Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

宝運びゲーム 第7時間目 2

2009-10-25 00:51:20 | 体育
 作戦としては,緑チームが面白いものを考えていた。

「1-2-3にしました。でも今日は,1番前がとっても遅くて,2番目が中くらいで,3番目が1番速い人。そういう作戦でした。」

 足の速さまで考えて,配列を考えたというのである。


 前回「だまし作戦」という戦術を編み出した黄チームは,2-2-2の隊形であった。
 そして,今日編み出した新たな戦術が「びびり作戦」である。
 相手を威嚇し,ビビらせてタグを取るという作戦である。
 多少ふざけたのであろうが,明らかにスポーツマンシップに反する行為である。
 当然ながら作戦は全く機能せず,負けであった。

宝運びゲーム 第7時間目 1

2009-10-24 00:00:35 | 体育
 7時間目である。

 今回の授業者は私ではなく,同僚のN氏が授業を行った。
 授業の組み立ては私と同じである。
「作戦タイム」→「ゲーム1」→「作戦の検証・修正」→「ゲーム2」である。

 N氏は最初に「昨日は守りの作戦を考えたんですね。どんな作戦を考えたのですか」と聞いた。
 子どもは,守備位置の工夫やだまし作戦について説明した。
 
 N氏の投げ掛けによって,学びの輪が広がっていった。
 それまで自分のチームだけの作戦であったものが,一般化されたのである。
 よい作戦であれば,それを真似るチームが現れる。

 私は欠席児童の代役として,青チームに加わった。
 青チームでは,1-2-3の守備隊形をとった。
 これは,前回赤チームが行い,成功した隊形と同じである。
 つまり,他チームの戦術を取り入れたのである。

 1試合目は敗れてしまい,2試合目では0-3-3の隊形に変更した。
 攻撃の作戦も工夫し,くるくる回りながらゾーンを突破するという戦術にした。

 実際に私が行ってみて分かったのは,試合中のコミュニケーションが大切であるということである。

 1-2-3や0-3-3のように隊形を工夫したとしても,コミュニケーションを取らなければ突破されてしまうのである。
 敵が攻めてきたときに,誰が誰をおさえるのか即座に決定して対応しなければならない。
 誰かが言葉で指示していく必要がある。

 攻撃時も同様である。
 1人で突破しようとしても難しいので,味方が2人,あるいは3人集まるまで待っていることがある。
 しかし,そこでどのように動くかを誰かが指示したり,合図したりしなければならないのである。
 やみくもに全員が一気に攻め込んでも,駄目である。

 実際に経験することにより,宝運びゲームの教材価値の高さを再認識した。

宝運びゲーム 第6時間目 2

2009-10-23 00:20:57 | 体育
 今日も欠席者が1名いる青チームの隊形は,1-1-3である。
 しかし,これは失敗に終わった。
 1人で守っている場所では,ほとんど突破されてしまうのである。
 
 「人数が少ないんだから仕方がない」と言う。
 「0-2-3のようにしてみてはどうか」と私が投げ掛けると,「なるほど。そういうのもある」と考え直していた。

 黄チームは,通常の2-2-2の配置で「だまし作戦」というのを行った。
 「だまし作戦」とは,マンツーマンディフェンスを行っているように相手に見せかけてだますという作戦である。
 「行ってもいいよ。○○君のことはねらっていないから」と声を掛け,相手が安心して侵入してきたところで,すきを見計らって後ろからタグを取るという,言葉を利用した高等戦術である。

 ずる賢いという見方もあるだろうが,1年生でここまで考えるかという,びっくりさせられる戦術である。

 いよいよ次回が宝運びゲーム最終回の予定である。

宝運びゲーム 第6時間目 1

2009-10-23 00:15:46 | 体育
 6時間目である。
 今日の課題は守備の作戦の工夫である。

 昨日のおたよりノートを見ると,守備の工夫についていま一つ分かっていない様子がうかがえた。
 それで,守備の作戦にどんなものがあるかを,最初に私が紹介した。

 子どもから出たのは,2人のうち1人は必ず止めて侵入を最小限に食い止める方法と,マンツーマンディフェンス,挟み撃ちである。これらを紹介した。

 もうひとつは守備隊形の工夫について紹介した。
 これまでは3か所ある「じゃまじゃまゾーン」には必ず2人ずつ守備者が入っていた。
 それを,必ずしも2人でなくてもよいとルールを変更した。
 ただし,1か所に6人も配置されてはゲームの面白みがなくなるので,1か所につき最大3人までとした。

