サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

第五十一話

2010年08月06日 | 夢脳

時代がかった大きな競技場のような施設。
施設の内側は、船室のような部屋が相当な数で、何層にもわたって設置されている。
私はその一室で寝転んでいたが、なにやら外の歓声が気になって、競技場に出てみる。
なにかの式典なのか、人がびっしりと入っている。
私の目の前で、通路のようなところだが、中学生ぐらいの男子が向き合って、白い舞台衣装をつけている。
片方の男の子が、大袈裟なジェスチャーをしながら、もう片方に歌いかけている。
「もののけ姫」のテノールのような甲高い声。
まだ声変わりしていないのかもしれない。
そんなに美しい少年には見えないが、どうやらこの声が競技場のような空間全体に響き渡って、観客を魅了しているようだ。
観客には、ちらほら外人の賓客もいる。
なにやら原爆の追悼集会のようだな、と私は思ったりする。
部屋に戻る用事を思い出して、もときた部屋を探そうとするのだが、迷い込んだみたいで、さっぱりわからない。
私は、階段を上ったり降りたりしながら、途方に暮れている。

図版:空穂(うつぼ)


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