ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

U 姫讚

2012-11-27 | ほとほと日記
今日は天気は良かったけれど、風の強い一日だった。
朝、通院してからスポーツクラブで走り、昼食を家で摂った後はのんべんだらりと過ごす、典型的な私の休日だった。

家のバソコンが復活してからは、バソコンでYouTubeを観る時間がぐっと増えた。
スマートフォンより画面がずっと大きいし音も良いのだから当たり前だ。

私は宇多田ヒカルのファンなので、良くYouTubeで観る。
今一番気に入っているのは、グリーンデイの『ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリーム』をカバーしたバージョンだ。
力強くも切ない歌唱で、世界中にファンがいる本当の歌姫宇多田ヒカルの面目躍如の一曲である。

宇多田ヒカルの歌唱には普遍的な魅力があると思う。
普遍とは、何も知らない人が出会いがしらにいきなり「良いね!」と思えることだ…と、司馬遼太郎がどこかで書いていた。

彼は例として、江戸前寿司(いわゆる握り寿司)と初めて出会ったときの個人的体験を語っていた。
大正の末、大阪の一般的な家庭に生まれた彼は、戦後すぐに新聞社に就職して東京に出張に行くまで、握り寿司を食べたことがなかったという。
しかし一口食べたとたん、その普遍的な魅力(伝播する力)がすっかり理解出来た、とか。

つまり、普遍とは、そういうことである…なんて司馬節で締めていた記憶がある。

私が初めて宇多田ヒカルの歌声に出会ったのは、彼女のファーストアルバムが世に出た1999年、京王線府中駅近くのカレーチェーン店でだった。
昼食にカレーを食べながら何気なく店の有線を聴いていると、若い女性歌手の楽曲が始まった。
印象的なイントロから歌唱が始まり数小節で、それまでの日本の女性ポップス歌手では聴いたことのないレベルの質感を感じ、衝撃を受けた。

後から、それが『Automatic 』だったことを知った。
あの歌声体験は、私にとっての握り寿司体験たったのかも知れない。

…と書いてくるとマニアックなファンのようだが、彼女のCD は二枚しか持っていない。
でも、YouTubeではいつも楽しみ、ときには励ましてもらっている。
この秋には久しぶりの新曲を出したが、ゆっくりと末長く活動してほしいと思う。

蛇足だが、宇多田ヒカルがデビューしたころ、何人かの若い女性の自作自演歌手が出てきて、盛んに「歌姫」と称された。
それは構わないが、レベルが全く違うのにライバルかのように扱うジャーナリズムの了見が分からなかった。
それは「ファンとしては面白くない」というのとはちょっと違う話である。

江戸前寿司とジャンクフードを同列のように語るのはいかがなものか…という不思議感ですね。

多くの世代に広く影響を与えるという点で、宇多田ヒカルはユーミン・中島みゆきの系譜を継ぐ唯一の存在だと思う。

そういう意味でもじっくりと静養して、また良い曲を作り続けて欲しい。