
3月10日は、"まいまい京都"のツアーの前に對龍山荘を見学しました。
















對龍山荘(たいりゅうさんそう)は明治29年(1896)に薩摩出身の実業家・伊集院兼常によって造営されたことに始まります。
その後、彦根出身の呉服商・市田弥一郎が譲り受け、庭園・建物共に大規模な改修が行われましたが、庭園を手掛けたのが近代日本庭園の先駆者と称えられた植治(うえじ)こと七代目小川治兵衛でした。



























一般公開前に3度見学していますが、南禅寺別荘群で現在公開されている庭園の中では見応えたっぷりの庭園です。
玄関を入り左手には現金による券売機が、右手にはカードやQR決済用の券売機が設置されています。
大きな荷物は以前と同じでこちらに預ける様になっています。




先ずは館内見学からです。
對龍台からの眺めは素晴らしいです。
東側への奥行きは余り無いのですが、お隣りの金地院の木々も上手く取り込み、南禅寺境内までもが巧みに取り込まれ、あたかも東山まで続いているかのように思えるダイナミックな借景庭園です。




館内には「ニトリ美術館」があり似鳥会長が収集された美術品が展示されています。




元は伊集院兼常が別荘とした對龍山荘ですが、後に七代目小川治兵衛により庭園は大規模に改修されています。
しかし、上の写真から見える庭園は伊集院兼続が作庭された庭園が残されています。
数寄屋の長いひさしの裏には池に反射した太陽光がゆらゆらと反射します。






各部屋には高価そうな美術品が並べられています。
ちょっとした美術館のようです。





次に庭園を巡ります。
約1800坪からなる広大な敷地内に池や遣水、露地、滝石組、芝生広場を設け、そして雄大な東山からの景色の連続性を感じる庭園は、明治42年(1909)の『京華林泉帖』に「風流清雅にして其構造に最も心尽くしたるを見る」と記され当時から極めて高い評価を得てきており、昭和63年(1988)には国の名勝に指定されています。
また建築は当時随一といわれた大工・島田藤吉が手掛け、2024年に国の重要文化財に指定されました。




對龍台まで来ると建物の下にも滝が落ちています。
館内に居ると庭園の奥にある大滝から滝の音が聞こえているかのように聞こえますが、実際は對龍台の真下にある滝の音が聞こえています。




對龍台の柱の一角が池に迫り出す様に建築されています。
植治が作庭した並河靖之七宝記念館の建物と同じ手法が使われています。



苑路には藤棚もあり4月下旬には花房を上向きにつけるノボリフジが見られます。
四阿には暖をとる施設も備わり、前に広がる芝生広場では、かって園遊会が行われたそうです。





春夏秋冬ごとに違った表情を見せてくれる名庭です。
この對龍山荘を取得され、館内の一般公開にまで決断されたニトリホールディングスの似鳥昭雄会長の「広く多くの方々に對龍山荘を見ていただきたい」という熱意により、2024年秋から自由見学の庭園一般公開が開始され、2025年1月15日から建物も自由見学できるようになりました。
似鳥会長のご英断に敬意を表したいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます