Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

教育実習日誌へのコメント 13

2010-05-29 00:42:22 | 教師修業
 4週間の教育実習,お疲れ様でした。様々な学びがあったことと思います。
 大学では,授業の教え方や教育技術を教わるということはあまりないと思います。ですから,教育実習という実践の場は大変貴重です。

 A先生のすばらしいのは,毎回の自分の授業をしっかりと振り返り,分析を加えている点です。
 うまくいかなかったのにはどのような原因があるのか,うまくいったのはどのような点であるかを,しっかりと考えていました。そして,その反省を生かして,次の授業に臨んでいました。
 このように自分の実践に整理を加えることは大切です。そうすることによって,いろいろな教育技術が見え,力がつきます。授業をしただけで振り返ることなく終わっていては,何の学びもなく埋没していくだけになってしまいます。

 また,A先生は,今回の実習で最も意識していたこととして,子どもと遊ぶということを挙げられています。
 常に子どもと共にあることによって,子どもを理解しようとしていました。このようにあらゆる機会を逃さず,子どもを捉えようとする姿勢はすばらしく,共感を覚えます。子どもたちからの信望も厚く,大変に親しまれていました。

 さて,今度A先生が子どもの前に立つときは,本物の教師,プロとして立つことになります。教師の仕事は,教えることはもちろんですが,それ以上に大切なのは学び続けることではないかと,私は考えています。「教師というのは,持ち前の知識でその日その日が過ごせる危険な職業である」とおっしゃった著名な先生もいます。プロの教師として,学び続ける教師であってほしいと思います。

教育実習日誌へのコメント 12

2010-05-28 20:39:20 | 教師修業
 4週間の教育実習,大変お疲れ様でした。
 お別れ会は大変感動的でした。子どもたちがあんなに号泣するとは,A先生が子どもたちの心をぐっとつかんでいた証です。
 
 次のような話があります。
 子どもをつかむ,理解するということは,ひよこをつかむのと同じようなことだ。たしかにひよこをつかんだと思ったときは,握り殺している。軽くつかんだので大丈夫だと思ったときは,逃げられて手の中にはいないものだ。
 子どもをつかむ,理解するというのは,大変難しいことです。
 
 A先生は,最後に4年生66名全員に手紙を渡されました。66名1人1人の実態をよくつかんでいたからこそ,1人1人に手紙を書くことができたのだと思います。A先生の子どもをつかむ力のすばらしさがこの事実からも分かります。
 4週間,子どもたちから学んだことは大きかったと思います。子どもたちから学び続けるという姿勢を忘れないでほしいと思います。

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 今回の授業でよかったのは,問題のイメージ化を図ったことです。
 初めに「分かっていること」「求めること」を聞きました。しかし,今回は,これだけで問題の意味を理解できた子は多くないと思います。文字情報だけでは理解しにくいのです。そこでA先生はクジラの絵を提示しました。視覚的な情報を提示したことにより,問題の理解が進みました。大変すばらしい対応でした。

 途中で子どもに指示が通じないところがありました。授業の中で重要な指示だっただけに,ここで授業の流れが寸断されてしまいました。このような主発問・指示は,どのように言えばよいか検討し,言葉を確定しておくとよいです。指導案の中に,発問・指示を書いておくのもよいと思います。

 また,「式15÷3=5」とすべきところを,Y君が「式3×5=15」とこだわっていました。A先生は「これも間違いではない」と認める発言をしてしまいました。しかし,これは式としては誤答です。
 実習生の立場では難しいとは思いますが,子どもの意見を否定することをおそれてはいけません。誤答を生かして,全体で深めていくとよかったのではないでしょうか。そして,「Y君のおかげで,いい勉強ができたね」というように展開していくとよかったと思います。

教育実習日誌へのコメント 11

2010-05-27 00:37:52 | 教師修業
 出張のため,授業を見ることができず,大変失礼しました。
 授業で大切なのは,向上的変容を保障することだと,私は教わったことがあります。
 それには3つのことがあります。

 ①入手・獲得……新しい知識や技術を得る
 ②修正・訂正……間違いが正される
 ③深化・拡充……浅い考え方や捉え方を深めて豊かにしていく

 子どもにとって,これらのいずれもなかったということになれば,それは授業ではありません。ただ活動しているだけで,何も身につかなかったということになってしまいます。
 今回の授業では,自分の作品を描き直した子が多くいました。自分の絵のまずかったところに気付き,修正したのです。今までどんな絵を描いたらいいのかイメージできていなかったものが,イメージできるようになったのです。これは,子どもにとって向上的な変容があったということです。

