Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

たまご割りサッカーの反省から 3

2010-01-31 00:03:41 | 体育
 今度はボールを蹴って行うベースボール型ゲームを行っていきたい。簡易キックベースボールである。
その中で,今回身につけさせられなかったボールを強く蹴る技能を習得させていくようにしたい。

 私はテクニカルポイントを,次の2点と押さえている。
(1)足の振り上げを大きくして蹴る。
(2)上半身をひねって蹴る。

 そのためのドリルゲームのひとつは,「靴飛ばしゲーム」である。

 靴を飛ばすことによって,インステップキックの動きが身についていく。
 4人1組のグループで競争させていく。4人の合計得点で競う。
 遠くに飛ばすためには,脚の振り上げを大きくしなくてはならない。これは,「足の裏を空に見せてから蹴りなさい」の指示で指導済みである。

 上半身のひねりを意識させる指示として,次のものを考えている。
 「アイ~ンしなさい。」

 腕を大きく振って,「アイ~ン」のポーズになることで,ひねりが生まれる。
 NHK教育テレビの「すイエんサー」でも紹介されていた。

 ボールをキャッチする技能も身につけさせていかなければならない。
 「ころころキャッチゲーム」を行う。

 手でボールを転がし,30秒間にキャッチできた回数を競う。
 慣れてきたら,手で転がすのではなく蹴るようにしていく。
 相手のところに蹴るには,インサイドキックの技能も必要になる。
 
 キックベースボールのゲームそのものは,「第1回杜の都のTOSS体育セミナー」,「TOSS体育全国セミナー」で行ったティーボールの授業と同様のルールで行うようにする。

○ボールを蹴ったら,コーン(1塁)まで走ってホームに戻る。
○守備は,捕球者のまわりに全員集まって手をつなぎ,「アウト」と言って座る。
○アウトまでの間にコーンとホームの間を何往復できるかによって,得点が決まる。
○打者が一巡したら交替する。
 
 ベースボール型ゲームのルールの複雑さ,運動量の少なさをカバーできる内容である。

たまご割りサッカーの反省から 2

2010-01-30 23:59:01 | 体育
 もうひとつは技能習得の段階である。
 ボール操作やキックの技能の習得がなされなかった。

 ドリルゲームなどをせずに,いきなりたまご割りサッカーを行った。

 どうすれば強いキックができるのか。
 どうすればねらったところに蹴れるのか。
 どうすればボールをキャッチできるのか。
 子どもたちはこのようなことが分からないまま,いきなりゲームを行ったのである。

 ただゲームをさせているだけで,考えさせる場面は授業の中で設定しなかった。これではいけない。

 ドリルゲームの中で,発問・指示をし,テクニカルポイントを見つけさせていく必要があった。ポイントを踏まえたうえで技能を習得させていくのである。

 ボールを強く蹴らせるために出した指示は,次のひとつである。
 「足の裏を空に見せてから蹴りなさい。」

 ゲーム前の説明中に指示しただけで,この指示に沿った練習はさせていない。
 有効な指示ではあったが,ゲームの中だけでは接球数が十分とはいえないため,技能は身についたとは言い難い。

たまご割りサッカーの反省から 1

2010-01-29 23:52:26 | 体育
 1年生で「たまご割りサッカー」の実践を5時間行った。

 ルールは次の通りである。

○4対4で行う。
○攻撃側は1人ずつ両側から交互にボールを蹴る。
○たまごを割ったら1点。
○カラーコーンより高いボールは得点にならない。
○守備は手や足などを使ってブロックする。ブロックしたボールがたまごを通過した場合は得点になる。
○ブロックしたボールは,反対側に返す。
○3分で攻守を交替する。

 子どもたちは,1時間目から戦術を話し合って試合に臨んだ。私が特に投げ掛けなくても,自然に戦術を話し合うようになっている点は評価できる。

 すぐれていたのは守備の配置である。
 最初の段階では横一線に4人並んでいるだけだったが,前後に分かれて並んだり,ライン際に人を配置したりと工夫が見られるようになっていった。

 しかし,私としてはいまひとつ手応えがなかった。
 盛り上がりに欠ける授業であった。

 原因は段階を踏まえない指導であろう。

 ひとつはゲーム展開の段階である。
 最初から2方向のたまご割りにしたのは問題があった。

(1)1方向からのライン抜きボール蹴り
(2)2方向からのライン抜きボール蹴り
(3)たまご割りサッカー
と段階を追うとよかった。
 少しずつシュートを通過させる範囲や守備範囲に奥行きを持たせていくようにすべきであった。

おばあさんのけが 2

2010-01-13 21:47:32 | 道徳
 これが理想的な答えであるはずはない。
 しかし,実際場面で子どもがとる可能性が大きい行動は,「逃げる」であることは容易に想像できる。
 
