Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

根本式立ち幅跳び指導法の追試 4

2011-06-21 23:09:25 | 体育
 最後はマットでの練習である。

 根本氏の指導案では「マットから跳ぶ」となっていたが,ロングマットの数の関係で用意できず,床からマット目掛けて跳ぶという形になった。

 ある程度練習をさせた後,3つのポイントができているかどうか個別評定をさせる予定であった。
 しかし,評定はせずに記録測定へと移っていった。

 S氏によると,評定を入れると時間不足になると判断したとのことである。
 前日の指導で,S氏には個別評定の重要性についてレクチャーしていたので,これは残念であった。私の見たところ,時間不足という感じはしなかった。評定に自信が持てず,やめたのかもしれない。

 記録を計測してみると,ほとんどの子が伸びていた。

 肥満型のA君は110㎝から170㎝に伸びた。
 「60㎝も伸びた。奇跡が起こった」と私のところにニコニコしながら報告に来た。
 182㎝だったBさんは,200㎝の大台に達した。

 発達障害のC君は,朝の計測では80㎝だった。この時間の計測では50㎝前後であった。
 自己肯定感が低いので「どうせおれなんか駄目なんだ」という態度になってしまった。
 そこで,私が指導してみたが,70㎝に達するのがやっとであった。
 フォームを意識するあまり,ぎこちない動きになってしまっているのが原因だと思われる。

 結果は,次の通りである。

●指導前の平均記録 138.0㎝
●指導後の平均記録 157.2㎝
●伸びた平均記録   18.0㎝

 
 昨年度の体力・運動能力調査の全国平均は,男子153.44㎝,女子145.2㎝であるから,それを上回る結果が出たということがいえる。

根本式立ち幅跳び指導法の追試 3

2011-06-20 23:06:37 | 体育
 根本氏の指導案では呼吸と動きを合わせることが強調されているが,S氏は呼吸についての説明は特にしなかった。

 しかし,S氏が手にしていたボートには呼吸のことが書かれていたので,子どもたちは教師からの説明がなくても呼吸を意識することができた。



 実際,「イチ・ニー・サンと言いながらやったら,息を吸えないんじゃないかな」「ニーのときだけ,声を出さなければいいんじゃないか」と話し合っている子たちもいた。

 そして,その場で「イチ・ニー・サン」と動きを試してみている子もいた。
 「うん。これなら跳べそうだ」とR君は言っていた。


 マットと跳び箱の1段目を出して,場づくりをした。
 「これなら高い所からだから,相当いける」という子が多かった。



 つま先立ちになっていない子がいたので,跳び箱の先端部分につま先を掛けるようにアドバイスしていった。

 7~8分ほど練習させて,場を跳び箱から踏み切り板に変えさせた。
 どのように跳ぶのか,最初にS氏が示範をしてから練習させた。




根本式立ち幅跳び指導法の追試 2

2011-06-19 00:03:10 | 体育
 AかBか,どちらが遠くへ跳べますか。手を挙げてください。

 示範後の反応からも分かるように,明らかにBが多かった。
 Aがよいという子も数名いたが,ふざけ半分のようであった。

 どうしてBの方が遠くへ跳べるのですか。意見のある人は発表してください。

 子どもから出た答えは,「腕を振っている」「跳ぶ時も着地の時も膝を曲げている」「足を上げている」の3つであった。
 感心したことに,全てのテクニカルポイントを発見している。
 これはS氏の示範の仕方がうまかったからである。
 ポイントが発見できるようにオーバーに表現したからである。

 みんなの意見をまとめます。
 立ち幅跳びのコツは3つあります。
 ①膝を曲げます。
 ②つま先で蹴ります。
 ③着地のとき,両手を下におろして,膝を曲げます。


 根本氏の指導案では,次のように書かれている。

 呼吸に合わせて,動いていきます。
 ①で全部息を吐き切ります。すると自然に膝は曲がります。両手をおろしながらすると自然に呼吸は吐けます。ここで一瞬息を止め,間(ため)を作ります。
 つま先は跳ぶ瞬間にするのではなく,最初からつま先立ちになっています。つま先立ちになっていると,自然に前傾姿勢になり,斜め前方に跳べます。蹴ると同時に両手を上げます。手足の協応動作ができます。跳ぶタイミングが大切です。息を吸います。
 最後は両手を下に下げながら着地します。この時、息を吐きます。息を吐くと,膝は自然に曲がります。
 イチ,ニー,サンと声を出させて跳ばせると呼吸を強調しなくてもできます。

