Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

細分化の原則

2008-01-30 22:53:05 | 教師修業
 根本正雄氏は,向山氏の阿波踊りの指導を3つのステップに分けて分析されています。
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 1.基本動作を知るステップ
 2.上達させるステップ
 3.子供の可能性を越えてまで表現させるステップ
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 指導は,足の動かしかた→手の動かしかた→足と手を一緒に動かす→面を付ける(顔の表情を付ける)のステップです。
 全部一緒に教えるのではなく,部分に分けて指導している。一つの部分が習熟するまで次の段階を教えないのである。
 部分に分け,習熟したら次のステップに移り,それを繰り返していくのです。
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 1.部分に分ける
 2.習熟する 
 3.次のステップに進む
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http://www.chiba-fjb.ac.jp/masao_n/keiei/keiei1/saibunka.html

 以前,3年生で長縄跳びを指導したとき,最初に「1分間で60回目指しましょう」と投げ掛けました。
 跳ばせてみると,記録は何と0回。誰も跳べませんでした。
 おかしいと思って聞いてみると,今まで長縄跳びをやったことがないというのです。
 実態も把握せずに無謀な目標を掲げたことで,子どもたちのやる気も失われていきました。

 昨年度は1年生,今年度は2年生の担任をしています。
 習熟したら次のステップに進むように,細分化して指導しています。
 現在はどのグループも連続100回跳べるぐらいまで上達しています。

 細分化の原則の大切さを改めて学びました。

先取りの原則

2008-01-29 23:16:01 | 教師修業
 昨日,『TOSS体育通信』№226が届きました。その中で田代光章氏が次のように書いています。

 あまりにも教師の願望が強く,子どもが萎えてしまう場面がある。「二重跳び全員達成しよう!」最後に残るのは1名か2名。子どもは本当に二重跳びが跳べるようになりたいのか?教師の勝手な「目標達成」のために,子どもが犠牲になっていないか?


 教師の目標ばかりが優先されてはいけないと思います。子どもの欲求を考慮しなければいけません。
 
 低学年で「忍者の修業」と称して授業しました。平均台,ターザンロープ,マット,跳び箱,肋木,セーフティマットなどありったけの器械・器具を活用し,ある程度自由に子どもたちを動かせました。自由の中から工夫が生まれ,それをほめていくことで新しい忍法が広がっていきました。
 極寒の中,子どもたちは汗びっしょりになって活動していました。
 いろんな動きをしたいという子どもたちの欲求が満たされたのです。
 
 これは根本正雄氏のいう「先取りの原則」が生かされているからだと思います。

【先取りの原則】 子供の望むことを先取りし、子供の欲求を満たしていく。
http://www.chiba-fjb.ac.jp/masao_n/keiei/keiei1/sakidori.html

社会科の授業力を高める会 IN SENDAI 2

2008-01-22 00:29:49 | 教師修業
 後半は佐々木潤先生の実践発表でした。
 仮想都市・岩巻市の地図を子どもに提示し,その都市のどこに自動車工場を作ったらいいのかを考える活動です。

 この日の会のテーマは「読解力の育成」です。
 有田先生は,先日の山形での勉強会で,「PISA型学力を読解力と訳したのは間違いではないか。情報収集力,情報分析力と訳したほうがよい」とおっしゃっていました。
 佐々木先生の発表を聞いて,これはまさに有田先生の言っていた内容を具現化したものではないかと感じました。

 地図を分析できなければ,どこに工場を建てたらいいかという見通しを立てられません。
 また,工場を作るにはどんなものが必要かという情報を収集しなければ,どこに工場を建てたらいいか分かりません。

 有田先生はコメントの中で,「分かっていることをもとに,分からないことを類推することが大切である」と分析されていました。

 この発表を聞いて,私は読解力を身につけさせるには,資料の読み取り能力,資料の活用能力が必要であると考えました。

 この実践発表に対しては,グループ討議が行われましたが,仮想都市を授業で扱うことに対しての批判も出ました。社会科は事実から出発すべきではないか。実際の場所で考えるべきではないかというのです。
 私はそれも一理あると思いました。
 しかし,今回の場合は,仮想都市という設定が子どもを引きつけるという面もあるのではないかと思いました。