 大人だってそうである。
 つい先日,私はファミリーレストランの駐車場で車をぶつけた後に逃走したおばさんを,目の前で目撃している。
 そのエピソードを話して聞かせた。
 
 「大人だって弱い心の方が勝って,逃げてしまうことがあるのです。
  もう一度聞きます。自分だったらどうしますか。」

 すると,クラスの半数の12名が「逃げる」と答え直した。
 自分の弱い心と正対したのである。
 
 ストーリーは次のように続く。
******************************************************************* 
 よしおとたかしは逃げた。
 翌日,神社の境内でおばあさんが転んでけがをしたという噂を耳にして,よしおはドキンとする。
 よしおはたかしのところに行って,どうするか話し合いをした。
******************************************************************* 
 
 ここで,次のように聞いた。
 
 「よしおとたかしは,どんなことを話し合ったと思いますか。」

 子どもたちの意見は次の通りである。

1 謝りに行こう。
2 逃げ続けよう。
3 知らんぷりをしておこう。
4 正直に言おう。
5 お見舞いに行こう。

 子どもたちは理想論から離れ,自分なら実際にどうするかということに置き換えて考えていることが分かる。
 そうでなければ,2や3などの意見は出るはずがない。

 もちろん2や3の意見は,よい考えではない。
 この考え方は,否定されなければならない。

 「よい考え方には○を,悪い考え方には×をつけなさい。」

と指示し,まとめとした。


 道徳の時間になると,子どもたちは突然いい子になる。
 強い心の持ち主となる。

 しかし,実際の生活場面では見られない嘘がまかり通るような授業ではいけないと思う。
 自分の弱い心と真剣に向き合うことも大切であろう。

おばあさんのけが 1

2010-01-12 21:44:35 | 道徳
 道徳で「おばあさんのけが」(1年 日本標準)の授業を行った。

 次のようなストーリーである。
*******************************************************************
 よしおとたかしは,神社の境内で,木に厚紙を吊るして的当てゲームをしていた。
 上手になってきたので,的を厚紙ではなく街灯に変えた。
 すると,街灯にボールがぶつかり,ガラスが割れてしまった。(後略)
*******************************************************************

 ここまでストーリーを確認したあと,次のように問い掛けた。

 「自分だったら,この後どうしますか。」

 「先生が知りたいのは,よしおやたかしはどうするだろうかということではありません。自分ならどうするかということです」と更に念を押して,ノートに書かせた。

 11月29日の本ブログに記した「くまさんのなみだ」の授業でもそうであったように,今回も子どもたちは「理想的な答え」を書くであろう。
 「きれいごと」を書くだろう。
 
 自分の行動と正対せず,理想論に終始しようとする子どもたちの観念をぶっ壊さなければならない。
 
 子どもたちのノートを見て回った。
 やはり予想通りである。

・弁償する。
・おうちの人に知らせに行く。
・神社の人に謝る。
・「ガラスが飛び散っているからあぶないよ」と近くを通った人に教えてあげる。

 いったい何を言っているのだ。
 嘘もほどほどにしてほしい。

 実際にこういう場面になったら,こんなことをする子は少数だろう。

 これらの意見は確かに素晴らしい。
 しかし,これをそのまま肯定したら,嘘で塗り固められた道徳授業になってしまう。
 道徳の時間は,嘘をついてもいい時間であるということになってしまう。

 そこで,対立意見を引き出す。
 R君がただ1人,次のように書いていたので,発表させた。

・逃げる

集団行動のマネージメント 5

2010-01-06 01:04:32 | 体育
6 用具の準備・後片付け

 低学年の場合は,あらかじめ教師が下準備をしておくとよい。

 例えば,マットや跳び箱,カラーコーンなどは必要数だけ出しておき,準備しやすいように配慮していく。
 ボールも種類別にかごに分けておき,その時間に使うボールのかごだけを手前に出しておくとよい。
 
 マットや跳び箱の授業を行う際は,単元の初めに1人1人が何を準備するのかを明確に指示しておく。
 
 また,どこに準備するのかもカラーコーンや紅白玉などを置いて目で見て分かるようにしておく。
 
 「4人でマットの4隅を持つ」「跳び箱の1段目は2人で持つ」など,手順や方法をしっかりと教えておく必要がある。

 「1班と2班,どうぞ」と指示し,頃合いを見計らって3班と4班というように指示していく。

 下準備もしておかないままに,「どこの班がはやく準備できるでしょうか」などとやたらと競争心をあおってはいけない。
 子どもたちが一斉に器具庫へ殺到するような状態は,けがやトラブルのもとになる。