 実は青チームだけが,守備隊形の工夫は経験済みである。
 4時間目は欠席者が2名おり,学級閉鎖となっているクラスの担任のN先生に代役として入っていただいた。
 このときは,最初は,手前から見て2-2-1のディフェンス配置をしていたのだが,機転を利かせたN先生は守備位置を途中から変更し,2-3-0のフォーメーションとなったのである。

 今日の授業で,このようにフォーメーションの変更を行ったのが3チームあった。

 緑チームは1-2-3と組み,わずか3点という最少失点を記録した。
 授業の最後に聞いてみると,「1-2-3はいいが,3-2-1は駄目だ」という。
 Rさんが理由を次のように説明した。
 「3-2-1だと,もし最初のところで突破されてしまうと,あとから防ぎにくくなる。1-2-3だと,走って疲れてきたところを3人で守っているので何とかできる」

 この考え方には思わずうなってしまった。
 1年生にここまで考える力があるのかと驚いた。

宝運びゲーム 第5時間目 2

2009-10-22 00:34:04 | 体育
 今日,子どもたちが話し合ってまとめたチームの作戦は次の通りである。

 ○青空チーム:おとり作戦
 ○ファイヤーチーム:おとり作戦
 ○へびチーム:おとり作戦
 ○きりんチーム:3人ずつ2チームに分けて突破する
 
 おとり作戦が多いが,それぞれのチームでおとりの方法が若干異なるのである。


 授業後,指導主事からいただいた講評は,次の通りである。

・体育授業のモデルとなるような授業であった。

・本時のねらいとして「簡単な作戦を立てている」とあるが,十分に達成されていたと考えられる。

・「きまりを守り仲よく運動したり,勝敗を素直に認めたりしようとする」という態度面のねらいも,概ね達成されている。

・準備運動で,はやくゴールした子から先生にタッチするのがよい。温かさを感じた。

・体つくりの運動の場面で,2人組の活動を入れた。毎回別の子とペアを組ませており,仲間づくりへの配慮がされている。

・運動の内容や場に応じて,集合場所を変えているのがよい。

・子どもは太陽に背を向けた状態で話を聞いているので,まぶしくない。そういう点にも気を配って,集合位置を指示している点がよい。

・教師の言葉に無駄がない。必要なことを必要最小限の言葉で伝えているので,意味がよく通る。

・話し合い活動が取り入れられ,言語力育成の場面が設定されていた。体育科における言語活動のモデルとなる。

・作戦タイムでは,地面に図を書いてまで説明している。子どもたちは戦術をしっかりと練り上げていた。

・ホイッスルとリズム太鼓の使い分けを,教師がしっかりと意識していた。

・子どもの技能が優れていた。腰の重心が上がるトップ走と,重心が下がるフェイント走とを自然に切り替えていた。そういった技能が自然と身につく教材である。

・「うまくいった時の動きを参考にして,もう一度作戦を立てなさい。うまくいかなかったことは外しなさい」という指示はよい。作戦の成否を子どもたちなりにしっかりと検証することができる。

・緑チームはおとり作戦を使っていたが,誰がおとりになるかまでは考えていなかった。そこを詰めさせていけば,作戦の幅が広がったはずである。

・青チームの戦術は素晴らしい。Mさんがリーダー性を発揮して,話し合いでも中心的役割を果たしていた。

・安心して見ていられる授業であった。子ども同士のぶつかり合いも見られたが,大丈夫な状況である。大きなけがにつながるような状況ではない。

・「次回は守りの作戦も考えていきます」と,予告をしてまとめているのがよい。マンツーマンディフェンスや守備隊形を変化させることなどが考えられるだろう。


 おたよりノートに,次回の守備の作戦について書かせてみた。
 攻撃の作戦に比べ,多様な考えが出なかった。

◆次の守りの作戦は,一人一人守ってやるようにしたい。

 あとは,イラストをかいて説明してきたのだが,R君は

◆2人で必ず1人は止めて,侵入を最小限に食い止める

という内容の作戦を考えていた。

 この2つのほかは,「挟み撃ち」あるいは「おとり」と書いていた。
 守備で「おとり」を使うというのは,どういうことなのだろうか。守備の意味をあまりよく理解しないで書いてしまっている可能性も否めない記述である。

