Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

TOSS授業技量検定宮城例会 4

2010-11-30 00:28:34 | 教師修業
 子役をされた先生から感想発表があった。

M氏
・技ができるか心配だったが,意外と簡単だった。
・楽しかった。

S氏
・できたのでよかった。
・授業にメリハリがあった。

N氏の講評
・できないことができるようになるという事実で示したのはよい。
・向山型体育の特長として次の3つが挙げられる。
 ・流れるような指示
 ・場づくり・システム
 ・個別評定
・C表の授業としてはどうなのか。
・日本のなわとび指導の中での位置づけはどうなのか。
・日本のなわとび指導の現状についての記述が欲しい。
・桑原和彦氏の実践に触れなければならないのではないか。
・運動の体系・系統性を見ていく必要がある。
・発達障害の子への対応,効果,変化を考えてほしい。
・提案性のある指導法の構築をしていとよい。

H氏の講評
・TOSS体育(根本体育)の特長としては次のようなものがある。
 ・基礎感覚・基礎技能などの習熟過程
 ・テクニカルポイント
 ・発問・指示
 ・場づくり
・TOSS体育ではテクニカルポイントを子どもに考えさせる場面がある。
・今日の授業では,長なわを回す人が短なわに合わせるというテクニカルポイントが出た後,「それが正解だ」と教師が説明してしまった。どうしてそう考えたのか,子どもに説明させるとよかった。
・オリジナルの部分はどこなのか。
・主張は何なのか,指導案に書く。
・桑原実践に触れないと,研究として薄い。
・根本体育と向山型体育を融合して,新しいものをつくっていってほしい。

TOSS授業技量検定宮城例会 3

2010-11-29 00:00:35 | 教師修業
 授業を終え,和室に戻る途中,S氏から「太田先生って,授業するとき緊張するんですか」と聞かれた。

 模擬授業前,少しは緊張するのだが,何だか最近はさほど緊張しなくなってきている。
 リラックスした状態やワクワクした気持ちで模擬授業を開始することが多い。
 授業中に,どこかで笑いを取れないかなどということを考えているほどである。
 今回の「上着を脱ぎなさい」というユーモアを含んだ指示も,外で行うことが決まったとき,意図的に組み入れたものである。
 
 模擬授業はあくまでも「模擬」である。

 本番の子ども相手の授業なら,失敗は許されない。
 だが,模擬授業なら失敗したっていいではないか。
 誰にも迷惑を掛けるわけではない。
 失敗したら,自分の弱点が見つかって,むしろいいのではないか。
 このように割り切って模擬授業に臨んでいるのがいいのかもしれない。
 授業していて,とても楽しいのである。

 逆になっている先生が多いように感じるが,違うだろうか。
 子どもの前では失敗することがあるにもかかわらず,検定模擬授業では絶対に失敗は許されないというような姿勢で臨んでいないか。
 今回も,トイレやロビーで授業直前まで練習している先生を多く見た。
 それはいい。直前まで努力するというのはすごいと思う。
 だが,子ども相手の本番の授業の直前にも,それをしているだろうか。
 本番のときにこそするべきではないのか。

 私はこのように考えているのである。

TOSS授業技量検定宮城例会 2

2010-11-28 23:22:16 | 教師修業
 事務局に配慮していただき,授業は外で行えることになった。市民会館入口前のポーチである。
 参加者に温かい和室から寒い外に出ていただき,子役6名で授業が始まった。

(1)短なわとび1回旋2跳躍
(2)長なわとび8の字とび

 これらは基礎技能が習得できているかどうかの診断である。
 全く問題なくできていた。


(3)長短とび(前回しとび)

 「いまやった短なわとびと長なわとびを組み合わせます」と投げ掛けると,「えーっ」という声が聞かれた。
 そのような技は見たことがない,そんなことはできるのかという反応である。
 
 事前の検討会では私が中で短なわを跳んだのだが,とっさの判断で私は長なわを回すことにした。
 ポイントは長縄の回し手なのであるから,私が回せば演示が成功し,イメージ化できるはずである。
 ここでの演示が失敗すると,うまくイメージ化が図れない子が出てくる。
 短なわはM氏が跳び,私ともう1人の子役の先生で長なわを回した。見事に成功である。

 3人組をつくって,役割を交代しながら練習させた。
 しばらくして集合させ,テクニカルポイントを導き出す発問・指示をした。
「どのような工夫をしたら上手に跳べるでしょうか。グループで話し合いなさい」
 
 1つのグループからは声を掛けてタイミングを合わせること,もう1つのグループからは長なわを回す人が短なわに合わせることが出された。

 そこで,「長なわを回す人が短なわのリズムに合わせてあげた方がよいですか。それとも短なわの人が長なわを見て合わせた方がよいですか」と集中的発問をし,どちらがよいのか試させた。
 子役の先生方は,スピードを変えるなどして試していた。
 
