金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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白銀の翼(四面楚歌)127

2012-04-08 09:30:03 | Weblog
 ルドルフは負傷していても、足運びに乱れはない。
血を流しながら、警官隊のジュラルミン製の盾を跳び越えると、
その後方で群れなす野次馬の海に駆け込んだ。
 怖い者見たさで大勢が詰め掛けていた。
なんと、「自分だけは無関係」と思う連中の多い事か。
予想外の事に、みんな声を飲み込むだけ。
顔を引き攣らせて、目だけでルドルフを追う。
足は棒立ち。
そんな連中を搔き分けて、ルドルフは歩道を右へ逃げた。
 四発目の銃声は聞えない。
野次馬が邪魔なのだろう。
 ルドルフは駆けながら腹部の穴に掌を当てた。
少しでも出血を押さえようとした。
だが、血の勢いは押し留めようがない。
「どこに、こんなに血が溜まっていたのかと呆れてしまう」
 ビルの角で左に折れた。
大通りに出た。
歩道の人影は疎ら。
車道は渋滞して流れが悪い。
 後方からローター音。
しっかりと上空より追跡して来ていた。
このまま真っ直ぐに走るのは躊躇われた。
たとえ歩道でも車道でも、一瞬の空白があれば容赦なく撃たれるだろう。
 判断すると身体が反応した。
ビルとビルの間の路地裏に駆け込む。
ビル陰を利用して逃げるしかない。
今は獣の感性がこの身体を支配していた。
考え込む暇は一秒足りともない。
 しかし驚かされるものだ。
自分が石棺に封じられていた間に、
この不死身の身体を簡単に貫通する銃が開発されていたとは。
住みにくい世になったのかも知れない。
だが、簡単に白旗を揚げる気は毛頭ない。
逃げるだけ逃げて、反撃の機を窺う。
 縁あって得た身体。
けっして無駄にはしない。
最後の最後まで足掻く。

 項羽と率いる西楚軍は低山に囲まれた垓下の屯所にいた。
複雑な地形なので大掛かりな城郭は築けないが、防御するには適していた。
幸い糧食が蓄えてあるので長期戦にも不自由はしない。
 周囲をまたもや劉邦率いる反項羽連合軍に囲まれていた。
和議が成ったのに、この体たらく。
全ては劉邦の裏切りからだ。
 百万を越える軍勢が項羽軍を遠巻きに包囲していた。
今回も自ら進んで攻め寄せる王侯の軍勢は皆無。
みんな機が熟すのを待っていた。
そう、誰かが何かをするのを。
他人に依存する寄り合い所帯の連合軍。
それでも大軍なので、項羽軍としても迂闊には攻めて出られない。
 項羽は山の中腹に腰を下ろし、正面の敵陣を見ていた。
そこには劉邦本陣の旗が掲げてあるが、
本当に在陣しているかどうか怪しいものだ。
なにしろ身近に置いている軍師は張良。
仙人から軍略を授けられたという男で、
実際、「常に行なう献策は当を得たもの」と評判で、
項羽を初めとして劉邦に敵対する者は何度も煮え湯を飲まされた。
だから今回も、毛一つも油断が出来ない。
 項羽の傍らに寄り添うのは、戦疲れを見せない美貌の虞姫。
肌の露出の多い防具で身を包み、戦場では騎馬にて敵兵を討ち平らげる。
血飛沫を浴びても眉一つ顰めない。
身を心配すれば、逆に、「緩い血は肌に良いのよ」と笑い飛ばす始末。
 見るのに飽きたのか、虞姫が立ち上がった。
「馬の様子を見てくる」と。
 残ったのは項羽の他には、陰供の兵士等、・・・。
いや、別に一人いた。
虞姫が立ち去ったのを確認して影が姿を現わした。
無腰で、そそくさと寄って来た。
虞姫の側周りを固めている女兵士部隊の長老、朱鈴だ。
拱手して、項羽の前に両膝をついた。
「申し上げます」
「どうした」
「虞姫様はお隠しになっていますが、懐妊なされております」
 流石の項羽も言葉を失った。
虞姫の立ち振る舞いからは、それらしい事は何一つ窺えなかった。
平気で馬に乗り、平気で人を斬っていた。
懐妊は微塵も感じ取れなかった。
 ため息ついて口を開いた。
「どういうつもりなんだ」
 朱鈴が上目遣いで答えた。
「おそらく、覇王様と生死を共にされる覚悟かと」 
「それは困る。何とか国元に戻せないのか」
 朱鈴が目を伏せた。
「私共では何とも、・・・」
「このままでは馬上で流してしまうではないか」
「私共でも、それを恐れております」
「俺の言葉は聞かないだろう。変に頑固なところがあるからな。
困った、どうしたものか」




静岡県のホテル旅館生活衛生同業組合が、東電への抗議の意志を示す為、
電気料金の口座振替を解約するように通知しました。
強制力はありませんが、何とか声を上げたかったようです。
 当然です。
昨年は計画停電のあおりで経営に大打撃を受けました。
営業を続けているのが不思議なくらいです。
現在、ガソリン等の値上がりが彼等を直撃しています。
ボイラーや送迎バスを所有しているところは大変です。
これに電気料金の値上げ。
加えて消費税増税の予定です。
 中小企業は乾いたタオルを絞って利益を上げるしかありませんが、
それも限界にきています。
民主も自民も「消費税増税」「東電の味方」では、
声を上げたくなるというものです。
絶望の声を。
 日本全体の財政赤字が1200兆円に膨らんでいます。
人間の身体に喩えると、
肥満人間の全身の皮膚が至る所で破れ、出血している状態です。
これに対処するため、泥鰌サンは消費税増税で治療しようとしています。
止血縫合は行なわず、輸血だけで治療しようというのです。
普通に考えると、新たに輸血した血が、だだ漏れするだけです。 
・・・。
「泥鰌サン、アンタは名医だ」と褒め称えたい。
 この文章を纏めている間に、
リアルタイム財政赤字カウンターが、3億円増加しました。
勿論、赤字がですよ。
あっ、・・・4億円突入。


 こんな気分の時は尾崎豊ですね。
「十五の夜」
小利口だった十五の頃の私は、バイクは盗まないし、窓ガラスも割らなかった。
煙草も吸わなかった。
酒も。
 偉そうな顔をしている年上の連中が嫌いだった。
群れる連中も嫌いだった。
強圧的な教師も嫌いだった。
しいて言えば、無駄に威張っている奴が最も大嫌いだった。
 私は、いつも小説を読んでいた。
音楽を聴いていた。
絵を描いていた。
一人でいるのが好きだった。
でも誰とでも友達になれた。
秀才とも、粗暴な奴とも。
誰にも合せられた。
嫌いな奴にも。
 自分が卑屈になっていた分けでは無い。
基本的に人は好きだった。
色んなタイプがいても良いと思っていた。
 何人かが若くして死んでしまった。
仲が良かった奴や、喧嘩したままの奴。
・・・。
 私は何が言いたいんだろう。
オチが見つからない。
でも財政赤字だけは増えてゆく。




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