宝運びゲーム 第5時間目 1

2009-10-21 23:22:25 | 体育
 5時間目は,10年経験者研修の研究授業として行った。主任指導主事の先生をはじめ,勤務校の先生方が参観された。

 授業の組み立ては次の通りである。

1.向山型準備運動・体つくりの運動
2.主運動Ⅰ:長縄跳び
3.主運動Ⅱ:宝運びゲーム

 宝運びゲームでは,最初に作戦を立てさせた。

 1人1人の意見は,昨日の「おたよりノート」に書かれている。したがって,1人1人が考えを持って話し合いに臨んではいる。
 私は,1人1人の子がどんな作戦を考えていたのかを,きちんと把握していた。

 問題だったのは,子どもたちに話し合いの学習技能が身についていないということである。
 そのため,自己顕示欲の強い子の意見に左右されがちになってしまうところがある。
 気の弱い子の意見が吸い上げられにくい。
 例えば,「1人で突破しようとせず,2人揃うまで待つ」という意見を書いていたMさんは,なかなか意見を言い出すことができない様子であった。

 話し合い活動に関してのもうひとつの問題は,クラスに自己顕示欲の強い子が多すぎるということである。
 1人1人が意見を持っている。
 それぞれ違う考えであるから,どれを採用しようかということで衝突するのである。
 互いに譲り合うなどして妥協点を見いだせないため,一見すると喧嘩のようなやり取りになってしまうのである。

 この場面に限らず,今日の授業の中では,子ども同士の激しいやり取りが何度も見られた。

 作戦タイムでの意見の衝突のほか,試合中では,ラインを出たとか出ないとか…。転ばされたとか,そうではないとか…。
 試合結果の確認中には,ズルをしたとかしていないとか…。

 研究授業で多くの先生方が参観しているのであるから,多少は空気を察知してほしいとも思うのだが,普段のままであるのも私のクラスらしいと思う。
 
 このような喧々囂々とした雰囲気の中でも,私は比較的落ち着いていた。
 全て想定の範囲内だったからである。
 喧嘩が起こってもよいと思っていたのである。

 子どもたちのやり取りを,私も当然見ているのだが,指導の手をほとんど入れなかった。
 これは意図的である。

 このような場面を経験することも,人間形成には必要であると考えているからである。

 体育で育てるのは,究極的には人間力であるという考えを持っているからである。

宝運びゲーム 第4時間目 2

2009-10-20 23:57:52 | 体育
 子どもたちに,今日はどんな作戦でゲームを行ったかと,明日はどんな作戦で臨むかについて記述させた。
 
■じゃまじゃまゾーンに2人います。
 そこに3人行って,2人追いかけます。
 その残りの1人がばれないうちに逃げます。
 そういう作戦でした。
 明日の作戦もいっしょです。

■じゃまされてても,2人で挟み撃ちする作戦でした。
 明日の作戦は,2人がまとまっているときに,すぐにまっすぐ行く作戦にしたいと思います。

■今日の作戦は「おとり」です。
 明日もおとり作戦です。

■今日の作戦は挟み撃ちです。
 うまくいきました。
 明日の作戦は,回って抜ける作戦です。

■今日の作戦はダッシュとだます作戦です。
 明日の作戦は今日と同じです。

■3人いて,2人おとりで行く。うまくいきました。
 明日の作戦は,挟み撃ちと2人おとりで1人行く作戦です。

■攻める人が2対1になっているすきに通り抜ける作戦です。
 明日は回って逃げる作戦です。


 攻撃だけでなく,「挟み撃ち作戦」など,意外にも守備に関する記述も少なくないことが分かる。

宝運びゲーム 第4時間目 1

2009-10-20 23:16:57 | 体育
 4時間目。宝運びゲームの2回目である。
 流れは明日の研究授業とほぼ同じである。

 最初に作戦タイムを取った。この作戦タイムでは,活発な意見交換がされていたと思う。

 昨日,次回の作戦について「おたよりノート」に書かせておいた。
 書けなかった子も数名いたが,ほとんどの子は作戦についての自分の意見を持っている状態で話し合いに臨んでいる。
 1人1人が自分の意見を持っているからこそ話し合いが活性化する。
 それぞれが意見を出し合い,その中で最もよいと判断した戦術をとることになる。
 もし,1人1人が意見を持っていなければ,力の強い者の意見に流されてしまうことになりかねない。