 「社会科の授業力を高める会」は来年度も4回予定されているそうです。ぜひ続けて参加したいと思いました。

社会科の授業力を高める会 IN SENDAI 1

2008-01-21 23:37:27 | 教師修業
 本日,東北福祉大学で行われた「社会科の授業力を高める会」に参加しました。
 有田先生は都合により参加されなかったものの,充実した2時間を過ごせました。
 
 初めに有田先生の授業ビデオを視聴しました。NHK『わくわく授業』の「“はてな”でふくらむ好奇心」の回です(平成17年11月6日放送)。静岡県藤枝市の4年生に授業した様子です。
 ビデオ視聴から学んだことをまとめます。

●最初に「地図の」とだけ板書し,「後で題をつけてもらうよ」と投げ掛けている。
 授業の最後にしっかりと題名をつけられれば,学習内容が明確な証拠である。
 また,子どもがしっかりと理解した証拠である。

●「全員起立。何県か分かったら座る」と指示している。
 全員を集中させ,背水の陣に立たせる。

●新潟県の地図を掲示するが,重要な情報は抜いて作ってある。
 子どもの好奇心をくすぐる手立てである。

●地図が色分けしてあるなど,子どもから「はてな?」を導くしかけが資料にはしてある。

●瞬時に子どもを評価し,ほめている。

●子どもとスキンシップを多く取っている。
 例えば,「うまい」といって頬をなでる,
 子どもの後ろから手を取って「バンザイ」をさせる,
 「さようなら」といって1人1人とハイタッチするなど。

●机も子どもたちとのコミュニケーションがとりやすい配置にしてある
 (中央の通路が大きく開けてある)。

●表情・パフォーマンスが豊かである。

 授業以外に,有田先生の教材開発の様子もあり,大変興味深い内容でした。
 授業は『授業力の開発№4 調べ学習のツールはこう活用する!』にテープ起こしが収められています。また,教材開発のノウハウや有田先生のこれまでたどってきた道なども,いろいろな書籍に収められて読んで知っていたことが多かったです。
 しかし,読むのと見るのではやはり違います。
 また,私が今回のビデオの内容を十分に理解できたのは,これまで有田先生の著書を多く読んできたからだともいえます。
 まさに「百聞があって一見が生きる」です。

有田先生と勉強する会 5

2008-01-19 11:07:20 | 教師修業
講座4 有田和正氏へのQ&A

●教材が先か,ねらいが先か→教材が先である。ねらいはあとからついてくる。
●板書を先に書いてみるとよい。その上で指導案を書く。最後にねらいをこじつける。
●教科書を使って「はてな?」を発見させる。「はてな?」をいつまでも引っ張らずに限界が来たら教える。
●人間性とは生きる力である。人間性を向上させるには,人と接触することが大切である。そして,異なった考えを受け入れることである。
●人間力=人間性+技術(発問・指示,板書,話術・表情・パフォーマンスetc.)
●子どもたちから出た「はてな?」を全て取り上げる必要はない。1つ追究していけば残りの「はてな?」も関連してくる。
●新聞作りは,単元の学習が終わってから書かせると時間が掛かる。そうではなくて,学習を進めながら同時進行で作らせるようにする。
●有田先生は1人1県の担当を決め,「県知事新聞」を作らせた。
●PISA型学力を読解力と訳したのは間違いではないか。情報収集力,情報分析力と訳したほうがよい。
●1・2年でも調べさせることが大切。漢字を使って板書するなどして,語彙を増やしていく必要がある。それが「はてな?帳」にも生きる。
●板書は授業が終わるまで消さない。黒板がいっぱいになったら終わりにする。そうすると,黒板が時計代わりになる。
●白・赤・黄のやわらかいチョークを使う。10cm四方より大きい字を書く。
●追究の鬼を育てるためには,調べなくてはならないような資料の提示が必要である。
●追究の鬼が育ってくると,子どもが先生をやっつけようとする。授業は勝負である。 

