西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ベートーベン 作品番号 分析(5)

2014-12-27 09:09:12 | 音楽一般
Op.40は、バイオリンと管弦楽のためのロマンス 第1番です。このト長調の曲にもう一つ第2番としてヘ長調の曲があり、これがOp.50となっています。普通1番が先で2番が後に作曲されたと思いたくなるのですが、逆です。1番は1802年に完成されたので、ほぼ番号は作曲年代に会っていますが、2番は1798年ごろの作品ということで、番号は年代を表わしているとは言い難いということになるでしょうか。両者とも10分足らずの曲で最初知った時、ベートーベンにこのような曲があったのかと思うほどの愛らしい小品です。バイオリンの小品集にも出ていて、私も2つとも勉強しました。特にヘ長調の方は折に触れて自分で楽譜を取り出しては弾いたものでした。ベートーベンはどのような機会がありこの2つの作品を書いたのか。とても知りたく思うのですが、それに触れた説明をこれまで読んだ記憶がありません。両方とも献呈者はなしです。バイオリン協奏曲の前に置かれた習作のようにように言われることもありますが、そういう風な受け取り方にとどめて考えたくはないように思います。カラヤンはあれほど膨大な録音を残し、ベートーベンについてはシンフォニーを何度も取り上げながらこの2曲の録音は残しませんでした。とても残念に思います。

Op.43は、バレー音楽《プロメテウスの創造物》です。1801年完成ですからほぼ年代を表わしていると言っていいでしょう。「序曲 ハ長調・序奏と16曲」から構成されていますが、ピアノへの編曲版があり、それには管弦楽版にない2曲が含まれていると解説書などにはあるのですが、ピアノ編曲版はこれまで録音されたのを見たことがありません。特にその2曲を聴いてみたいものですが、いつか出ることがあるか?

Op44は「ピアノ三重奏のための14の変奏曲 変ホ長調」です。作曲は「1792にスケッチさる;?」とあり、なぜこれがこの番号を付けられたのか分かりません。

Op.46は歌曲《アデライーデ》です。1795または96の作曲ということでこれも作曲年代とは食い違っています。

Op.48はゲレルトの詩による「6つの歌曲」です。1802年3月以前としか作曲年については書いてありません。ひとつ前(Op.47)が1803年に完成された有名なバイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》ですから、ほぼ合っていると言うべきでしょうか。4曲目が有名な《自然における神の栄光》です。

Die Ehre Gottes aus der Natur
Die Himmel rühmen des Ewigen Ehre;
Ihr Schall pflanzt seinen Namen fort.
Ihn rühmt der Erdkreis,ihn preisen die Meere;
Vernimm,o Mensch,ihr göttlich Wort!

Wer trägt der Himmel unzählbare Sterne?
Wer führt die Sonn aus ihrem Zelt?
Sie kommt und leuchtet und lacht uns von ferne
Und läuft den Weg gleich als ein Held.

タイトルを検索したら、管弦楽伴奏の合唱がユーチューブで出てきて今聴きました。すごいですねえ、ほんとに便利なすごい時代だと思います。歌詞を探すので検索しようと思ったのでしたが。ゲレルトの詩はどれもベートーベンの倫理性に合ったもののように思います。彼は常々モーツァルトが作曲したような、例えば「ドン・ジョバンニ」のようなのは非難していました。その対極にあるような詩だと思います。私は、6曲目の《懺悔の歌》のメロディーに特に魅かれます。すぐ頭に旋律が流れてきてしまうのですね、この作品集を思い浮かべると。

次回は50番台から書きます。