 黄チームの中で2名が,「作戦なんかない」と言い,このチームの話し合いも中途半端で終わった。
 これではいけない。
 しかし,今日のゲームの中で成功した偶然の動きから,戦術を見いだしていってほしいとの願いを持ち,強い指導を入れずに見守った。
 偶然の動きから,意図した動きへと変容していってほしい。

 今日の戦術で優れていたのは,攻め1人守り2人という状況になったときの動きである。
 1人で突破しようとせず,2人あるいは3人揃うまで待っているという作戦が取られていた。
 
 また,タグを取られないように,くるくると回りながらゾーンを突破するという動きも見られた。
 これは,第2時間目のT君,K君の動きを取り入れたものである。

 1回目の試合が終わって,再度作戦タイムを取った。
 ここでも活発な話し合いが持たれていた。

 その後の2回目の試合では,どのチームも1試合目より得点が増えていた。これは,戦術がうまくいったという証拠でもある。

宝運びゲーム 第3時間目 2

2009-10-19 21:36:47 | 体育
 子どもたちの感想を見たところ,いろいろな作戦を立てていたことが分かった。

■人がいないときに行く作戦でした。うまくいきました。
 今度は人が見ていてもすばやく行く作戦にしたいです。

■ほかの人を追いかけているときに,すぐにササッと行く。
 そういう作戦でした。
 うまくいきました。

■作戦はおとりです。ちょっとうまくいったよ。
 今度は人がどこかを見ている瞬間に行く作戦です。

■作戦はおとり作戦です。
 やり方は,2人いて,そこを抜ける。
 うまくいきました。
 私が考えました。成功したので,またがんばります。

■仲間が横に行ったら,相手が横に行くから,その相手がいなくなったほうを通っていく。
 次は挟み撃ち作戦でやってみたい。

■作戦はだまし作戦をしたら,うまくいきました。

■仲間を攻めてる人がタグを取ろうとしているすきに,通り抜ける作戦です。

■前から真ん中に1人が行って,あとから相手が真ん中のところに来たら,横から行く作戦です。

■作戦はありません。負けました。


 1回目でこれだけ考えているのはすごい。
 今後,成功したチームの作戦を真似るチームが出てくることで学びの輪が広がっていく。
 失敗した場合は,なぜうまくいかなかったのかを検証することで,次のゲームに向けての意欲につなげていくことができる。

宝運びゲーム 第3時間目 1

2009-10-19 21:33:35 | 体育
 3時間目。今日から宝運びゲームである。
 スケッチブックに描いたイラストを見せながら,ルールやゲームの方法を説明した。

・攻撃側は1人1個宝(紅白玉)を持つ。タグを取られずにゴールラインまでたどり着いたら宝置き場に宝を置く。
・宝を置いたら,スタートラインに戻り,再度宝を持ってスタートする。
・途中で鬼にタグを取られたら,タグを返してもらってスタートラインに戻り,再度スタートする。
・守備側は「じゃまじゃまゾーン」から出られない。
・多くの点数を取ったチームの勝ちとなる。

 その後,デモンストレーションとして,赤対黄の試合を行い,実際に見せることでルールを確認していった。
 質問を受け付けた後,試合開始である。

 子どもたちはやる気満々であった。
 赤チームからは「円陣を組もう」という声が挙がっていた。

 このあと,特に教師からの投げ掛けはなかったのだが,それが当たり前であるかのように,全チームがそれぞれ作戦タイムを始めた。
 これは驚きである。
 このゲームには作戦が必要だということを自然と認識したのであろうか。

 黄チームは作戦をめぐって,激しい言い争いをしていた。
 本気になっている証拠である。
 本気でなければ争いも生じない。
 このチームは,作戦がまとまるのも一番早かった。

 いよいよゲームのスタートである。

 最初,一気に突破しようとする動きが多く見られた。
 守備側が攻撃陣の動きについていけず,タグを取ることができない。

 しばらくすると,1対2や2対2の状況が生まれてきた。
 ここがこのゲームの真骨頂である。
 どのような作戦を立てたかが試されるところである。

 Mさんの攻撃時の動きを見ていて,私は「あれ?」と思った。
 じゃまじゃまゾーンの手前に立って,守備者を撹乱しているだけで,なかなか突破しようとしないのである。
 しかし,これは作戦であった。
 Mさんが相手をひきつけている間に,ほかの子がゾーンをすり抜けていくのである。

 1回目のゲームの時点で,このような高等な戦術が出てくるとは驚いた。

 20対14,14対13という結果であった。
 大変盛り上がった。