大相撲九州場所、14日目のメインエベントは結びの照ノ富士VS阿炎であった。きのう最高の取組というだけでなく今場所の最高の一戦といってよかった。
阿炎は不祥事で何場所も休場を言いわたされて下へ落ちていたがぐんぐん上がってきて幕内15枚目。得意の突き押しが一皮むけてなんと貴景勝も破ってしまった。いま照ノ富士に勝てそうな力士の中でナンバーワン。今場所のどの大関よりも強い。通常なら大関正代がきのう照ノ富士に当たるところが阿炎になってしまった。協会首脳部の英断であるが北の富士さんの指摘するように「正代にとって屈辱」である。首脳部も慣例破りの処置にそうとう困ったのではないか。頼りない正代を大関にしたのも首脳部であるから。
それはともかく阿炎に勝つ確率はそうとうあると思って一戦を見た。
立ち会い阿炎の突っ張りで照ノ富士が仰け反って後退。土俵際に押し込まれる苦しい展開だったが、土俵際で残して攻め返し、肩透かし気味に崩して阿炎を転がた。決まり手は「押し倒し」。
照、危ない、負ける!と思った。ただし格の違い、自力の差はあった。照ノ富士は「勢いを止めるにはちょっとでも(自分の体を)伸ばさないといけない」と意識していたという。「こっちが伸びないと相手も伸びてくれないので」、「むやみに前傾で圧力をかけず、相手の突き押しを呼び込むように意識」ということだったらしい。
それでも阿炎の成長をまざまざと感じた。
気がはやいが、阿炎の横綱を期待する。あんなに足が高く上がる四股を踏む土俵入りを見たいのである。