集団行動のマネージメント 4

2010-01-05 23:02:25 | 体育
4 並び方

 並び方には,次のようなものがある。

・背の順
・出席番号順
・普段の教室の座席と同じ並び方
・グループ,チームごと

 通常,最も多く見られるのは,背の順であろう。
 男女混合で4列になることが多い。

 体育授業では,基本は縦隊ではなく横隊である。
 4列で縦に8~10人も並んでいれば,教師の声や目線が行き届かない。
 
 出席番号順で並ぶ利点は,1年間通して固定できることである。
 また,グループやチームづくりも比較的容易である。
 
 私がよく行っているのは,教室の座席と同じ並び方である。
 教室ではさまざまな事情に応じて,座席位置が配慮されているはずである。
 そのままの状態で体育のときも並ばせればよい。
 背の順,出席番号順などの場合は,このような配慮ができない。
 男女も混合であるし,異質グループづくりなども容易にできる。
 また,自然と横隊になるので,声や目線も行き届きやすい。


5 グループのつくり方

 普段の並び方をもとにしてグループをつくっていく。
 32人のクラスであったとしたら,縦に4人,横に8人ずつ並んでいる状態になる。
 4人組をつくるのならば縦の4人,8人組をつくるのならば横の8人とする。
 あとは学習内容やチーム間の技能などのバランスに応じて,若干の入れ替えをしていく。

集団行動のマネージメント 3

2010-01-04 23:38:57 | 体育
2 集合場所

 授業を効率よく進めていくためには,集合場所を決めておくとよい。
 集合場所には,固定的な場所と流動的な場所がある。

■固定的な場所
 ・指揮台の前
 ・砂場の前
 ・鉄棒,ジャングルジムなど前
 ・バスケットボールのサークル など

■流動的な場所
 ・教師の立っているところ
 ・ラインの前
 

3 集合の仕方

 これらの場所に,太鼓を鳴らしたり,笛を吹いたり,声を出したりして集合させていく。
 例えば,バスケットボール野サークルを島に見立てて,次のようにいう。
 
「10秒以内に島に集まります。島から出たら,サメに食べられてしまいます。」

 集まった者から「10,9,8…」とカウントダウンさせていく。教師だけがカウントするのではなく,みんなで声を出すようにさせる。
 
 また,次のような合図を決めておくとよい。

A 教師が座って,両腕を広げる → 座って,両腕の範囲内でバラバラ集合
B 教師が立ったまま,両腕を広げる → 立って,両腕の範囲内でバラバラ集合
C 教師が座って,腕を広げない → 座って,並んで集合
D 教師が立って,腕を広げない → 立って,並んで集合

集団行動のマネージメント 2

2010-01-03 23:35:16 | 体育
1 教師の話し方や声量

 子どもが話に集中しない場合がある。
 それは,教師の説明が長いからであることが多い。
 長すぎて飽きてしまうのである。
 
 研修で中学校の先生の模擬授業を受けたことがある。
 バスケットボールの授業であったが,説明が10分ほど続き,しかも内容が専門的であるので理解できず,集中力を欠いてしまった。
 
 一時一事の原則,簡明の原則にのっとって,指示や説明は短くしなければならない。
 根本正雄氏は「話は1分以内にする」と述べている。

 この模擬授業の際,先生は立って話をし,子役の私たちは体育座りで聞いていた。
 このような状況だと,ずっと上のほうを見ていなければならないため疲れてしまい,集中できない。

 教師もしゃがみ,子どもと同じ目線で話をすることも大切である。

 話が短く,しゃがんで話したとしても,日差しがまぶしければ,子どもは集中できない。
 教師が北側に立ち,子どもが太陽に背を向けるようにして話すとよい。

 声量は大きければよいというわけではない。
 子どもが広がって活動しているような場面では,端まで声を響かせる必要はある。
 一方,集合して全員に説明しているような場面では,むしろ小さい声のほうが集中する場合がある。
 そのためには,教師から3m以内に集めておくことが必要である。

集団行動のマネージメント 1

2010-01-02 23:32:46 | 体育
 『楽しい体育の授業』4月号の原稿依頼をいただいた。
 テーマは「集団行動のマネージメント」である。
 
 体育授業において,マネージメントは大切である。

 高橋健夫氏は,よい体育授業を実現するための条件として,授業の「基礎的条件」と「内容的条件」の二重構造を示している。
 マネージメントは授業の基礎的条件になっている。
 基礎的条件が整っていなければ,内容や教材がいかに優れていても,楽しく優れた授業は成立し得ない。
 
 「材料7分に腕3分」と有田和正氏はいうが,3分の腕がなければ優れた授業にはならないのである。
 
 集団行動のマネージメントには,例えば次のようなものがある。

(1)教師の話し方や声量
(2)集合場所
(3)集合の仕方
(4)並び方
(5)グループのつくり方
(6)用具の準備・片付け
(7)約束や規律の確立