「のだめカンタービレ」でコンクールでの演奏曲としてシューベルトのピアノ・ソナタ第16番が出てきます。あまり知られていない曲ですね。原作者はよくクラシック音楽をご存じな方なのですね。ピアノ・ソナタというと、ベートーベンは32曲、モーツァルトは17曲書いてますが、シューベルトも21曲書いてます。というより後の人が番号をつけたのが21あるといった方がいいでしょう。でもこのうち、9曲は未完です。有名な交響曲に「未完成」というのがありますが、シューベルトは他の分野でも未完の曲が多く、とりわけピアノ・ソナタで多いですね。でも私は、その「未完成」交響曲を含め、未完のものに惹かれることがおおくあります。
戻りますが、第16番のソナタは、1825年シューベルト28歳の時に作曲されました。大規模なソナタです。リヒテルのレコードでこの曲を知りました。リヒテル特有のしっかりその曲の全体像を捉えた演奏という印象を持ちました。それほど回数は聴いていず、頭にそのメロディーは残っていませんでしたが、ドラマで聴いて思い出したというところです。
さてシューベルトのピアノ・ソナタですが、最後の3曲に特に惹かれています。とりわけ最後の21番のソナタは神品といった感じを受けます。これまたリヒテルのレコードで知りましたが、このような演奏を残してくれたことに深く感謝です。そしてシューベルトの深い哲学的な、死を間近にした作品というのはこのようなものなのかとさえ思います。19番のソナタの終楽章も極めて深い印象を与えます。これらを書いた後、2ヶ月してシューベルトは亡くなりました。一般にシューベルトは歌曲王として名を知られていますが、他の分野の作品ももっともっと知られていいでしょう。1000曲ほどの作品のうち9割以上を聴いていますが、聴くたびにその魅力は膨れていきます。これからも聴いていきたいと思います。
「のだめ」の中ではもっとシューベルトが出てきていいような感じを持ちましたが...。