けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

データに基づいた議論をしよう!(騙されてはいけないふたつのポイント)

2012-02-02 23:15:20 | 政治
最近、国会を中心に年金制度の試算の公表について喧々諤々やりあっている。民主党の言い分は、誰がどう聞いても子供の弁解レベルで、臭いものには蓋という方針があからさまに見えている。まあ、これについてはこれ以上語っても意味がないので止めておくが、ここではあまり話題になっていない見落とされていると思える二つの点を議論したい。

まず、ひとつ目のポイントは、あの試算に対するマスコミの論調は「『更なる増税』があることがけしからん」ということのようであるが、誰の目にも将来「更なる増税」が必要となるのは自明である。高齢化社会が極端に進み、若年世代の人口比率が驚異的に減る。保守系の人がいう「自助を前提とする小さな政府」を極端に進めない限り、ある程度の年金、福祉にお金がかかり、増税が避けられないのは必然である。それほど高齢化が深刻でないスウェーデンでも食品などを除く一般的な物にかかる消費税は25%なのだから、高齢化が進む日本で10%で足りる訳がない。だから、あの試算のニュースを聞いたとき、私はあたかも「60年先まで見込んでも、消費税率が17.1%(=0%+7.1%)で足りるとは驚き!」という誤解をしてしまった。しかし、これは明らかにミスリードされた理解である。民主党は、多分、小沢氏が代表だった2007年の時点で、「7万円の最低保証年金は、年収1200万円以上の高額所得世帯には遠慮してもらう」と言っていた。2009年の衆院選の時には、「野党にはデータがないから試算できない」と言って、あたかも2007年時点での試算(主張)が生き残っているかの様に振舞った。しかし、昨年春の試算は「最低保証年金を満額受け取れるのは年収260万円までで、690万円を超えると支給はゼロとなる。結果として、年収420万円以上の世帯では、現行制度よりも大幅に受給額が減る。」という前提での試算である。現行制度であっても、受給額は今の年金受給者よりは減るのである。であれば、財源として消費税率をどの程度にするかに関係なく、現役世代がその時の高齢者を扶養する賦課方式を続ける限り、将来的に破綻することは確実なのである。「50年後でも消費税率は17.1%で足りるんだ!」と糠喜びをしてはいけないのである。

次に、ふたつ目のポイントであるが、今回のこの試算が、何故このタイミングでマスコミに大々的に取り上げられたかについてである。別に素人だから、裏を取ることなどできないが、民主党内の「増税反対派」ないしは「反主流派(小沢派)」が増税潰し、さらには野田内閣潰しのために仕掛けた戦術であるとみるのが妥当だろう。何と言っても、(単なる内容のリークではなく)「民主党」とでっかく真ん中に書かれた資料のコピーが出てきているのだから、内部の確信犯が情報を流したのは間違いない。だから、その様な意図を持った集団に踊らされる議論をするのも問題なのである。だから、これを機会に「前向き、建設的な議論」をすることに心がけなければ、彼らの術中にまんまとはまることになる。これではいけない。

これらのポイントを意識して、前向きな議論をするためにはどうすれば良いか?

与党でも野党でも目的はひとつなのだから、例えば「(名目)成長率の推移をどの様なモデルとすべきか」「積立金の運用益をどの様にモデル化するか」「少子高齢化の推移のモデルをどの様に考えるか」「何年先までの試算をするか(最低、50年以上先が見通せないようでは困る)」などといった評価の前提のあるべき姿を最初に各党の専門家で決めればよい。その先は、最低保証年金の有無や、賦課方式、積立方式など各党の提案を導入した場合の試算を各自で行うのである。少なくとも、民主、自民、公明などはある程度の試算のもとになる情報を持っているはずなので、相互に検証を行うことも可能なはずである。大学の先生方もパラレルに検証し合えば、誰の試算が信頼できて、その結果、どの提案方式が最も優れているのかを議論できるはずである。

ある程度、議論がこなれてきたら、例えば生涯の平均年収を基準とするならば、年収1200万円、800万円、600万円、400万円、200万円、100万円などと細かく分け、さらに家族構成や専業主婦/共働きなどを組み合わせた場合の年金受給額の試算を個別に行い、それをネット上で公開すればよい。マスコミは典型的な条件を幾つか例に取り、「さあ、国民の皆さんはどれを選びますか?」と問えば良い。何事もそうなのであるが、議論は定量的なデータ・情報に基づいて行われるべきである。単独の政党が提供する情報は、常に情報操作を意図したものである可能性が高い。幸いにして、政権交代により複数の政党が相互に検証できる状態なのである。

明確なデータに基づいた議論を前向きに是非とも進めて欲しい。

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