといったこともあります。
また医療インフラの整っていない発展途上国では
ジェネリック医薬品が命綱となっている国も少なくありません。

先般 週刊誌に近畿大学薬学部の論文が紹介されて、少し話題になっているようですので、ご紹介します。

大鳥 徹、長井 紀章,橋本 佳幸、金 裕生、ウィリアム フィゴーニ、松野 純男、松山 賢治、
調剤薬局アンケートから見えてくる後発医薬品の使用状況.薬局薬学、5(2) 107-115 (2013)

調剤薬局アンケートによるとジェネリックを処方された割合が最も多かったのは、共済組合を除いた被用者保険に加入している人で、
次いで国民健康保険の加入者、次に高齢者医療制度の適用者で、
最も低かったのが公務員たちが加入している共済組合だったというのが趣旨の論文のようです。

厚労省でも同様の結果が出ているとのことでした。

平成23年10月の保険局調査課による後発医薬品使用状況調査
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/zenpan/dl/cyouzai_doukou_topics_h23_10.pdf

なぜ、共済組合での処方が少ないのかは不明ですが、
厚労省の調査を見ると、医師、患者さん、薬剤師ともに後発品の品質に疑問を感じている方は
まだまだ多いのだなというのが実感するところです。
私自身の感想を言えば、当院処方分で後発品では効果不十分として、
ブランド品に変えている人は居られますが、そう多くはないというのが実感です。
もっとも、抗癌剤とか免疫抑制剤など重要な薬を処方していないので、いち町医者としての
感想であります。
また外用薬などは結構 効果に差があるという話もあり(成分が一緒でも添加剤が異なるため、
吸収効率の問題で)科によって(湿布処方の多い整形とか外用薬の多い皮膚科とか)
見解が分かれるところかもしれません。

以上、古森病院でした。

古森病院ホームページ   http://komori-hp.cloudl-line.com






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