根本式立ち幅跳び指導法の追試 1

2011-06-18 22:59:41 | 体育
 TOSS体育代表の根本正雄氏の立ち幅跳び指導を追試した。
 「探偵!ナイトスクープ」において,5cmしか跳べなかった女性が143㎝跳べるようになった指導法の追試である。

 追試の依頼と指導案を3月に根本氏からいただいていた。
 しかし,東日本大震災で実践できなかった。

 現在,校内で体力・運動能力調査を行っているので,この機会に追試授業を行うこととした。

 実際に授業を行ったのは,教育実習で私のクラスに入っている宮城教育大学4年のS氏である。
 体育の授業で何をしたらいいか相談され,ちょうど体力・運動能力調査の時期でもあるので立ち幅跳びの授業をしてはどうかと提案し,根本氏の指導案を渡した。
 発問・指示・留意点は指導案に書かれているので,この通りに追試すれば授業が可能である。
 指導技術を持たない実習生にとって,追試は効果的である。
 機械的な真似であってもよい。
 追試することによって,すぐれた授業の組み立てが理解できるようになってくる。

 指導案では,2時間扱いとなっている。
 1時間目に記録を取り,2時間目に指導して前後の記録を比較する流れとなっている。

 6月16日,1時間目に私が授業を行った。
 授業といっても,場づくりをしてグループごとに立ち幅跳びの記録を測っただけである。

 同日の5時間目に,S氏が2時間目の授業を行った。

 先生が跳べない方法と跳べる方法でやってみます。どこが違うか,よく見ていてください。

 教師が示範した。

 Aは跳べない方法である。
 ①膝が伸びている ②踵がついている ③手の振りあげ振り下げができていないやり方である。
 示範すると,子どもから「ペンギンみたい」と笑い声が聞こえた。
 
 Bは跳べる方法である。
 ①膝が曲がっている ②つま先で跳んでいる ③手の振りあげ振り下げができているやり方である。
 「おー」という反応であった。

パイナップルから沖縄を見る 7

2011-06-17 00:02:18 | 社会
 「できない派」は夏は育つが,冬越しするのが難しいだろうというのである。
 沖縄では雪が降らないが,仙台では雪が積もるという。

 ここで,パイナップルは10℃以下では成長が止まるということを教えた。

 すると,「仙台では冬は何℃位だろう」と,地図帳で2月の平均気温を調べる子が出てきた。
 そのページを全員に開かせた。

 仙台は0~3℃となっている。
 これでは仙台でパイナップルを育てるのは無理である。

 一方,沖縄は10℃以上になっている。
 よく見ると,10℃以上になっているのは沖縄しかないことが分かる。
 九州地方も10℃には達していない。

 これで,パイナップルが沖縄でしか採れない理由が分かった。

 今回の学習は,子どもたちにとって遊びのようなものであった。
 しかし,遊びながらも授業のねらいには十分に到達している。
 パイナップルの学習を通して,沖縄の気候の特色を捉えることができたのである。

パイナップルから沖縄を見る 6

2011-06-16 22:46:48 | 社会
 「この写真は何でしょうか」と子どもたちにいきなり聞いた。
 「学校の畑に植えたパイナップルだ」という。


 「こんなことをして,実ができるのか」という子がいた。
 すると,調べてきていた子が「できる」と言った。

 K君は2~4年すると実ができるということを調べてきている。
 「実ができたとしても僕たちが中学生になってからだ。採りに来てもいいか」と自主学習ノートに記していた。

 次のような問題を提示した。

 学校の畑に植えたパイナップルは実ができるか。

 「できる」という子が8人,「できない」という子が24人であった。

 それぞれの意見を聞いた。

■「できる派」
・仙台でも夏は暑いからできる。
・沖縄と仙台では気候が違うから,4年以上掛かるかもしれない。時間は掛かるができる。
・仙台でも条件が揃えば育つ。

■「できない派」
・仙台は寒いから難しい。
・沖縄とは気温が違いすぎる。
・仙台の冬の寒さには耐えられないだろう。
・「条件が揃えば」というけれど,仙台では条件が揃わないだろう。

パイナップルから沖縄を見る 5

2011-06-15 00:00:45 | 社会
 「静かに待っているR君にだけ見せます」と言って,冷静沈着な態度だったR君にだけパイナップルの切り口を見せ,確認させた。

