「のだめ」の第2話で、峰龍太郎が弾いた曲です。ベートーベンの作品の中でも出色の明るさを持つ曲です。本当に青春の伸びやかさが出た佳曲と思います。1800年から1801年にかけて作曲されました。ベートーベン31歳の時に完成したということになります。バイオリン・ソナタを10曲書いていますが、その第5番です。この頃、実はベートーベンは耳の不調を周囲の人に訴えています。
「・・・今非常に不幸な生活を送っていて、自然とその創り主にさえも見放されているからだ。何度も私は、神自身の創りたもうたこの私を危険にさらした神を呪ったものだ。その危険は、たとえ小さくても、美しい花を打ち砕き、破壊してしまうことがあるものだ。聞いて欲しい、私が一番大切にしているもの、私の聴覚がひどく衰えたのだ。・・・」(1801年7月1日、アメンダ(バイオリニスト)宛の手紙。)
このバイオリン・ソナタ『春』が作品番号24。作品番号27の2が有名なピアノ・ソナタ第14番『月光』(1801年作曲)。このピアノ・ソナタはジュリエッタ・グイッチャルディに捧げられた。彼女は当時16歳、ベートーベンからピアノを教わっていた非常に魅力にとんだ少女で、ベートーベンは結婚したいとまで考えていたようだ。このような背景が、『月光』のみならず、『春』の方にも反映されていたのではないかと思われます。
私事。レッスンでこのソナタをしました。何とか、3楽章を終えたのですが、4楽章途中で、理由は覚えていませんが、やめて他の曲にいってしまいました。難しいと思っていました。それでも普通止めることはないのですが、なぜ止めたのだろう、よくわかりません。第1楽章はいつでも弾けるようにしたい、自分のレパートリーにしたいと思ったりして、また最近始めましたが、常に思うことですが、よくこんな曲を弾けたなと思っています。でもゆっくり少しずつ昔やったことを思い出して、暗譜でも弾けるよう頑張りたいと思います。
ベートーベンのバイオリン・ソナタというと、第9番『クロイツェル』(作品47)も有名です。最後の第10番も筆者のお気に入りです。
次回は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番について書きたいと思います。