有田先生と勉強する会 4

2008-01-18 00:01:55 | 教師修業
 有田先生の話の中で,特に印象に残ったものを挙げておくこととします。

講座2 明日からの授業が変わる 社会科授業の新提案

●授業には笑いが必要である。
●新しい指導要領では,基礎的・基本的な知識の習得,思考力・判断力(表現する力・コミュニケーション能力)の育成が求められている。それには,授業の質を変えていく必要がある。
●社会科の授業を変えていくには,ひとつには内容でせまる方法と,もうひとつは数字でせまる方法が考えられる。数字をどう扱うか,どんな数字を使うかと言うことが大切である。
●教科書の説明を音読させることが大切である。言語活用能力につながっていく。
●2ページごとに授業をするから学びが深まらないのである。単元丸ごとで授業をするとよい。有田先生の自動車工場の授業は20ページ分を1時間で行っている。


講座3 「追究の鬼」を育てる指導法

●授業の最後に,今日の勉強の題名をつけさせる。
●書くということは考えること,調べることである。
●教えることと調べさせることとを分けて考えるとよい。子どもでは調べられないことは教える。教えるべきことは教える。
●「今日の授業で『はてな?』を発見した人?」と問う。
●板書を消しながら授業を終える。その日の内容を振り返ることにもなる。

有田先生と勉強する会 3

2008-01-17 23:54:12 | 教師修業
 この授業では3つの「はてな?」が残りました。
①岩倉具視はなぜちょんまげ姿でアメリカに行ったのか。
②岩倉具視がちょんまげを切ったのはなぜか。
③「近代化を進めるためにはあの方に断髪していただき,模範を示してもらうしかない」と木戸孝允らが考えた「あの方」とは誰か。

 そして,「いろんな『はてな?』が見つかりましたね。明日の「はてな?」帳,楽しみにしています」と言って,授業を終わりました。

 有田先生からいただいた講評は,次の通りです。
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・見事な展開である。
・教科書にある写真を使っている。
・1枚の写真から導入するという手法がよい。
・何度もノートに書かせ,発表させていたのがよい。
・習得型・探求型・活用型という新しい学習指導要領のキーワードにも則った指導である。
・「はてな?」がいっぱい出てきた。そうすると,授業と授業の間が生きる。
・写真から入るというのは,読解力が必要となる。
 読解力というのは,写真・資料・グラフなどを読み取る力のことである。
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 また,「はてな?」の解答については,講評の中で有田先生が触れました。
 岩倉具視が断髪を決意したのは,2人の息子の説得によるものだということは私も調べていましたが,それが森有礼の指図であったということは,私は知りませんでした。
私も教材研究を一生懸命したつもりでしたが,有田先生の知識のほうが優っていたのです。
 
また,資料の写真についても同様のことがいえます。私が使った写真以外にも,岩倉使節団の写真があるというのです。私が使ったのは,東京書籍の教科書にも載っている写真でしたが,教育出版の教科書には伊藤博文が写っていないというのです。そんなことは私は全く知りませんでした。
 有田先生の知識量の豊富さ,造詣の深さには脱帽です。

有田先生と勉強する会 2

2008-01-16 00:11:45 | 教師修業
 今まで参加してきたセミナーで見た模擬授業は,その時間内で完結するものが多かったと思います。1話完結型です。
 
 しかし,私は逆に完結しなくてもいいと割り切りました。
 検討会で説明が長くなったのはなぜかを考えてみると,「はてな?」の答えを説明してしまったからです。1話完結型を目指すには,説明するしかないのです。そうではなくて,「はてな?」は「はてな?」のまま残しておけばいいと割り切りました。勉強会のテーマは「『追究の鬼』を育てる指導法を学ぶ!」なのですから。
 そのように割り切ると,コンテンツ作りも一気に進みました。

 当日,会場に着くと,授業順が1番であることとスマートボードを使用することを聞きました。
 セミナーのトップバッターが私ということになります。これは責任重大です。また,スマートボードを実際に使うのは初めてのことです。


★講座1 模擬授業に挑戦!参加者による模擬授業公開

 セミナーの開始時刻が近づくにつれ,緊張感が高まってくる……と思ったのですが,比較的落ち着いていられました。むしろリラックスして,自然体です。いったいどうしたのでしょうか。緊張よりも,有田先生に授業を見ていただけるというワクワク感のほうがまさっていたように思います。

