goo blog サービス終了のお知らせ 

岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「災害福祉」を考える。

2011-06-23 20:32:09 | 社会福祉士
私は社会福祉を学ぶものです。
同時にAMDAでボランティア活動をしています。
日々、AMDAの被災地での支援活動を見聞きしています。

緊急医療支援活動は30年近くの実績があります。
災害時の緊急活動は2週間と言われています。

緊急に支援して去っていく、それでいいのだろうかと自問し、AMDAは継続的な支援を探っていきます。
ハイチ大地震では、建物の倒壊で下敷きになり多くの方が足を切断せざるを得なかった。
この方々が社会復帰するためには義足が必要だった。
AMDAは、義肢装具士と装具を日本から送った。
もちろん、関係企業や団体に頼みこむのだが。

今回の東日本大震災では、医師の他にもさまざまな職種の人々が派遣された。
介護士や鍼灸師なども。
特に調整員(コーディネーターのような役割)の方々の活躍が目につく。
専門職も、適地に派遣されなければ力を発揮できない。
適材適所をコーディネートするのが調整員だろう。

そして緊急医療は一時だが、被災者への生活支援は端緒についたばかりだ。

このAMDAの活動ぶりを見ながら、これは本来社会福祉に関わっているものが率先して進めなくてはならないことではないかと思うようになった。
災害があれば、消防、自衛隊、医療チーム、そして社協を活動を始める。

私たちは、どのように行動すればよいのか迷うばかり。
(もちろん、一部の方は行動を起こされているが)

社会福祉分野(業界)で仕事をしている人々の多くは介護保険に関わってる。
すなわち、高齢者の方々の支援をしている。
阪神淡路大震災の時から、大きな自然災害は「高齢者災害」となった。
すなわち死亡者の過半数の方が60歳以上になった。

日頃、顔を合わせている年齢の方々が、災害時には遭難してしまうのである。
それなのに私たちは、被災者の方々を支援するための学習や態勢づくりはできていない。
災害は非日常ではない。起こってしまえば日常である。
支援に区別はない。

もちろん、AMDAのように豊富な体験の中で支援のノウハウを学んできた歴史もない。



ボランティア元年と言われる阪神淡路大震災の教訓を活かしたいと大阪地域福祉サービス研究所がまとめた書籍を
見つけた。
『災害福祉とは何かー生活支援体制の構築に向けて』西尾祐吾、大塚保信、古川隆司編著 ミネルヴァ書房



災害福祉をタイトルにした唯一の本だった。

第1章 災害福祉の概念
第2章 災害時要援護者
第3章 災害の記憶
第4章 災害支援に関する法制度と行政組織
第5章 災害支援の方法
第6章 災害発生と救護
第7章 災害と地域ネットワーク
第8章 復興と被災者支援
第9章 家族支援
第10章 災害支援ボランティア
第11章 特別なニーズのある人々への支援
第12章 福祉施設における防災支援
第13章 防災・減災のための仕組みづくり
第14章 学校における防災教育の現状と課題
第15章 防災ネットワークの構築


東日本大震災の「災害福祉」は、阪神淡路大震災のそれとは違ったものと思わざるを得ない。
私たちは、今ある災害の中から、新たな「災害福祉学」を構築しなくてはならないのだろう。

想定される次の大地震は、「災害は忘れる前にやってくる」のだから。


最新の画像もっと見る