教育実習日誌へのコメント 10

2010-05-26 21:36:43 | 教師修業
 1日担任,お疲れ様でした。
 学級担任は,いろいろと難しい面もありますが,大変やりがいのある仕事だと私も感じています。
 学級担任で大切なことに,子どもをどう捉えるかということがあります。教師の子どもを見る目によって,子どもたちはよい方向にも悪い方向にも変わっていきます。
 
 例えば,今回はサツマイモ畑への移動,除草作業などの活動がありました。このとき,どのように子どもを見ているでしょうか。
 「○○君は列を乱して歩いているな」「○○さんは草取りをサボって遊んでばかりいるな」と減点主義で子どもを見てしまいがちです。私もそうですが,どうしてもマイナス面が目に入りやすいのです。子どもを駄目にするのは簡単です。「あなたは駄目だ」と言い続ければいいのです。
 このような減点主義ではなく,視野を広くしていくことが必要です。子どもを理解しようとしなければ,何も見えません。ほんの少しでもよいところがあれば,それをほめ,伸ばしていくようにしたいものです(場合に応じて,もちろん叱ることも必要です)。
 多角的な視野に立って子どもを見る目を鍛えていってほしいと思います。

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 授業づくりには2つのアプローチがあると思います。
 ひとつは「ねらい→教材(ネタ)」という方法です。まずは授業のねらいがあり,そのねらいを達成するための教材を考えていきます。これがオーソドックスな方法だと思います。
 もうひとつは,「教材(ネタ)→ねらい」という方法です。まず面白い素材,子どもの興味・関心を引きそうなネタを考えます。ネタが決まれば,ねらいや展開も決まってきます。

 今回の水の授業は,後者です。水道水とミネラルウォーターの比較という面白いネタを先に考えました。そして,そこからねらいに迫っていきます。
 水への関心を持つ→どうして水を買っている家があるのか/水道水は危険なのか/水道水とミネラルウォーターはどう違うのか→水道水はどうやって作っているのだろうか→浄水場の見学とつながっていきます。
 特に社会科の場合,教材によって授業の良し悪しや子どもの追究意欲が大きく左右されると私は思っています。
 具体的で面白い,調べてみたいと思うもの,奥行きが深いもの-これが優れたネタの条件だと思います。

教育実習日誌へのコメント 9

2010-05-25 06:32:56 | 教師修業
 今回の授業のように,子どもが様々な場で練習しているときの教師の立ち位置は難しいです。なかなか全体に目を行き届かすということは難しいと思います。
 そういった場合,校長先生もおっしゃっていましたが,子ども同士の相互評価が大切になってくると思います。
 
 相互評価が成立するには,子どもが運動観察の視点を明確に持っていなければなりません。「膝を伸ばす」「まっすぐ回るなど」の観点です。ポイントが明確であればアドバイスをすることができます。
 今日の授業を見ると,子どもたちは技のポイントをしっかりと理解し,アドバイスをしたり,○×の判定をしたりしていました。相互評価は成立していたといえるでしょう。

 また,今回感心したのは,集合隊形に変化をつけていたことです。
 準備運動後,場の設定を説明するときは4列での集合でした。これは説明後に4人組で場づくりをすることを意識した隊形でした。
 一方,技のポイントを確認する際はバラバラ集合でした。ここでは教師の話をしっかりと聞ける位置にいればいいのですから,整列する必要はありません。
 そのほか,バスケットボールのサークルへの集合の場面もありました。

 先生方の中には,集団行動の重視なのか,どんなときでもきちんと整列することを求める先生もいます。そのためいちいち時間が掛かったり,説明が聞こえなかったりして授業のテンポが崩れることがあります。
 その場その場に応じた隊形を工夫できるのは,体育授業を支えるすばらしい技術が身についていると思いました。

教育実習日誌へのコメント 8

2010-05-24 00:30:50 | 教師修業
 研究授業,大変お疲れ様でした。
 教師としての技量を向上させていくには,教育書や教育雑誌を読む,他の先生の授業を見る,研究会に出るなど,いろいろなアプローチの仕方があると思います。
 しかし,何といっても最も技量向上に役立つのは,授業を見ていただくことだと思います。自分の授業を様々な観点から分析していただくことは,本当に勉強になります。ときには厳しい意見をいただくこともありますが,自分の弱点が明確になることは,よいことでもあります。その意見を謙虚に受け止め,普段の実践をしていく中で,さらに技量が高まっていきます。

