ドラマ『逃げ恥』は契約結婚から始まったのに、途中から恋愛ゲームとなってゆきます。相手の心を支配したい=ゲームです。
ドラマの半分以上を占めるけっこうおもしろい駆け引きが続くんですけど、かんたんにいってしまうと、
「自尊感情の低いモテない男」VS「こざかしい女」
という初めから勝敗がわかっているようなゲームなんです。
しかし物語がそうかんたんにいかないのは、この卑屈な男に惚れてしまった女が、いかにも上から目線の自分に嫌悪したり、男がなかなか求愛行動に出ることができないという絡み合いのむずかしさがあるからなんですね。好きだって簡単にいえればこんな苦労はないわけです。
が、まあ、そこはこのくらいにして、物語のラストなんです、私の注目点は。
二人はけっきょく、
「結婚」
というところへこぎつけるのです。男がいいます。
「これで普通の結婚になるのだから、もう報酬はいいですよね。その分は貯蓄に回したり、家を購入する資金、子供を育てるための資金にしましょう」
あなたならどうです。これまで家事労働に、おカネがついてきたのに、その収入が消えるのです。女はいいます。
「それは好きの搾取です!私森山みくりは搾取に断固反対します!」
何か、僕の世代の人間にとっては「なつかしい」言葉「搾取」です!
自分の妻に給料を払っている人はいないでしょう。でも、家事は労働です。対価は発生するのです。なあんて誰も考えていない。
「恋愛」という一時の熱病の錯覚からはじまり、契約もくそもない、経済力があろうが、なかろうが一般的には何となく女性が家事を無償で行う。じつは、結局ふたりもそこへとなんだか知らない力によってどんどん流されていくのです。
そして、熟年になり、綾小路きみまろの世界に入っていくのです。ある人は離婚し、ある人はひたすら連れ合いの死を待ち、遺族年金を狙う。きみまろの世界だね、まるで。
物語はこの決着については何も語っていないのです。なんだかよくわからない二人のハグを私たちに見せて終っています(笑)。
でもね、考えてみません。
「契約」
を。
人類は(笑)(と大きく出ましたが)この二人の物語のテーマとずっと闘ってきています。で、私からの提案なのですが、ゆっくり契約していきませんか?あなたと(笑)。
ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』 1 契約結婚
ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』 2 恋愛ゲーム