金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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金色の涙(江戸の攻防)237

2010-06-02 21:25:27 | Weblog
 ヤマトは視界の片隅に、部屋を出て行く白拍子と於福を捉えた。
二人は何やら囁きあいながら姿を消した。
 それに広重も気付いた。
ホッとばかりに胸を撫で下ろし、ヤマトに語る。
「部下が何百冊もの古文書を調べ、それらしい記述を幾つか見つけた。
それらを繋ぎ合わせると、鎌倉幕府の始まった頃の話しだが、
幕府の命令で由比ヶ浜から流されようとしていた赤ん坊を、
たった一人で救い出そうとした女武者がいたそうだ。
奇襲で赤ん坊の船を奪うところまでは出来たらしい。
しかし、多勢に無勢。
矢折れ刀尽き、ついには船に火を放たれ、赤ん坊ごと焼かれた。
その時の女武者ではないかと思われるのが、於福という者だ。
雇われ者だが、男顔負けの働きをするので知られていたらしい。
・・・。
あの婆さん、自ら於福と名乗っている。
それに、女武者のように腕が立つとか。
鎌倉の頃の於福本人に間違いないと思う。
名を隠しているわけでなし、怒るような事かな」
 於福という名まで知っているとは。
長安が詳しく話したのだろう。
悪気が無いだけに始末に困る。
 ヤマトは、於福が怒ったのは名前云々ではなく、広重の詮索が高じるのを恐れ、
先手を打って封じたのではないか。
そして白拍子も、これ幸いと同調したのではないか、と観ていた。
 二人が隠したい事は、ある程度だが推測していた。外れてはいない筈だ。
「於福という名は女武者としての名だろう」
「ん、そうか、通り名という事か」
「雇われの女武者だと言っていたから、そうなんだろうな」
 武家であれば武名を挙げねばならぬが、於福の女武者は雇われ仕事。
すべては村の生計を維持する為であった。
そういう者が氏素性を晒すわけがない。
恨みを買えば村に討伐の兵が送られるからだ。
 広重が合点した。
「すると、俺が本当の名を知っていると思ったのか」
「そういう事になる」
「なる程。しかし、残念な事に於福という名しか知らない」
 ヤマトは、九郎の居た場所を見た。
何時の間にか姿を消していた。黒太郎もいない。
おそらく庭でも駆け回っているのだろう。
九郎に聞かれる心配がないので、一歩踏み込んで聞いてみた。
「赤ん坊の方は」
「そちらは生れたばかりで、名は付けられていない。
ただ、父母の名は誰だか分かっている」
「推測か」
 広重が、「いや、確実だ」と自信タップリ。
 古文書から父母の名前に辿り着いたに違いない。 
ヤマトは、ここで釘を差す事にした。
居合わせた者達もいるので丁度良い。
誰一人として、これ以上の詮索をしないように、言葉を選んだ。
「余計なお世話かもしれないが、よく聞いてくれ。
けっして魔物が人であった頃の氏素性には触れてはならない。
詮索するという事は、喧嘩を売っているのと同じ事だからだ」
 ジッと広重を見ながら続けた。
「白拍子に於福、九郎に黒太郎、三人と一匹相手に、それでも続けるのかい」
 広重は武将としての意地か、表情を変えない。
「黒猫殿も脅すのですか」
 みんなの前で脅されて、「はい、そうですか」とは引き下がれないのだろう。
そこでヤマトは攻め口を変えた。
「女子供の嫌がる事をするのが三河武士か」
 それには広重も閉口、「女子供、・・・魔物でも女子供か、困ったな」と苦笑い。
思い直したようにヤマトの目を見詰める。
真意を探るかのような視線だ。
 ヤマトは、「猫の目を読めるかい」と。
 広重は首を左右に振った。
「犬なら嬉しいのか悲しいのかが、だいたい分かる。
しかし、猫の目は分かり難い。クルクルと目まぐるしく変わる」

 関東の要にある下総の関宿城は、幾つもの河川を堀として活用し、
防御に優れた城として知られていた。
ここには家康の異父弟、松平康元が二万石で入っていた。
その康元は家康の供で上方にあり、留守であった。
 江戸城を出た結城秀康はここにいた。
この城は守備兵の大半を江戸城に増派した為、
残っているのは老人女子供ばかり。
戦力としては全く期待できない。
計算できるのは自ら率いて来た者達や、新たに呼び寄せた結城の兵、
併せて二千余人のみ。
 秀康は留守居の者達や康元の奥方に事情を話し、
奥羽から帰還の豊臣軍を受け入れるべく準備をしていた。
なにしろ五万近い軍勢。宿舎の用意にてんてこ舞いであった。
 川向こう、東側に置いた番所から知らせが届いた。
「島左近殿が参られました」
 島左近は、かつては大和国、筒井順慶の重臣であった。
順慶が幼児であった頃から長く仕え、同じ大和国の松永久秀と幾度も戦い、
その勇名を近隣に鳴り響かせた。
しかし、順慶が病死すると、後継の定次とは折り合い悪く、浪人する事になった。
 そこに目をつけたのが石田三成。
算盤勘定が得意の文官である彼は、弱点の武を補強すべく、
島左近を口説きに口説き、破格の待遇で家老として迎え入れた。




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驚き・・・かな。
「普天間の米軍基地は県外」と言っていた鳩山さんが、
閣外に去ることになりました。
それも小沢さんとセットで。
在任期間は、自民党末期の首相達を見倣ったのか、あまりの短さ。
どうして、こうなるのでしょう。
次の首相こそは二年以上は続けて欲しいものです。


腹案で
閣外選ぶ
鳩山さん


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