金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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昨日今日明日あさって。(足利国の国都)38

2018-02-28 03:46:23 | Weblog
 二頭は5万ドロンで売れた。
俺達はギルドの支払いカウンターで大銀貨5枚を受け取った。
カールが受領書にサインしてから俺に言った。
「二等兵の給料分だ。多少安い気もするが、バリーの顔を立てた」
 高く売れた、と思ったのだがカールの言葉は違った。
表情に現れたのか、バリーが俺の肩に手を置いた。
「馬の肌に道中の疲れが出ているから、こんなところだ。
しかし、ギルドの厩舎で暫く休ませて、良い飼い葉を与えれば、
一月後には一頭が10万ドロン以上で売れる」
 二頭で20万ドロンか・・・。
厩舎で飼育するにしても費用は1万ドロンも掛からないだろう。
確実に一月後に売れるとすれば、たいした利益が得られる。
買い手があればだが・・・。
 カールが説明してくれた。
「ダン、世間の動向をチェックする癖を身に付けるんだ。
今回は木曾谷の魔物騒ぎだ。
バリーは、騎兵が魔物討伐に駆り出されると計算して、
馬を買い集めるつもりでいるようだ」
 俺は反省した。
道中、魔物の出没ばかりに気を取られていた。
「冒険者ギルトは商売っ気があるのですね。
悪い意味ではありませんよ」とバリーを見上げた。
 バリーは笑い飛ばした。
「いいってことよ。
冒険者が持ち込む物だけを買い取って、それを売る。
そんな商売は昔の話し。
今は待っているだけじゃ駄目なんだ。
こっちから売る種を探す、そうしないと時代に取り残されるからな。
ただし、大商人ギルドや鍛冶ギルドとかの権益を侵す気はない。
恨まれると、その後の取引がし難くなるからな」
「馬の買い集めは問題ないんですね」
「馬と馬車ならな。
二つは冒険者が非常時に移動する際の足になる。
過去、必要になってから探したら足下を見られて、
高額で掴まされる、ということが何回も続いた。
そこから今ではギルドが用意することになった」
 俺はバリーの話しに興味を持った。
「冒険者の非常時ですか」
「興味あるか。
立ち話もなんだ、場所を移そう」
 バリーが俺達をギルドに併設されているカフェーに誘った。
ドアを開けた瞬間、香しい珈琲の匂いに包まれた。
広い店内のあちこちから笑い声。
定食をかき込みながら談笑している冒険者達が多く見受けられた。
窓際の席につくと、「いらっしゃいませ。あら、カールさん。
お久しぶりですね」元気なウエイトレスに迎えられた。
 俺達はそれぞれに飲み物を注文した。
カールとバリーは珈琲。俺は紅茶。
 飲み物が配られると、一度口を湿らてせからバリーが言う。
「非常時だったな。
・・・。
ほとんどは国からの緊急依頼だ。
坊主は外国の事を多少なりとも知っているか」
 バリーが俺の目を面白そうに覗き見た。
試されている。
100点満点の回答が必要なのだろうか。
いやいや、まだ子供だから緩くても問題ないだろう。
「多少なら。
九州の西方には広大な砂漠があり、渡った先には西域諸国。
九州北部より北海道北部にかけた北側は奥の深い山岳地帯で、
そこを抜けると北域諸国。
北海道の東方には、これまた超広大な大樹海があり、
大樹海を抜けた先には東域諸国。
北海道南部から九州南部までは、ずっと海で、
海の向こうに陸地は見えませんが、
渡り鳥が来ることから大陸か島がある、と言われています。
でも、真相は分かりません。
原因は海の深いところへ行くと、海の魔物が襲ってくるので、
水平線の向こうへの行き来が出来ない、と教えられました」
 村塾の座学で得た知識を棒読みで披露した。
「国の名前は覚えているか」
「なんとか帝国、なんとか皇国、なんとか公国、なんとか教国、
と言ったところですね」
 バリーが珈琲を飲み干した。
「よしよし。
坊主は外国に興味があるか」
「いずれ冒険者になって渡りたいと・・・。
その外国と冒険者への緊急依頼の関係を聞かせて下さい」
「きちんとした国境線がないので、商人や旅人だけでなく、
色んな手合いが姿を現すようになった。。
西域からは駱駝に乗った怪しげな武装キャラバン。
北域からは調教した魔物を連れた登山隊。
東域からはゴーレムを連れた樵夫の一団。
胡散臭い連中が増えた。
そうなると国としても静観している分けにも行かん。
そこで冒険者パーティへの緊急依頼だ。
難しい問題を孕んでいるから内容は勘弁してくれ」
 俺はバリーの眉間に皺が寄ってるのを見た。
「もしかすると、相手方もそれぞれの国の冒険者パーティですか」
「坊主、読みが鋭いな。
・・・。
そうだ、ご同業だ。
胡散臭い連中の受けた依頼内容は分からん。
捕まえて聞き出す分けには行かんからな。
・・・。
おそらく緻密な地図を作ろうとしているんだろう。
・・・。
正規の偵察隊を送り込まない節度だけはあるが、
それが何時まで続くのやら」
 背後に国家がいるとなると地図を作らせる意味は一つしかない。
大軍で侵略する際に役立つ地図だ。
 我が国は天然の強固な要塞で外敵の侵入から守られていた。
西の大砂漠。北の山岳地帯。東の超大樹海。南の大海原。
これまで、そこを越えて侵略して来る国はなかった。
しかし、天然の要塞に囲まれていても、他国にとっては垂涎の的、
恰好の獲物と認識されていた。
なにしろ我が国は圧倒的な豊かな資源に恵まれていた。
前世とは違い、九州から北海道までが地続き。
西から開門平野、豊予平野、瀬戸内平野、北は青函平野。
四つの平野で一つに繋がっていた。
険しい山間部もあるが、緑豊かな平野部も多く、
多種多様な農作物が余らんばかりに収穫出来た。
加えて山からは金銀胴の鉱物。
まさしく黄金の国。
狙われない分けがない。




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