古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

妊婦とオセルタミビル(タミフル)ザナミビル(リレンザ)

2015-01-04 20:57:40 | 日記
明けましておめでとうございます。
古森病院@福岡市博多区 です。

管理人はお正月3が日のうち、病院に行かなかったのは
元旦だけで(もっとも元旦も病院との電話連絡はあり)
いつもと変わり映えしない日々でした。
もっとも当院に限らず、ベットのある病院のフルタイムの医者はみんなこんな感じではあります。
管理人はお正月は某所で急患診療もお手伝いしましたが、来院者の大部分がインフルエンザでした。
インフルエンザの検査会社とインフルエンザの治療薬開発や販売の会社のために働いているようなものです(笑)。

今日は、オセルタミビル(商品名タミフル)ザナミビル(商品名リレンザ)と妊婦さんについての記事です。

前々回の記事で、妊婦さんには一般的に薬を投与して安全か否かの人体実験(治験)が
倫理上できにくいため、妊婦さんへの安全性が確立されているとはっきり言える薬はあまりない
という趣旨の内容を書きました。

実は、タミフルやリレンザは日本で一時期、妊婦さんに爆発的に処方された時期があります。
そう、新型インフルエンザ(2009-2010 A/H1N1)の流行の時です。

2009年春に新型インフルエンザ流行が始まった後、同年10月 WHOは「妊婦は一般の人より
重症化して集中治療室に入る確率が10倍である」という声明を出しました。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/02-03-03.pdf#search='%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6+2009++%E5%A6%8A%E5%A9%A6+WHO'

それまでも世界中で一番 抗インフルエンザ薬が処方されていた日本では、日本での新型インフルエンザ流行後
各方面で妊婦へのワクチン接種と予防内服を含む抗インフルエンザ薬の投薬が広報され
(当時発売されていたのは、タミフルとリレンザのみ)

http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20090928a.html

新型インフルエンザに罹患した妊婦さんや新型インフルエンザの患者さんに濃厚接触した
妊婦さんにはタミフルあるいはリレンザの投与が基本的に行われました。

その結果日本では、妊婦の死亡例は0例でした。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201307/531831.html


平成23年に厚労省に提出された、日本産婦人科学会及び中外製薬、グラクソスミスクライン製薬会社からの
2009-2010の新型インフルエンザ流行時の妊婦へのタミフル及びリレンザ投与による小児に対する検証報告はこちら

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vftu-att/2r9852000001vg5t.pdf#search='%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%95%E3%83%AB+%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6+%E5%A6%8A%E5%A9%A6+%E4%B8%AD%E5%A4%96%E8%A3%BD%E8%96%AC'

タミフルやリレンザ投与後の妊娠経過での先天異常や流産、死産の発生率は
投薬なしの妊娠の自然経過で発症する先天異常や流産、死産の発生率を
上回ることはなかったとの報告です。

妊婦さんにつきましては
このデータと主治医との話し合いで、インフルエンザ罹患時の抗インフルエンザ薬の投薬を
どうするかについて考えて見られることをお勧めします。

以上、古森病院でした。

古森病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/














この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 主治医意見書(介護保険) | トップ | インフルエンザ治療について »
最新の画像もっと見る

日記」カテゴリの最新記事