天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

ああ芝木好子が100円

2020-06-19 05:59:34 | 


府中市の図書館はおとといから漸く貸出しができるようになった。それまで国分寺駅南口の「古書まどそら堂」の世話になって本を読んだ。一時期閉鎖したあと訪れると入口の100円コーナーに函入り上製本が増えていた。以前は文庫本ばかりであった。
そこに芝木好子がたくさんあった。値段を見るとすべて100円。芝木好子が100円なのか……日本語の抑制と緊張の旗手が100円とは……うれしいいやらかなしいやら、はかない。

『群青の湖』発売時2000円→第1回古書値1200→第2回古書値100
『ガラスの壁』1300→800→100
『落葉の季節』1400→1000→100

百円のもやしの嵩や春の暮 小川軽舟(呼鈴)
を思い出した。
価格のあるものはすべてかなしい。価格は人とのかかわりの中で生まれる。多摩川の無数の石や砂はただそこにあって価格はない。
しかし石や砂が土台や建材にする目的でトラックに乗ったとき価格が生じる。
読み終えた芝木好子をまた「古書まどそら堂」に返そうか。ゴミに出したら別の紙になるのか。ならばもう一人くらいこの作家を読む人にめぐり合うかもしれない。一人でも多く読んでほしい日本語の粋なのである。
コメント
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