《ニュース》

米軍普天間飛行場(宜野湾)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、玉城デニー沖縄県知事はこのほど、設計変更を承認するよう求めた国の「指示」に対し、期限までに承認を行うことは困難と回答し、事実上拒否しました。

 

《詳細》

事の発端は、政府が辺野古の米軍キャンプ・シュワブ周辺の海域で埋め立て工事を進める中で、一部の予定海域で軟弱地盤が見つかったことです。政府は20年4月に、地盤改良工事を実施するために設計変更を沖縄県に申請していました。

 

しかし、県は「環境破壊が甚大な上に技術的な確実性がない」などとして、21年11月に不承認処分としました。そこで国交相は22年4月、不承認処分を取り消す裁決をしましたが、県は裁決後も承認せず、国側は是正指示に踏み切ります。

 

この是正指示に反発した県は、取り消しを求めて提訴するも、今年9月、最高裁は「知事が(国の)採決に従わないことが許されれば、紛争の迅速な解決が困難になる」として国交相の是正指示を認め、県の敗訴が確定しました。

 

これに対し、玉城知事は「軟弱地盤の存在や普天間飛行場の危険性の早期除去につながらないなど不承認の論点が審査されていない」とし、今回の「事実上の不承認表明」に至りました。最初の設計変更申請から、3年以上も工事が遅れている形です。

 

政府は、県に代わって承認する「代執行」に向けて5日に福岡高裁那覇支部へ提訴しており、玉城知事に変更申請を承認するよう命じる判決を求めています。

 

辺野古への基地移設を巡っては、国と県の間でこれまで13件の裁判があり、うち6件で県の敗訴が確定し、4件で和解が成立するか県が訴えを取り下げています。