ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

1980年代生まれ

2012-11-19 | ほとほと日記
私の職場にまた新しいスタッフが加わった。
23歳の男性介護スタッフである。
我がホームの介護スタッフには老若男女がいるが、相対的にはやはり20代を中心とした若い世代が多い。
50歳を過ぎてからこれほど多くの若い世代と仕事で関われるのは、老人ホームという職場にいるおかげだと思う。

現在40代以上の世代にとっては、「介護職」に対して、良かれ悪かれ「人のお世話をする特別な仕事」という認識を持っているだろう。
それが今や、私の会社だけでも毎年100人以上の大学新卒者が、介護の現場で社会人のスタートを切る。
もちろん平成10年に介護保険が誕生したことが、その潮流のもっとも大きく直接的なキッカケとなった。
しかしそれだけでなく、長引く不況、低迷し続ける雇用…と言った日本社会の構造的な問題が若い世代をして「介護職以外に選択肢がない」という状況を作り出している面も否めない。

基本的には、私は同じ職場の若者たちを「介護に対してマイナスの先入観がない」という点で頼もしく感じている。
でもときに、たとえばビックリするような退職の仕方に出会ったりすると「なんでだろう?」と考えこむこともある。

今日も職場の50代の同僚と「なんで彼女はああいう辞め方をしたのかな?」という話になった。
私は、「1984年生まれ」という点が大きな鍵になる気がする…と思った。

5歳のときに元号が変わった。

7歳くらいで史上最長最大と言われた好景気が弾け、以後ずっと萎み続けた

11歳で阪神大震災や地下鉄サリン…という大きなテロップをニュースで見た。

14歳のときに大手証券会社や大手地銀が倒産し、日本で初めて自殺者が3万人を突破した。

17歳の9月11日に、巨大なビルディングが二棟、崩壊していく画像を見つめた…。

もちろんそんな社会的なニュースよりも、自分の身の回りに何が起こったかとかの方がずっと大切だ。
でも、世相というのは、やはり庶民の生活には大きな影響を与えるものだ。

少なくとも、物心ついてからずっと「不景気」という言葉に取り囲まれて育った世代の目に社会がどう映るのかは、40代50代には分らない。

私などは子供の頃からいろいろクヨクヨと考え悩む気性だったけれど、少なくとも物心ついてから30代半ばまでは、「社会は右肩上がりになる」という社会の空気で育ってきた。
それは、物の見方に対するアドバンテージになっているはずである。

そう考えると、オジサンたちは心身ともにいい加減くたびれてきて大変だけれど、もうちょっと頑張らなきゃナ…とも思うのである