 結果は,長なわを回す子が短なわに合わせてあげるほうがよいというのが全員であった。
 「そうです。例えば短なわの子が二重跳びをするとします。そしたら,二重跳びをしながら長縄の人の動きをみるなんて不可能ですね」と補足説明をした。
 
 「10回跳べたら合格です。何人合格になるかな。グループで競走します。10回跳べた人は上着を脱ぎなさい」と指示し,競争させた。
 
 「上着を脱ぎなさい」というところで笑いが起きた。
 合格の証とはいえ,寒い中で上着を脱がされるのだから,たまったものではない。
 
 4人合格したところで時間が迫っていたために集合させ,「今日は4人合格です。初めての技なのにすごいですね。次回から学習カードを使って練習していきましょう」と投げ掛け,授業を終えた。

TOSS授業技量検定宮城例会 1

2010-11-27 23:17:49 | 教師修業
 11月27日,仙台市民会館和室で行われた「TOSS授業技量検定宮城例会」に参加した。

 私は初めてC表検定を受検した。
 D表突破の22級を取得したのが2007年6月1日である。
 それ以来,C表を受検できる機会がなく,D表で6回受験してきた。
 そのたびに言われてきたのは,「C表レベルの授業としては提案性が薄い」「単元丸ごとを持ってくる」ということである。

 今回の受検にあたって悩んだのは,教材選びである。

 ひとつ考えたのは,先日の「TOSS体育フレッシュセミナー」で行ったバトンパスの授業である。
 左手でバトンをもらって右手に持ち替えるという内容は,主張がはっきりとしていて提案性も十分である。
 しかし,これは会場の都合で難しい。

 次に考えたのは,これまでに体育セミナーで行ってきた授業である。
 体育セミナーで行ってきた内容は,自分なりに深い教材研究をしてきたものである。
 提案性は薄いかもしれないが深みがある。そして,楽しくできる内容のものが多い。
 和室でできそうな内容としては,前転ボールキャッチか長短とびが考えられたが,天井の高さを考えて長短跳びにした。

 指導案作成に際して,長なわとびという素材をもう一度見つめ直し,学年ごとの系統表をつくった。
 全学年で行われる長なわとびという領域を「習得」「活用」「探究」という枠組みでとらえ,長短とびがどこに当たるのかを明らかにしていった。

 長短とびは,長なわとびの系統から見ると,やや異質な分野である。
 同様なものに長なわの中でのボールパスとび,ボールドリブルとびがある。
 0の字跳びや8の字跳びなどが「習得」部分であるのに対し,これらは「活用」「探究」の部分にあたる。

TOSS体育フレッシュセミナーin秋田 2

2010-11-24 00:02:51 | 教師修業
TOSS体育代表の根本正雄氏からの講評は次の通りである。

・左手で受けて右手に持ち替える方法は,新しい提案である。提案性のある授業である。

・チームで練習して右5人,左0人,どちらでもよい2人という結果になったあと,一方的に教師の考えを述べて練習に移っていった。そのような授業展開はよくない。

・左手で受ける方法をやらせてみて,「やってみてどうだったか」「左手でもらってどうだったか」と投げ掛け,変容を見るようにするとよい。

・大人相手だから論理的に理解できたが,やってみてどちらがよかったか,自分が体験して納得しないと子どもは動かない。

・実際に体験していくことによって論理的思考が導かれる。

・チームで練習し,話し合うことが,言語活用能力につながっていく。

・子どもの思考過程に沿った授業づくりをしていってほしい。

・特にタイムはどうなるのかを,実際にデータを取って検証していってほしい。

・習得
 その場で
 歩きながら
 走りながら
 「ハイ」と言う
 端を持つ

・活用・探究
 テークオーバーゾーンで受け渡す
 リレーで競走する
 走る順番
 作戦

・走る順番や作戦を考えることが,コミュニケーション能力の育成につながっていく。



 根本氏が言うように,強引な展開であったことは否めない。
 私の解を押し付けるような展開になってしまった。
 「自分で体験してそのよさを実感しなければ,子どもは納得しない」という根本氏のコメントは大変勉強になった。

 タイムが短くなっていれば子どもたちは納得するはずである。
 コーナートップで容易にインコースに詰めることができ,外側に膨らむことなくバトンパスができるので,理論的にはタイムは縮むはずである。

 実践を重ねて,記録を蓄積し,再提案したい。

TOSS体育フレッシュセミナーin秋田 1

2010-11-23 23:48:12 | 教師修業
 11月23日,秋田市スポーツ科学センターで行われた「TOSS体育フレッシュセミナーin秋田」に参加した。

 今回は「バトンパスの常識を疑う」の模擬授業を行った。
 従来指導されてきた「バトンを右手でもらい左手に持ち替える」という指導への疑問を投げ掛け,「左手でもらい右手に持ち替える」という新しい方法を提案する内容である。