 授業をしていて,参加されている先生方が一生懸命に考えているという,手ごたえのようなものは感じました。
 ノートに考えたことを書かせて,それをチェックし,それをもとにして意図的に指名していこうと思っていました。
 ところが,誰が何を書いていたかを記憶しておくことができず,結局「挙手-指名方式」になってしまいました。先生方も会の初めということでエンジン全開というわけにも行かず,積極的な挙手はありません。「断髪令に民衆は従ったか」という発問の場面で,話し合いを深めることができませんでした。

有田先生と勉強する会 1

2008-01-15 23:56:56 | 教師修業
 1月12日,山形テルサで行われた「第14回有田先生と勉強する会IN山形」に参加しました。テーマは「『追究の鬼』を育てる指導法を学ぶ!」です。

 幸運なことに,模擬授業をさせていただける機会を得ました。
 有田先生に授業を見ていただくというのは,私の夢・目標のひとつでした。それが実現するということでワクワクしました。

 これまで,野口先生に道徳の「志村けんに学ぶ」の授業を見ていただき,根本先生に体育の授業を見ていただき,向山先生に体育の論文審査をしていただきました。そして,今度は有田先生に授業を見ていただけるのです。なんと幸運なことでしょう。

 授業内容は「ちょんまげから文明開化を見る」としました。3年前に6年生相手に授業し,盛り上がったネタです。

 1月7日に検討会を行い,代案をいろいろと示していただいたのですが,自分自身が納得できるには至りませんでした。この検討会での模擬授業では,説明がやたらと長くなってしまいました。その部分をどうしたらいいか迷いました。

 また,以前山形での勉強会に参加したことがある先生から,そのときはプロジェクターを使っての授業が多かったという情報をいただきました。そこでパワーポイントを使ったコンテンツ作りにも取り組みました。しかし,一部分作っただけで放り出してしまいました。授業展開がまとまっていないために作れないのです。

 また,私は板書にこだわっていました。有田先生の板書にあこがれを持っているからです。まとまりのある構造化された板書に私も挑戦してみたいと思っています。

 悶々としたまま前日となってしまいました。
 パワーポイントで授業するか,アナログ式に板書で授業するか決めていません。迷いながらも,パワーポイントのコンテンツの作成を再開しました。

授業開きでの毅然とした対応

2008-01-13 22:42:30 | 教師修業
 向山洋一先生の「大きな数」のCDを購入し,聴き進めているところです。
 これは4月の授業開きから8時間の記録です。学年の最初にいったいどのような授業をしていったのか,大変興味深く聴いています。

 第1時間目の最初に,向山先生は自己紹介をしています。
 そして,「向山先生と言ってごらんなさい。さんはい」と投げ掛けます。
 このとき,ふざけた声で「向山先生」といった子がいました。
 その子に対して,向山先生は毅然と対応しています。短く,ビシッと叱っています。

 大切な子どもたちとの出会いの場面です。
 アマ教師ならば,子どもに悪い印象を与えることを避けようと,見逃してしまうことも考えられると思います。
 しかし,プロ教師は見逃しません。毅然とした対応をとるのです。アドバルーンに対してしかるべき対応をしなければ,子どもは教師をなめてかかります。

 この場面を聴いていて,私が中学2年のときの,理科の授業開きを思い出しました。
 授業の最初に,「注目。お願いします」という日直の号令で挨拶をしました。
 すると,理科担当だったK先生は毅然とした態度,低音でよく響く声で「やり直し」と命じました。続けて「それが2年生の態度か」とビシッと言いました。
 その一言で私たちは目が覚めました。「この先生をなめてかかってはいけない」と直感しました。1年間,K先生の理科の時間に私語が聞かれることはありませんでした。もちろん,授業内容も知的で分かりやすく,おもしろいものでした。

 中学3年のときも,理科はK先生が担当でした。
 その授業開きの場面もはっきりと覚えています。「注目。お願いします」と挨拶をすると,K先生は前年と同じく「やり直し。それが最高学年3年生の態度か」と毅然として言いました。

 他のクラスの友達に聞いてみたところ,K先生はどのクラスの授業開きでも,このような対応をしていたことが分かりました。

 授業開きで子どもに媚びるのではなく,毅然とした対応を取る。このことによって,逆に子どもの信頼を得ることができるのです。