 「中に芯がありました」

 缶詰のように空洞でもないし,タネも見当たらない。

 さあ,子どもたちにとってはいよいよここからがクライマックスである。
 上・中・下の部分に分けて,試食である。

 しかし,ここで問題発生である。
 何人かの子が1人で何個も食べたために足りなくなり,上・中・下の3種類を食べられなかった子が出てきた。

「勝手なことをしているのは誰ですか。
 自分さえよければいいのですか。
 先生なんか芯の部分しか食べていないんだぞ」

 教室に嫌な空気が流れる。
(まずい…。こんなときに説教を喰らってしまうのか…)

 子どもたちがそう思ったときである。
 バッグの中から2個目のパイナップルが登場した。
 「説教ではないか」とびくびくしていた緊張状態の中でオチがつき,ホッとした表情で笑いがこぼれた。
 無事に全員が試食できた。

 どこが一番おいしかったか問うと,真ん中という子と下という子に分かれた。
 これは「おいしさ」の基準が人によって違うからである。
 甘酸っぱいのが好きな人は真ん中,甘いのが好きな人は下を選んだのである。
 
 授業後,切り取ったパイナップルの葉の部分を畑に植えてきていいかという子がいた。
 これは私のねらい通りである。
 自主学習で調べたことで,葉の部分を植えると育ってパイナップルができるということを知っているのである。

 根づいて,ある程度は成長するだろう。しかし,その後はどうなるか。
 成長を観察し続けていくことで,沖縄の気候の特色を実体験からつかむことができる。

パイナップルから沖縄を見る 4

2011-06-14 23:30:15 | 社会
 自主学習で調べてきた子が更に増え,「パイナップルのなり方」を調べてきた子は8名になった。
 問題は無事に解決である。

 さて,今日の授業では新たな「はてな?」を提示した。

 パイナップルを輪切りにすると,どうなっているか。

 ノートに絵を描かせた。
 机間巡視をしながら分類し,黒板に書かせていった。

 子どもたちの考えは,次のようなタイプに分かれた。

・真ん中に芯
・真ん中に空洞
・果肉がぎっしり詰まっている
・放射線状に分かれている
・真ん中にタネ
・芯があって,その周りにタネ
・芯があって,果肉のところどころにタネ

 板書した子に簡単に説明させた。

 さあ,いよいよ答えを確かめる。
 包丁とまな板を取り出す。

 ここで新たな問題を提示した。

 パイナップルの上の方,真ん中へん,下の方。どこが一番おいしいでしょうか。

 上が1名,真ん中多数,下が6名であった。

 いよいよ包丁が入る。
 「ザクッ」「おーーー!」
 群がってくる子どもたち。興奮状態である。

パイナップルから沖縄を見る 3

2011-06-13 23:32:35 | 社会
 「パイナップルはどういうかっこうで実がついているのか」という「はてな?」。

 週末の自主学習で,6人の子が調べてきた。
 素晴らしい探究心である。

 この6人はおそらく勉強してきたつもりではないだろう。
 ほとんど遊びのつもりで調べたのではないだろうか。
 遊びの延長が勉強につながっているというのがよい。

 前回の授業で出された案の中では王冠型が正解に近いようだが,ちょっと違う。
 そもそもパイナップルは木になっているのではないということが分かる。

 木になっていないということは,パイナップルは果物ではないのではないだろうか。
 すると,パイナップルは野菜なのだろうか。
 このような新しい「はてな?」が出てきた。






パイナップルから沖縄を見る 2

2011-06-11 01:08:32 | 社会
 子どもたちのノートを巡視していき,即座に分類していった。
 そして,黒板に書くように指示していった。
 全部で8種類に分類できた。

 黒板に出た8種類について,描いた子に説明させ,その上で,私と子どもたちとでネーミングしていった。





 黒板に出た中のどれが正しいと思うか挙手させていった。結果は次の通りである。

 ①大根型…………………0人
 ②かぶ型…………………0人
 ③やしの実O型…………19人
 ④いも型…………………1人
 ⑤やしの実A型…………1人
 ⑥根型……………………8人
 ⑦王冠型…………………0人
 ⑧双子型…………………4人

 「正解はどれでしょうか。教えません。家で調べてきてみてください」と投げ掛けると,「自主勉強でやってきていい?」「よし。インターネットで調べてみる」と乗り気の子が多くいた。

 このように「はてな?」のまま授業を終えると,次の時間までの間がうまく生かされる。
 
 ちなみに正解は子どもたちの考えの中にはない。
 月曜日の反応が楽しみである。