金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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金色の涙(白拍子)96

2009-02-01 08:31:50 | Weblog
 徳川屋敷の庭の手入れをしていた小者は、目の前を横切る白い塊に驚かされた。
よく見れば白猫・カエデではないか。
不意に現れると、その大きさに目を見張らされる。
 カエデのもとを黒猫が訪れるようになってから、大きくなってきたのだ。
今では、あの黒猫と大差ない体躯をしていた。
並みの猫の倍近い大きさだ。
 皆の噂では黒猫の正体は魔猫だとか・・・。
 
 カエデが動きを止めた。
上を向き、耳をそばだてた。
風に乗って遠くから山猫の咆哮が届く。
 彼女は声の主を聞き分けた。
いつもの歌い方とは違うが、黒猫・ヤマトに違いない。
 カエデは周囲を見回し、近くの茶室の屋根に目をやる。
高いが躊躇いもなく跳んだ。
大きくなった分だけ体重も増えた筈だが、苦にしない。
軽やかに瓦屋根に着地すると、声の聞こえる方向を確かめた。
京北だ。
 カエデは逆風を物ともせずに跳んだ。
茶室の屋根から隣家の屋根に。
屋根から屋根へ次々に跳び移り、京北を目指した。

 囲まれた五右衛門達四人を助けようと、ヤマトは屋根から跳び下りた。
待っていたかのように手裏剣が飛来した。続けざまに三本。
着地の瞬間を狙っていたらしい。
狙いは一本も逸れてはいない。
 ヤマトは寸前、宙で捻りを入れて躱した。
少し離れた場所に、ドッと背中から着地。痛みが走った。
素早く起き上がり、手裏剣の飛来した方向を睨みつけた。
 姿を現したのは見覚えのある男。
「柘植の喜蔵」と呼ばれる老忍者だ。
高齢ではあるが、技は侮れない。
これまで幾度も技と経験で、ヤマトや五右衛門を窮地に陥れてきた。
 彼が養っている忍犬も姿を現した。
二匹。左右から牽制するかのように、威嚇してくる。
 彼等の脇を捕り手達が駆け抜けて行く。
五右衛門を捕らえようと躍起になっていた。
 ヤマトも五右衛門の方へ向かおうとするが、喜蔵と二匹の忍犬が邪魔をした。
行く手を塞ぐように先回りした。
どうやら彼等はヤマトのみが狙いらしい。
しかし、無理して攻めてはこない。
こちらに隙が生じるのを待っているのか、慎重だ。
 ヤマトは彼等に合わせている暇はない。
五右衛門達を助けなくては・・・。
そこで猫又は、戦い好きの龍と交替しようと、一声かけた。
ところが返事が返ってこない。
 何度目かでようやく、「嫌だ」と。
気が向かないらしい。
となればここは猫又が戦うしかない。
 ヤマトは踵を返した。家の方へ引き返した。
床下に潜り込み、土間に出た。
 それを忍犬が追って来た。
低い床下にも関わらず、二匹は連携を守っていた。
一定の間合いを置いて、ヤマトを追尾して来る。
 忍者と忍犬の切り離しは成功した。
さらに両者が再び連携せぬように運ばねばならない。

 喜蔵は忍犬を呼び止めようとしたが遅かった。
忍犬に育てても所詮は犬。
深読みができないのだ。
 喜蔵は臍を噛みながら、忍犬を追って走った。
床下には飛び込まず、。黒猫の気配を感じ取りながら、家を廻り込んだ。
黒猫の先回りするつもりでいた。
 五右衛門達が飛び出してきた縁側を見つけた。
そこから屋内に駆け込んだ。

 ヤマトは気配を消し、土間の片隅で身構えていた。
一匹目の頭が視界に入るや、跳んだ。
猫拳を相手の後頭部に叩き込む。
 一撃で勝負を決めた。
頭蓋の割れる音。そして甲高い断末魔の悲鳴。
槍でも突き刺さったかのように、猫拳が後頭部に深々と喰い込んでいた。
これで忍犬同士の連携をも撃ち破った。
 残った一匹が床下から抜け出るや、ヤマトに体当たりしてきた。
大きく弾き飛ばされた。
 続けて、噛み殺そうというのか、口を大きく開けて突進して来た。
仲間の死に猛り立っているのが分かる。
 部屋の板壁に弾き飛ばされたヤマトは、痛みを堪え、立ち上がっていた。
突進して来る相手をジッと見据え、待ち構えた。
 相手の口が触れる寸前、攻撃に転じた。
再び猫拳。下から上に突き上げるようにして繰り出した。
 顎の骨の折れる音。
自分の倍以上の大きさの忍犬を、悲鳴すら許さぬ打撃で仕留めた。
 猫又はヤマトの身体の動きの変化を感じ取った。
鬼達との戦いを経て、家猫から完全な獣と化していた。

 喜蔵が部屋の入り口まで足音は無論、気配まで消して接近していた。
いつでも投げられるように片手には手裏剣が握られていた。
 犬の悲鳴を聞いて、思わず手裏剣を強く握り締めた。
刃先に指が触れた。切れ味が良い。赤い血が流れた。




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人員整理と部署再編、そして仕事量の激減・・・。
ただ、一人頭の仕事量としては増えています。
残業にならぬように必死で片付けていますが・・・。
お蔭でこのところ、少々ですが「お疲れ気味」です。


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