西洋音楽歳時記

旧称「A・Sカンタービレ」。07年には、1日1話を。その後は、敬愛する作曲家たちについて折に触れて書いていきます。

ベートーベン 作品番号 分析(4)

2014-12-26 14:06:04 | 音楽一般
Op.20は、七重奏曲でバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス各1本に、クラリネット、ファゴット、ホルンが加わる。作曲年は1799年でほぼ作品番号は、作曲年を表わしていると言っていいだろう。Op.21は第1交響曲である。これは1799年から1800年にかけて作曲された。七重奏曲の初演は、実はこの第1交響曲と同時になされた。1800年4月2日のことである。今の演奏会の感覚からいうと、室内楽曲と管弦楽曲が同じコンサートで行われるというのは奇異な感じがするが、この時代は普通に行われていたようだ。この時ハイドンの「天地創造」からのアリアや二重唱もあったという。そして交響曲より七重奏曲に人気があったということだ。

七重奏曲は、のちにクラリネット、チェロ、ピアノ用の三重奏曲に作曲者自身により編曲されている。Op.38で、1802年から3年にかけてで番号は作曲年を表わしていると言っていいだろう。ひとつ前(Op.37)が1803年ごろ完成のピアノ協奏曲第3番、2つ前(Op.36)が1802年完成の第2交響曲である。七重奏曲の第3楽章のメヌエット主題は、ピアノ・ソナタ第20番(Op.49の2)の第2楽章と同じである。このピアノ・ソナタのほうが先ということで、ピアノ・ソナタ第19番(Op.49-1)ともどもピアノ・ソナタの方は、番号が年代とは全く違うところに置かれたということになる。

Op.25は、フルート、バイオリン、ビオラのための三重奏曲。1801年作曲なので、番号は作曲年を表わしています。この作品の編曲物については前に述べました。

Op.32はティートゲの詩による、歌曲《希望に寄す》です。5分ほどの曲ですが、作品番号が付けられています。よくリートなどは6曲など数曲セットで番号が付けられていますが、ここは1曲です。作曲年は、1805年3月以前としかわかっていないようです。Op.31が3曲からなるピアノ・ソナタで1802年作曲ということですから、番号がずれている感じがしますが、ほぼと考えれば、作曲年にあっていると言っていいでしょうか。この作品は第1作で、ずっとのちに第2作を作曲しています。第1作で付けられてなかった詩に、第2作では曲が付けられています。Op.94で1815年の作品です。8分弱の長さですが、やはりこの曲1曲に番号が与えられています。ベートーベンのリートはモーツァルトやシューベルトに比してあまり重要視されていませんが、詩の内容を読むとその時代のベートーベンを理解するのに欠かせないのではと思われます。Op.番号は付けられていませんが、1820年3月に作曲された《星きらめく夕べの歌》(WoO150)などを見てもそのように思うことがあります。

Op.33は、ピアノによる「7つのバガテル」です。1801から2年にかけて作曲されたということで、年代はあっていますが、セイヤーによると、愚弟カールが勝手に出版したということのようです。

Op.39は、「ピアノまたはオルガンのための全長調にわたる2つの前奏曲」という長い名前が付いています。作曲年は、1789?となっていて、ウィーンに来る以前であることは確かなようです。改訂されたということでもないので、どうしてここで出版されこの番号が付いたのか、説明を見た記憶はないです。

30番台まで見ました。次回は40番台以降を見てみたいと思います。