サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

mini review 07253「氷の微笑2」★★★★★☆☆☆☆☆

2007年08月25日 | 座布団シネマ:か行
シャロン・ストーンを一躍トップスターにした大ヒット作『氷の微笑』の続編。ロンドンを舞台に、スターの不可解な死に関わる美ぼうの女流作家キャサリン・トラメルと、彼女の魅力に引き込まれる精神科医の駆け引きが展開する。魔性の女キャサリンを演じるのは、前作に引き続きシャロン・ストーン。監督は『ジャッカル』のマイケル・ケイトン=ジョーンズが担当している。相変わらずセクシーなストーンと、ラストの大どんでん返しに注目。[もっと詳しく]

まるで女レクターのように、異常心理を見透かす美人作家シャロンにあえて拍手!


半分は、怖いもの見たさである。
あの、ポール・バーホーベン監督の「氷の微笑」から14年経過している。
シャロン・ストーンのエロティックな取調室での「足の組み替え」が大いに話題を呼んだ。思い返してみても、シルヴィア・クリステルの「エマニュエル夫人」の籐の椅子での上半身裸体の脚組ポートレイトと匹敵するような映像であった。
「氷の微笑」自体は、ワールドワイドで3億5000万$の大ヒットとなった。

この続編をめぐっては、さまざまなトラブル続きで、映画のゴシップ欄を賑わせた。
企画を没にしたプロデューサーをシャロンが3年越しで、訴訟をおこした、とか。
前回の絡み役マイケル・ダグラス以下、スタッフ・キャストは早々に、参加拒否をした、とか。
一時は、シャロンが出ずに、デミー・ムーアが候補にのぼった、とか。
やはり、絡み役の男優選考が難航し、ハリソン・フォード、デニシオ・デル・トロ、ロバート・ダウニー・Jrらの名前が取り沙汰された、とか・・・。



そして、2006年、「氷の微笑2」は完成したが、興行成績は500万$がやっとで、惨敗。
恒例のラズベリー(レジー)賞には、期待通り、最多の7部門にノミネートされ、最低映画賞、最低主演女優賞など4部門で「栄冠」を獲得し、時価5ドルのトロフィーを贈られた。

シャロン・ストーンは1995年にも「わかれ路」「スペシャリスト」の2作に対して、最低主演女優賞や、シルベスタ・スタローンとの最低スクリーンカップル賞を授かっている。
その後、2004年「キャット・ウーマン」で悪役を演じたが、競演したキャットウーマン役のハル・ベリーが同年のレジー賞を受けたのも、ご愛嬌か。
前作でメガホンを取った、ポ-ル・バーホーベン監督が、シュワルツネーガー出演の「トータル・リコール」で、彼女の人気に火をつけ、「氷の微笑」で1990年代のセックス・シンボルに押し上げたようなものだ。
そのバーホーベン監督は、この続編を、「糞の塊のような作品だ!」とさんざんな罵倒をしている。とはいっても、バーホーヘン監督自身も「ショーガール」(95年)で、このラジー賞を獲得しているのだが・・・・。



前作のストーリーも、もうほとんど忘却されているが、舞台はサンフランシスコからロンドンに変われど、シャロン・ストーンが演じる美人ミステリー(犯罪)作家キャサリン・トラメルという設定は、同じである。前回、シャロンに翻弄されたのは、刑事役を演じたマイケル・ダグラスであったが(その役柄が強烈過ぎたので、以降どの作品をみても「氷の微笑」の巻き込まれ型設定が想起される)、今回は精神分析医アンドリュー・グラス(デヴィッド・モリシー)である。

48歳にもなってそのケバイ設定はないでしょ、最悪の脚本ね、30万$もするスポーツカーで110マイルのスピードで、セクシャルな行為をしながらぶっとばし、テムズ川に突っ込み、人気サッカー選手の婚約者を死なせてしまう。そんな導入部ありうる?とかとか、まあレヴューを少し眺めてもさんざんな評価なのであるが、僕は、結構、愉しんでみたのである。



ひとつは、なんといってもシャロン・ストーンの48歳とは思えない、見事な肢体である。
どうも、代役ではなさそうだ。
顔のしわは、デジタル合成処理でバッチリ補正している。
「危険」がないと生きられない厄介な異常心理者であるとか、天才的な虚言癖であるとか、出会った人間を次々と罠にはめる犯罪者であるとか、まあ、悪女の典型として描かれているのであるが、裏を返せば、(自分の作品のために)ゲームのように相手を追い詰めていく頭のよい美貌の作家として捉える事だって出来る。

もうひとつは、叙述型のミステリーといえなくはないが、生真面目な精神分析医グラスを小説のモデルに設定し、崩壊させていくわけだが、グラスのパートナーであるウォッシュバーン刑事(デヴィッド・シューリス)の過去を知るにつけ、次々と殺害される関係者の真犯人は、悪女トラメルなのか、この刑事ウォッシュバーンなのか、精神分析医グラスは、わからなくなってくる。

