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去年より涼しい。
8月の半ばであるが猛暑日になったのは数えるほど。今日も朝から曇っていて涼しい風が吹く。
ふいに玉川上水の木の下を歩く気になり、自転車で15分北上した。
このあたりで中央線国分寺駅から北上する西武線は、鷹の台駅少し手前で玉川上水と交差する。
ここへ自転車を置き、上流へ下流へ1時間ちょっと散策した。頭上はほとんど木が覆い日差しを防いでくれる。
太い木が多くてこれを見ているだけで気持ちが涼しくなる。
楢・欅・楡と見て過ぎ汗引きぬ
櫟(クヌギ)の肌は律儀にごつごつ。
殴るなら櫟が一番過酷であろう、また、下に櫟を敷いて坐らせて膝の上に楢でも乗せれば効くだろうとか、拷問の妄想に襲われる。
櫟のごつごつは印象的である。
同じごつごつでも小楢は流れがあって溝になっている感じ。
楡は小楢よりごつごつがおっとりしているように思う。
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ここへ来て名札があって知ったのがイヌシデ。
こいつは有機物というよりセメント細工という感じで叩かれたら痛そう。櫟のごつごつのほうがまだあたたかさがあり、こいつはナチスみたいに冷酷。
山桜の太いのはいかにも老木の気配がある。
女優でいうと83歳の岡田茉莉子。太さ、曲がり具合などが醸す味わいに老艶なものを感じる。
いままで挙げてきたものは高木であつて樹皮の色を聞かれると返答に困る。
色といっても木肌色だよ、とごまかしたくなる。
これに対して山茶花の肌色はそうとう好みである。
すべすべしていて(サルスベリほどではないが)赤みと黄みを濃厚に含んだ色合は女性を感じてならぬ。
嫌いな木肌はサワラ、檜。どこまでも剥がれそうで切りがないのがその理由。
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左からサザンカ、ミズキ 下、ヤマザクラ
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玉川上水は切り立っていて格別な護岸工事がなされていない。土の固さと樹木の根でもっているように見える。
掘割の暗きに水や蝉の声
蝉時雨足元暗くなりにけり
いきなり画架に向かって絵を描いている人もいる。
カンバスの絵具匂ふや木下闇
日差しが苦手な人、上り下りは膝が心配な人、また暑くて軽めの運動にしたい人にとってここはおすすめ。
水面まで7、8m
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