 今回は体育の研究授業でした。体育で研究授業をするのは,結構難しいことではないかと思っています。
 「体育の授業を見れば,日ごろのクラスの様子が丸見えになる」とよく言われます。体育は活動中心になるため,普段のクラスのありようが表れやすいのです。
 子ども同士の人間関係はどうか,教師と子どもとの関係はどうか,ルールが守られているか,仲間を思いやる気持ちが育っているかなど,クラスの実態が丸裸になってしまうのが体育の授業です。場合によっては,仲間に対する暴言や文句が聞かれたり,けんかやもめごとが起こったりなどということもありえます。
 逆に考えると,体育授業が成立していることは,安定したクラス経営や,教師と子どもとの望ましい人間関係が形成されていることの証しともいえます。
 授業後の検討会で,校長先生から「今日は授業が確かに成立していた」との言葉がありました。これまでA先生と子どもたちとが望ましい関係を築いてきたということが,この言葉に集約されていたと思います。

教育実習日誌へのコメント 7

2010-05-23 06:11:15 | 教師修業
 1組での事前授業,お疲れ様でした。
 今回感心したのは,臨機応援な対応です。セーフティマットなどを使ってステージコーナーを設置していましたが,今回の授業では使用しませんでした。それは,A先生が子どもの実態を見て,その場で練習をさせるのが難しいと判断したからだと思います。
 指導案には,ステージコーナーを使ってはねの練習をすることが書かれています。指導案に書いたからには,多少の無理をしてでも行わないとまずいのではないかと考えるのが普通です。しかし,今回の子どもの実態で強行した場合,けが人が出た可能性もあります。そういう意味で,今回の対応は正しかったと思います。1つ前の段階にフィードバックし,授業のねらいを変更するというのは,なかなかできることではありません。
 実際に研究授業をする2組と,今回事前授業をした1組では,子どもの実態が違います。指導案はあくまでも「案」ですから,子どもの実態を診断し,その場合場合に応じた対処をして変更していくのはよいと思います。指導案通りに流れた授業がよい授業というわけではありません。

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 器具・用具の出し入れの原則は,3つあると思います。
「①人を指示する」「②時間を指示する」「③場所を指示する」の3つです。

 A先生の授業を見ますと,①はできています。だれが何を準備すればいいかは明確に指示されています。②もできています。「5分以内で」と目標を示しています。ただ,③の部分には改善が必要です。指示が曖昧なときがあります。スケッチブックに配置図を書いて示してはいますが,それだけでは不十分です。例えば,マーカーコーンなどの目印を置き,どこに置くのか明示するとよいです。

 このような用具の準備のほか,集合の仕方,指示・説明の仕方,グループのつくり方などの微細技術を,体育ではマネジメントといいます。マネジメントが安定してくると,授業に勢いが出てきます。学習成果に向けてテンポよく進行していきます。

 このような微細技術は,一朝一夕に身につくものではありません。経験を積み,勉強していく中で自分のものにしていってほしいと思います。

教育実習日誌へのコメント 6

2010-05-22 00:23:14 | 教師修業
 私は,子どもとのコミュニケーションを取る上でユーモアが大切だと思っています。
 例えば,私は授業中に脱線トークやくだらない話をよくしていると思います。また,わざとボケたり,オーバーなパフォーマンスをしたりもしています。実はこれは意図的にしています(限度を越えるときもあり,やり過ぎはよくないと思いますが…)。脱線トークなどをすることで,子どもの心を解放して安心感を与え,その後に本題に入るようにしています。
 真面目な授業ももちろん大切です。子どもは我慢してでも教師の話を聞くべきだとは思いますが,実際には難しいところです。
 要所で笑いやユーモアを挟むと,子どもたちは集中して話を聞けると思います。もちろんふざけていてばかりではいけないので,指導すべきところはきちんと指導していく必要があります。メリハリをつけるということが大切だと思います。
 ただ,これは私の「キャラクター」ですから,A先生はA先生なりの自分の個性に合った「キャラクター」を追求していくとよいと思います。

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 今回の導入はすばらしかったです。「AとBはどんな理由で分かれているか」という発問は,子供たちを引き付けていました。
 そして,その答えをノートに書かせたのがよかったです。すぐに挙手させて指名すると,パッとしたひらめきのある子だけが活躍してしまいます。今日のように時間を保障すれば,全員が考えて答えを導き出すことができます。

 また,今回の板書は,ポイントが構造化され,大変分かりやすかったです。大切な部分に色チョークを使ったり,子どもたちに配ったイラスト資料をはめ込んだりしていくと,さらによい板書ができたと思います(拡大コピー機があることを知らせなかった私のミスです…)。

