かんじゃまのつぶやき(海の見えるチベットより)

日本一細長い四国佐田岬半島での慣れない田舎暮らしの日常や風景、
  そして感じたこと、思い出などをひとコマひとコマ

百聞は一験にしかず(後篇)

2011-09-04 14:19:09 | 田舎の生活
看護師の呼びこみで、検査室へ入ると狭いベッドのある場所へ案内された。
そこで、渡された検査着に着替えることになった。
検査着は、予想どおりお尻の部分に穴が開いている。
上下とも下着を脱ぎ検査着に着替えると、点滴が待っていた。
おそらく、内視鏡検査中に脱水症状を起こしてはいけないからなのだろう。
横になって静かにしていると、あの70歳代半ばの女性が今検査中のようで、医師との会話が聞こえてくる。

その方の検査が終わったらしい会話が聞こえてから少しして、お呼びがかかった。
同じ検査室内を機械のある場所へ点滴を引きずりながら移動。
ベッドと機械と担当医師がスタンバッている。
いよいよ検査開始だ。
少しの緊張が走る。 
それに、痛み止めの麻酔を打ってないので、どれほど痛いのか心配だ。

ベッドに横向きになると、看護師が検査着の例の穴がトンネル入口(普段は出口だが)に来るようズボンをたぐりよせた。
そして、腸の活動を弱める効果があるという注射を肩のあたりにされ、
その後、医師自らがトンネルの入口(普段は出口)に痛み止めだというゼリーを塗ったかと思ったら、
すばやく内視鏡を突っ込まれた。
「ンググッ!」 

ふと気づくと、右斜め上のモニターにトンネル内部が鮮明に映し出されている。
「おおっ! 毛細血管がきれいに見え、壁もきれいなもんじゃないか」と少しほっとした。
予想に反して痛みはない。

時折画像がぼやける。
そんな時、医師が手を小刻みに振る。
おそらく、ヘアピンカーブを曲がる時、カメラが壁にあたったりするのではなかろうか。
そして、どんどんトンネルの奥へと進むモニター画像を見ながら、昔「ミクロの決死隊」という映画があったなあと思い出した。
痛みはないのだが、お腹が膨らんでくる。
トンネルを広げるために空気を送っているようだ。
看護師も医師も「我慢せずにオナラしてください」と。
いやいや我慢などしていないのです。
コードを引き連れたカメラがどんどん中へ入っていくので、「しようにもできないんです」
と答えた。

やがて、モニター画像にこぶのようなものが見えた。
「えっ?」と思いドキッとしたのだが、医師はそのままスルーしてさらに奥へと進んで行く。
そして、仰向きになって下さいと言われ、体勢を変える。
さらに空気が送り込まれているようで、どんどんお腹が張ってくる。
うっ 気持ちワリイ。
ツルッとした壁や凸凹の壁をどんどん進む。
どうやら、トンネルの奥まで行ったようで、今度は引き返しているようだ。
その時、何枚か写真が撮られる。
最初、病変の撮影かと思い「ドキッ」としたのだが、
おそらく要所要所を撮っているのだろう。
そして、私が“こぶ”と思ったところで停止して、
「ポリープがあるので取りましょうね」と。
「お願いします」
電気を通しますから、と 太腿に大きめのシールのようなものが貼られた。
そして、別の何かがトンネル内に挿し込まれ、ポリープあたりをいじると、やがて、こぶのようなポリープがだらんと垂れ下がった。
今度は別の器具が挿し込まれる。
先端がハサミのような形状に見えた。
そいつでポリープの根元あたりを切っているようだ。
やがて、コロンとモニター画像の下側に落っこちてきた。
おそらく、カメラレンズの端っこがポリープを捕獲できるような仕組みにいるのだろう。
医師が「回収します」と言いながら、内視鏡をトンネルの外へと出した。
そして、「他にはないか、もう一度確認します」と言いながら、
再度内視鏡をトンネル内へ入れる。
「1度目は初心者だが、2度目はこちとらベテランだい」 てな感じで、今度は落ち着いていられた。
結局、ポリープは1個だったようだ。

内視鏡検査が終わっても点滴は続いていたので、この後別室で横になったまま点滴が終わるのを待った。
500ccの点滴を終え、着替えを済ませて待っていると、お呼びがかかり、
医師から検査結果の説明があった。
どうやら、ポリープのあった箇所は横行結腸の真ん中あたりだったようだ。
「見たところ良性だと思うが、念のため病理検査にまわします」とのこと。
無事検査を終え、空腹のけだるい心身がほっとした瞬間である。
「遠くから来ているので、病理検査結果の確認は電話でいいですよ」とのことだった。

病室を出て、事務室で支払いを終え、病院を出た頃には、山影に夕陽が沈もうとしていた。



そして、車に乗り込む。
まだまだ抜けきっていない強制的に入れられたガスを「プップ プップ ・・」と抜きながら、
行きとは違った晴れやかな気持ちで、我が家を目指して半島をひた走った。
家を出てから10時間と30分。
我が家に着いたのは、夕闇迫る時間帯。
長かった1日、いや2日。
いいや、なが~い1か月が終わった。 


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