"安全な日本"から世界にフェンタニル密輸を指図 ─ 中国共産党がフェンタニルで「対米戦争」を起こす中、日本の問題認識は低すぎる
2025.08.22(liverty web)
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《ニュース》
名古屋に拠点を置いていた中国の合成麻薬「フェンタニル」密輸組織をめぐり、アメリカやメキシコに加え、ロシア、オーストラリア、インド、オランダなど世界各地に取引が及んでいたことが、22日付日本経済新聞によって報じられています。
《詳細》
フェンタニルは鎮痛薬の一種で、通常は手術の麻酔や術後の痛みの緩和などに用いられます。一方で、過剰に摂取すると心拍数が低下し、時に心肺停止に至るため、医療現場以外での使用は禁止されています。鉛筆の芯の先に載る程度の量(2mg)でも死に至る可能性があり、その中毒性や高揚感はモルヒネの約100倍、ヘロインの約50倍と強力です。
アメリカでは、フェンタニルが大量に密輸されることで中毒者が各地に溢れかえり、深刻な社会問題と化しています。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、2022年にはフェンタニルの過剰摂取で11万人以上のアメリカ人が死亡しているといい、一日に300人超が死亡している計算に。とりわけ若年層では、交通事故や銃による犠牲者を上回っています。
トランプ米政権は、中国から密輸されたフェンタニル原料がメキシコ・カナダで加工され、アメリカに密輸されているとして、3カ国に報復関税を課すなど、中国からの輸出を阻止しようとしています。
今年1月には、危険薬物をアメリカに違法流入させたとして、中国・武漢の化学品メーカー「Amarvel Biotech(アマベル・バイオテック)」の幹部である中国人男女2人がニューヨークの連邦裁判所で有罪判決を受けました。その捜査の過程で、アマベルがフェンタニル原料を、ドッグフードやナッツ、エンジンオイルなどの商品を装って、第三国を経由してアメリカやメキシコに密輸していたことが明らかになりました。
さらに、日本経済新聞は6月、密輸組織のリーダー格で「日本のボス」と呼ばれる中国人男性が、名古屋に日本法人(FIRSKY)をつくっていた疑惑があると報じました。8月7日には欧州調査機関のベリングキャットがそれを裏付ける証拠を発表。米麻薬取締局(DEA)は、日本が米中関税戦争の引き金の一つにもなったフェンタニル密輸の最前基地になっていたと見て、本格捜査に乗り出しています。
そして今回、日本経済新聞と欧米調査機関が仮想通貨の流れを調べた結果、同組織の取引先が、アメリカやオーストラリア、ロシア、東欧、中南米など、いずれもフェンタニルなどの合成麻薬の被害が深刻になっている地域に及んでいたことが判明しました。
フェンタニル関連の犯罪が少ない日本から発送した荷物は警戒されにくく、各国税関を通りやすいとされています。そうした"利点"を活かして、中国の麻薬組織が日本経由で各国に密輸していた可能性が浮上しています。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)のボー・マティアセン事務局長は、中国から日本経由でアメリカに流入する違法薬物ルートの撲滅のために、「南北アメリカや、日本などアジア太平洋地域の国々が強力に連携することが必要だ」としています(21日付日本経済新聞電子版)。
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