 最後にミネラルウォーターを提示したのはよかったと思います。「どうして自分の家では水を買っているのだろう」「水道の水は危ないのかな」「水道水とミネラルウォーターでは,どちらがおいしいのだろう」などの「はてな?」が,今子どもたちの頭に浮かんでいる状態です。うまく仕向ければ子どもたちは調べてくるようになります。今回のように「はてな?」を残して授業を終えると,次の時間との間がうまく生かされると思います。

教育実習日誌へのコメント 5

2010-05-21 22:20:14 | 教師修業
 プロジェクターで画像を提示しての授業は,子供たちを引きつけました。このような試みは初めてでしたので,子供たちも期待感でいっぱいだったようです。
 最初の1分間を引きつけることができれば,それは1分間の功にとどまりません。45分間全体への取り組みを前向きなものにしていきます。そういう意味で,授業の導入は非常に重要だと思います。
 小学校ではほとんどの場合,1人の教師が教えるということもあり,1時間1時間を新鮮な出会いにしていくというのは大変ですが,常に工夫を心掛けて取り組んでいってほしいと思います。
 また,今回の授業のように優れた実践を追試してみることは,授業の型を身につけていく上でよい方法だと思います。優れた授業モデルを見つけたら,ぜひそれを追試してみてほしいと思います。その授業の中にある原理原則や,モデルとなった授業者の思想が,追試を通して自分のものになっていきます。
 「守・破・離」という武芸の修業法がありますが,これは授業にも当てはまると思います。

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 今回特によかったのは,技のポイントの指導です。
 技のポイントを示す場合,教師の一方的な説明で行うことが多いと思います。
 それに対して,A先生は,子どもが演示した上手な動きと教師が演示した下手な動きを比較する中で考えさせました。「どこが違うでしょうか」と問われたことで,初めてそこにポイントがあるということに子供たちは気付き,考え始めたのです。説明ではなく,子どもに発見させるという手立ては優れた指導法です。
 できない子への対応についてですが,その子がどうしてできないのかを診断し,対応していく必要があります。対応が遅れ,失敗を繰り返してばかりいると,モチベーションが下がっていきます。成功体験をさせ,ほめていくことが大切です。
 K君の場合,マット1枚での前転はできていたのに,重ねたマットでの前転ができません。腕支持感覚や逆さ感覚が十分育っていないため,腰が上がらないのではないかと思われます。その結果,頭頂部を着いてしまいます。マット1枚の場に戻って基本を確認させたり,教師が補助したりといった対応が必要だと思います。

教育実習日誌へのコメント 4

2010-05-20 00:17:25 | 教師修業
 始業前から事故があり,動揺の収まらない1日だったのではないでしょうか。
 苦難は,自分を鍛える貴重な試練です。「飛躍するためのまたとないチャンスを,神や仏が自分に与えてくれている」と受け止めましょう。
 負傷者の出たときにどのように対応していけばよいのかを学ぶことができたと思います。校長・教頭への報告,養護教諭の対応,保護者への連絡,同学年の先生との連絡など,通常の実習では学ぶことのできない貴重な経験を得ることができました。
 今回の一件は,きっとA先生にとって何ものにも代えがたい宝となります。

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 校庭に移動しての写生。所持物,場所,時間などを確認してから移動した点は,大変よかったと思います。
 また,1人1人に目配りをし,声を掛けながら指導していた点,感心しました。
 惜しかったのは,子どもたちがどのような作品を描けばよいかという具体的なイメージを持たないまま,活動に入ってしまったところです。
 先行実践をした1組の作品をいくつか紹介したり,教科書の作品例を提示してどんな工夫があるかを話し合わせたりして,イメージを膨らませてから取り組ませると,さらによい授業になったことと思います。

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 発表する子:「答えは○○です。いいですか。」
 他の子ども:「いいでぇーす。」
 
 このような授業風景は,多くの教室で見られるものだと思います。どの子も授業に参加させるための発言推進策の一つなのでしょうか。
 私はこのような手立てには反対です。
 「いいでぇーす」と返答している子が,本当に解答を吟味しているかどうかは,多くの場合怪しいと言わざるを得ません。うわべだけの返答をしているに過ぎません。
 何よりも問題なのは,本当はよくないと思っている子がいたとしても,大多数の「いいでぇーす」の声に,その少数意見がかき消されてしまうということです。大多数がいいと言っていることに対して,自分は違うと主張するのは勇気がいります。
 今日の授業の場合,教科書の開いていたページに検算の式は「4×64」と書いてあるのですから,多くの子が誤りに気付いていたはずです。それを指摘できるだけの力がついていないのは,担任である私の普段の指導にも問題があったのだろうと反省しています。