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岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「苦悩の舞」 多田富雄

2009-05-30 05:05:27 | スポーツ(身体に魅せられて)
発言する免疫学者 多田富雄さんの文章が、朝日新聞の「私の収穫」欄に掲載されていた。
阿修羅像と森山開次さんについてだった。

「私は最近、もう一つの阿修羅像とも言うべきものを見た」
ほう、どういうものか、と引き込まれた。

「それは天平仏とはほど遠い、森山開次のコンテンポラリーダンスである。」

「2月に新国立劇場で行われた彼の公演のチラシを見て、あっと思った。」

そこで、チラシを見たくなり検索をした。
http://triplebill.kaijimoriyama.com/

この写真を文章で表現すると、

「長い髪を頭上でまとめ、布をインド人のするように括り袴にして穿き、
少年の裸身をまっすぐにして立った姿は、興福寺の阿修羅像を髣髴とさせた。」

多田さんの身体に対する考えの奥深さは、次の文章に表れる。
「能からヒントは得た一連の作品にこめられた思索性は、彼の繊細な筋肉で極限の
人間像として結晶した。たとえば歩くという単純な動きさえ、一つ一つの筋肉を意識的に
組み合わせた複雑極まりない動作であることを感じさせた。筋肉を意識に変えて、
人間存在の苦悩を描き出したのだ。」

「内面に深く沈潜した彼のダンスが、生きることの不条理と悔恨を表現したとすれば、
阿修羅の改心と近いところにある」

森山開次さんといえば、NHKの「からだであそぼ」、を見ていました。
youtubeにも動画がアップされています。
この短い動画からも、人間の身体の「複雑極まりない動作」を見ることができます。

それにしても、多田富雄さんの文章も、こうして書き写したくなるほど素晴らしい。

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