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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

生活保護受給者の通院交通費

2009-05-29 22:09:42 | 社会福祉士
私は、70万都市のその真ん中を担当しています。
その前は大都会の近郊都市で同じ仕事をしていました。
担当する方の中に、生活保護受給者が1割以上いらっしゃいます。
これは二つの都市の共通点でした。

前の市役所の生活保護課が、通院交通費を認めるかどうかは、担当者によって差がありました。
まったく認めない担当もいましたし、認める人もいました。
担当によって、扱いが違うというのは理解できない話です。

一方、今の市役所では、原則、通院交通費は払われないようです。
「ようです」というのは、払われている方もいるからです。
この場合は、病院の医療ケースワーカーが、しっかり対応しているからです。
「医療を受ける権利の侵害だ」と主張すると、しぶしぶ認めたそうです。

では、地域包括支援センターの社会福祉士が、「権利の侵害ではないか」と言っているでしょうか。
あまり聞いたことがありません。私だって言いにくいと思います。
それは、地域包括の成り立ちを考えればわかります。
市役所の人々とチームワークを組むことが多いし、お互いに情報交換することも多い。
もちろん、言うべきことは言えるわけですが、どうしても主張が弱くなってしまう傾向があります。
このあたりは業務が異なるわけですから、お互いの立ち位置を明確にしなくてはならないのですが。
全国の地域包括の社会福祉士に共通しているのはこの点の問題意識の希薄さです。
社会福祉士として、あってはならないことと考えています。

なお、通院交通費については、朝日新聞5月27日に特集していました。
重度の障害を持つ方が請求を却下されていたが受給者の支援団体からの抗議を受けると
一転して支給を始めたということも書かれていた。
想像できることですね。

※写真は備中国分寺の五重塔

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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身近な権利擁護 (どりーむ)
2009-05-29 23:46:39
ケアマネの研修や地域包括支援センターの役割として「権利擁護」について語られるときは、その多くは「虐待防止」や「成年後見人制度」などについてのことが多いです。

そうすると、日々の業務ではなかなか「権利擁護」にかかわってるという実感はないのではないでしょうか。

しかし、「適切な医療を受ける」「適切なサービスを受ける」といったことも、利用者やその家族が生活するうえで、最も身近な権利の行使なのだと思います。

そこへの支援も「当たり前」のこととして「適切に」支援ができていればよいのですが、必ずしもそうではない現実があるのも事実のように思います
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身近な権利 (岩清水)
2009-05-30 09:32:26
身近な権利は、当事者の方も気がつくことが少ないことが多いと思います。
そのことは、係わっている専門職が気がつかなくてはならないはずですね。
でも、この仕事は私の仕事ではない、と自分自身に
思いこませることがあると思います。
「申請されたら」「○○に聞かれたら」というところで
止まってしまうこともあるのではないでしょうか。
私自身、心当たりがあります。
「権利擁護」については、具体的に項目を洗い出して、検討する必要を感じています。
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生活保護行政 (Maa-chan)
2009-05-30 12:47:29
 北海道滝川市の事件以降,通院交通費の認定が厳しくなるだろうと予想していましたが,案の定ですね。

 通院交通費に限らず,現場では「通達」等に違反している指導がまかり通っているという話を聴きます。生活保護費の自治体負担が増している上,職員の人件費負担も大きいので,どうしても予算削減をしなければならず,こうしたことがまかり通ってしまうのでしょうが,これでは生存権は守れません。

 ご指摘のとおり,もっと現場の社会福祉士が危機感をもって,声を上げていく必要がありますね。
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ネットワーク (岩清水)
2009-05-30 20:59:37
30日にお話しを聞いた奥田知志さんなど、
他の業種(?)の方の考え方や行動力が
励ましになります。
今の地域には仕事関係以外の繋がりはほとんどないので
これから広げていきたいと思います。
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