そして、最後の結末は、崩壊したグラスは殺人に追い込められ、結果、精神病院に追いやられ、そこに、グラスをモデルに小説を書き上げたトラメルが、意味深なセリフと本を残して去っていく、というものである。
ここからは、どんでん返しとして、関係者の連続殺人はすべてグラスの仕業であるというトラメルの断定が残る。
それが、トラメルの虚構なのか、真相なのか、どちらでもとれるようにエンドとなる。
もちろん、映画的了解からすれば、グラス犯罪説はルール違反なのだが、結構、ミステリーでは、叙述主体が犯人であったというオチはあることなのだ。



ともあれ、三度の離婚含めて、いつもゴシップ記者への話題提供者であるシャロン・ストーンは、僕の好きな役者である。
幼い頃はIQ154の天才的な子供であったらしい。
地元の数々のミスコンで優勝を重ね、トップモデルにまで上り詰めた。
ウディ・アレンのチョイ役で銀幕デヴュー。そして、「ターミネーター」で注目され、「氷の微笑」で一挙にスターダムに輝いた。
エイズ治療研究を支持し、熱心にチャリティ活動も行い、同性愛者に関しても擁護している。

僕自身は、ヒューマン作品であるが、いじめられっ子と難病の子らを優しくそして厳しく接する母親役を演じた「マイ・フレンド・メモリー」の演技や、颯爽とした女ガンマンを演じた「クイック&デッド」やゴールデングローブ主演女優賞をとった「カジノ」や、ジーナ・ローランドの貫禄豊かな名演技には勝てるわけはないのに、果敢に「グロリア」のリメイクに挑戦したり、最近作「ボビー」で演じた美容師役など、好きな作品はいくつもある。
次は、シンガーソング&ライターでデヴューするという噂もある。
米タブロイド誌「インタッチ」では、「エイジレスなセレブNO.1」の称号を与えられた。
さすが話題を振りまく、ハリウッド女優である。楽しいではないか。

悪評にもかかわらず、僕は「氷の微笑2」のシャロン・ストーン演じる美人作家トラメルは、ちょっと、アンソニー・ホプキンス演じるレクター博士の女性版のように、見えてしまったのだった。
できることなら、「氷の微笑3」(絶対ありえないだろうが)で、還暦をこえたシャロン・ストーンがまたまた冷徹に犯罪者心理をプロファイリングしながら、ニヤっと笑って、あのレクターのように口元の血を、拭ってほしいものだと思っている。


 



最新の画像もっと見る

18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
トラックバック、ありがとうございます。 (冨田弘嗣)
2007-09-01 02:52:56
 意外と私も、この作品を楽しみました。A級のにおいもなく、B級プンプンなのだけれど、前作を観ていなくても、脚本がけっこう上手い。かなり滅茶苦茶に叩かれたりしている本作ですが、前作と比較してしまうからいけないわけで、私は別作品としては面白い映画として印象に残っています。  冨田弘嗣
返信する
富田さん (kimion20002000)
2007-09-01 06:09:43
こんにちは。
前作も、ちょうどいい具合に、忘却しているんで(笑)
いいじゃん、これって思いながら、気軽に見ていました。
返信する
こんばんわ! (あっしゅ)
2007-09-02 00:16:34
こんばんわ!
コメントありがとうございます!

あはは!
確かに還暦を迎えたシャロンが
「氷の微笑3」
でまたまたやってもらいたいものですね!
実は「氷の微笑4」くらいまでいくのかもしれませんね!
若い男がターゲットになるのでしょうか!?
返信する
あっしゅさん (kimion20002000)
2007-09-02 02:46:18
こんにちは。
そうですね、今度は日本を舞台にして、キャサリンに渡辺謙あたりが、やっつけられるという設定は、いかがでしょう?(笑)
返信する
こんばんは (Qchan)
2007-09-03 18:50:59
いつもTB&コメントありがとうございます

漢籍を迎えたシャロンが「氷の微笑3」と言うのは
かなりいいアイデアだと思います!
実現するといいですね!(笑)
返信する
Qchanさん (kimion20002000)
2007-09-03 19:42:28
こんにちは。
ですよねぇ。ますます、怖いもの見たさ。
整形技術ももっと向上しているでしょうし(笑)
返信する
トラ・コメ・・いつもどうもです。 (ひらりん)
2007-09-04 03:54:21
彼女くらいになると、出たい作品に、口も金も出せるでしょうから、仕方ないですね。
出るからには、ぶざまなお肌は見せられないので、
CG処理したのでしょうね。
恐るべき女優根性・・・。
こういう人は次、なにやるかが楽しみですね。
返信する
ひらりんさん (kimion20002000)
2007-09-04 09:26:19
こんにちは。
ある意味で、ハリウッド女優らしいですね。
この系統を継ぐのは、デミー・ムーアあたりかしらね。
返信する
こんばんは~♪ (Aki.)
2007-09-05 02:40:14
コメント有難う御座いました♪

いや~、実はシャロンの美貌にメロメロで御座いました(^^ゞ
が、まさかCGだったとは・・・
作品自体も面白くなかったし、誰か止めてやれよって幹事ですね^^;

ではでは~、これからもよろしくお願いします♪
返信する
Akiさん (kimion20002000)
2007-09-05 08:58:04
こんにちは。
いやいや、シャロン様を止められる人なんて、地上にはおりません。
返信する

コメントを投稿