根絶通達出させた力
国民と力を合わせた日本共産党の奮闘が、現実政治を動かす大きな力になって働く―。その代表的な事例が、ただ働きで残業させる労働者泣かせの企業犯罪、いわゆるサービス残業を根絶するための奮闘です。
ここに最近出版された『ダラダラ残業防止のための就業規則と実務対応』という本があります。「残業稼ぎ」の労働者をどう規制するか、弁護士らが法律知識を企業に伝授しようというもの。労働者にお勧めできるものではありませんが、注目点があります。
「(サービス残業について)国会においても、野党議員から…厳しい国会質問等がなされました。こうした状況を受けて、平成13年、厚生労働省労働基準局監督課から一つの通達が示されました。それが『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について』(平成13年4月6日付基第339号)、俗にいう『4・6通達』(ヨンロク通達)です」
この本では、2001年の「4・6通達」によって、それまで労働者の自己申告が一般的だった労働時間管理が企業責任になったことを解説。通達後、労働基準監督署から「急激に指導が強化」され、裁判でも通達の影響をうけた事例が目立つようになった、と書いています。
この本がいう「野党議員」とは、日本共産党議員のことです。
「4・6通達」は、党国会議員団の長年にわたる「厳しい国会質問」と、職場をかえたいとの労働者、家族の奮闘でかちとった共同の成果です。
「4・6通達」が出てから9年余。企業にたいする厳しい規制として、労働者の強い味方としてその威力は増すばかりです。
実際、この通達を契機に労働者、家族の申告が相次ぎ、労基署の取り締まりが抜本的に強化されました。
トヨタ自動車、三菱電機、中部電力など主要な大企業があいついで摘発され、巨額の不払い残業代を労働者に支払っています。なかでもトヨタが03年1月に労基署の是正指導をうけて、生産ラインを止めて緊急集会を開いたのは、通達の効果を象徴的に示した出来事でした。
厚生労働省は、通達にもとづく監督、是正指導を強めるとともに、03年4月から毎年是正結果を発表しています。
それによると通達が出た01年4月から10年3月までの9年間で、支払われた残業代は1663億3392万円にのぼっています。労働者1人あたり平均13万円になります。是正させた企業は1万1342社、対象労働者は132万1640人です。