 授業前,根本正雄氏に「新しい方法だから楽しみにしている」と声を掛けられ,私も一段と気合が入った。

 授業は次のように展開した。

(1) 3人組でリレーを行う
  私が見た限りでは,全員がバトンを右手でもらう動きをしていた。
  結果は1位オレンジチーム,2位黄色チーム,3位ピンクチームであった。

(2)[拡散的発問]バトンパスで気をつけなければならないことはどんなことか
  次のような意見が出た。 
  ・バトンを落とさないようにする。
  ・テークオーバーゾーン内で渡す。
  ・「ハイ」と言って渡す。

(3)[集中的発問]バトンは右手でもらった方がよいか,左手でもらった方がよいか
  1回目のレースでは全員が右手でもらっていた。
  そこで集中的発問を投げ掛け,実際に動いて試させるようにした。

(4) どちらがよいか試してみる
  試してみた結果は次のようであった。
  ・右手でもらう  7人
  ・左手でもらう  0人
  ・どちらでもよい 2人

(5) 教師の解と根拠を示す
  私の解と根拠を示した。
  「左手でもらい右手に持ち替える」が正解であると言うと,参加者にけげんな顔をされた。
  しかし,「レースの様子が途切れず見える」「コーナートップでインコースに詰めることができる」「接触が少ない」「走る距離が短い」と根拠を示していくうちに納得の表情になっていくのが分かった。

(6) 新しいバトンパスを練習する
  次のような練習を行わせた。
  ・左手でもらい,右手に持ち替える。
  ・走りながらもらう。
  ・「ハイ」と声を出して渡す。
  ・手の平に押し付けるように渡す。
  ・ゾーン内で渡す。
  本来はひとつひとつについて個別評定をしていくのだが,省略した。

(7) 3人組でリレーを行う
  全員が左手でもらい,右手に持ち替える方法で走っていた。
  順位は初めのレースと同じであった。

芽生える追究の鬼 2

2010-11-05 00:57:12 | 社会
「工場では130~150人働いていると聞いてきた。それなのに,4つしかないのでは足りないのではないか」
「みんなでかわりばんこに使うから,4つでもいいんだ」
「工場の中で働いていた人は,僕が見たときは12人しかいなかった。だから4つでいいんだ」
「12人なんておかしい。奥の方で見えないところにもっといたはずだ」
「笹かま館全体で150人ぐらい働いているけれど,工場内で働いている人は少ないから4つで足りているんじゃないか」
「工場の仕事は機械で自動化されているから,少ない人数で済むのではないか」
「笹かま館全体では400人働いていると僕は聞いた。そのうち工場で働いている人が150人。4つでは絶対に足りない。ほかの人は販売の仕事などをしている」


 大激論は授業終了後も続いた。
 涙を浮かべながら訴える子がいたのには驚いた。

 コロコロクリーナーの写真ひとつで,子どもたちは困惑の状態に陥っている。
 なんとかその困惑の状態から抜け出そうとして,知らず知らずのうちに知的欲求を高めているのである。

 コロコロクリーナーの数などというのは,単元の端っこの小さな問題である。
 単元のねらいとは一見関係ないように思える。

 しかし,そこから衛生管理の工夫,働く人の服装,工場で働く人の数,製品の販売,生産の工程など,単元の本質的ねらいに話が及んでいる。

 今回の授業で子どもたちの内発的動機付けはできた。
 この好奇心を次に生かし,追究の鬼に育てていきたい。

芽生える追究の鬼 1

2010-11-04 23:54:07 | 社会
 社会で「工場の仕事」の学習をしている。
 先週,かまぼこ工場(鐘崎笹かま館)の見学に行った。それをもとに,学習を深めている。

 食品を扱う工場で気をつけていることといえば,何といっても衛生管理である。

 第1時では「手洗い」について取り上げた。
 石鹸で洗い,消毒液をつけ,20秒間洗い流さないと工場へ通じる扉が開かない。
 工場の見学で子どもたちが最も関心を持ったと思われるところから斬り込んでいった。

 今日の第2時で取り上げたのは「コロコロクリーナー」である。上の写真が思わぬ火種となった。

 気づいたことや疑問に思ったことをノートに書かせていった。
 工場に入る前に,衣服についたゴミを取るためのものであるということは,全員が押さえている。

 やがて,子どもたちが次のような「はてな?」を発見した。

●手を洗うのが先なのか。それともコロコロが先なのか。
●上のほうに「1」「2」と書いてあるのだが,それは何を意味しているのか。
●コロコロが4個しかないが足りるのか。

 特に3つ目のコロコロの数を巡って,大激論が展開された。