Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

バンクーバーオリンピック

2010-02-28 22:28:00 | 道徳
 バンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケートを,授業中にテレビで見せました。

 「授業でオリンピック観戦とは何事か」とお叱りを受けそうです。

 当初,見せる予定は全くありませんでした。
 しかし,「2組でオリンピックを見てるよ」「3組もだよ」と,子どもから訴えられてしまいました。同じ学年で他のクラスが見ているというのではやむを得ません。どうやら,給食時間,休み時間と,ずっとテレビを見ていたようです。

 テレビをつけると,ちょうど韓国の金妍児選手の演技が終了したところでした。
 タイミングよく,次が日本の浅田真央選手です。

 浅田選手の演技を,食い入るように見つめる子どもたちの表情。ものすごく真剣な目です。
 祈るかのように手を組んで見ている子もいました。
 ジャンプを成功するたびに,子どもたちから「よし」と拍手が起こります。
 バランスを崩すと,「あっ」と悲鳴が聞かれます。
 ジャンプが失敗すると,「がんばれ」と拍手が起こります。

 この様子を見ていて,感動しました。
 浅田選手の演技も素晴らしかったのですが,子どもたちの姿が何よりも素晴らしかったのです。

 授業でオリンピックを見るということについては是非が問われると思います。
 私はどちらかというと非の立場でしたが,今はそうは思っていません。

 これ以上の愛国心教育があるでしょうか。

 道徳の時間などに,どんなに愛国心について語ったとしても,オリンピック観戦にはかなわないと思いました。

うとてとこ

2010-02-27 00:02:46 | 国語
 野口芳宏氏の実践の追試,「うとてとこ」の授業を行った。
 授業参観である。3年前も1年生の授業参観でこの授業を行っている。
 1年生相手に授業するのは,2回目である。

 第3連の最後の1行を創作させた際,次の意見が出された。

 ①たべるんだ
 ②あそんでる
 ③はなししてる
 ④あそぶんだ
 ⑤おままごと
 ⑥うたうんだ
 ⑦あるくんだ
 ⑧はしるんだ
 ⑨なべでにる
 
 消去法によって絞っていった。

 真っ先に消されたのが③である。
 理由を問うと,「リズムが合わないから」「5文字じゃないから」という。言語感覚がしっかりと養われていることが分かる。
 
 次に①②④⑥が消された。
 「ことこと食べる」「ことこと遊ぶ」「ことこと歌う」という日本語はおかしいという。
 
 そして,⑦⑧が消された。
 「とことこ歩く」とは言うが,「ことこと歩く」とは言わないとの理由である。この意見を出した友達は,「ことこと」と「とことこ」を混同しているのではないかというのである。
 
 最後に代表の子に音読させていると,予想外のことが起こった。
 音読のリズムに合わせて数名が手拍子をし始めたのである。
 やがて全体に波及し,最後は全員で手を打ちながらの音読で締めくくった。
 七・五調,八・五調のリズムを十分に味わい,楽しんでいる証拠である。
 今まで何度か行っている授業であるが,このような反応は初めてであった。
 
 初めは分からなかった「うとてとこ」の意味がすっきりと分かるようになる。
 どう読んでいいか分からなかった出鱈目な読みから,望ましい読み方へと変容する。
 リズムや響きを味わう。
 第3連の最後の行を創作し,音数律や文脈に合うように補う。
 
 「うとてとこ」の授業は,まさしく向上的変容が保障される授業であるといえる。

着陸ゲーム 2

2010-02-26 00:07:30 | 体育
 今日は,ゲームを2回行った。

 1回目のゲームの得点は,最高で6点,最低で0点であった。3点のチームが多かった。

 難しいのは,着地である。
 着地の際にバランスを崩してしまうのである。

 着地のときに膝を曲げた方がよいことは,子どもたちは分かっている。
 跳び箱や肋木,雲梯などの授業で経験済みである。
 膝を曲げて着地すると,手を着いてしまうことが多い。
 手を着いてしまうと,今回の場合は0点になる。
 そのため,膝を伸ばしたような状態で着地しようとする姿も見られた。

 しかし,これでは着地が安定せず,危険である。
 そこで,ルールを変更した。

・着地のときに手を着くことを認める。

 2回目のゲームでは,8点満点が1チーム,7点が3チーム,6点が1チーム,3点が1チームであった。
 どのチームも1回目より着地が安定し,得点が向上した(授業後に発覚したところによると,8点満点のチームは遠い輪に入ると3点だと勘違いしていたらしく,実際は6点のようである)。


 島根県の千原一弘氏は,『楽しい体育の授業』№238で,次の発問で動きを変えることができたと述べている。

■走る速さは,速い方がよいですか。遅い方がよいですか。
■着地は,かかとから着地しますか,つま先から着地しますか。
■高く跳んだほうがよいですか。低い方がよいですか。
■着地のとき,膝を曲げたほうがよいですか。伸ばした方がよいですか。

 次回,これらの発問を投げ掛け,効果を確かめたい。

着陸ゲーム 1

2010-02-25 23:04:29 | 体育
 着陸ゲームを行った。今日で2回目である。
 2008年2月の日本体育教育技術学会で,山本悟氏が行った授業の追試である。

 山本氏によると,この運動のねらいは跳び箱へ向かう助走のリズム感や踏み切りのタイミングの取り方を身につけさせることであるという。
 
 私は走り幅跳びにもつながっていくと考えている。
 動きそのものは,ねらい幅跳びである。
 片足踏み切り→両足着地の技能も身につけることができる。

 子どものねらいは輪に着陸して得点をとることであり,教師のねらいは助走のリズムと踏み切りのタイミングである。
 ねらいにはずれがある。
 遊びを通して,技能が身につくようになっている。
 
 ゲームの方法は次の通りである。

(1)3m程度の助走から,横置きに置いた跳び箱の上を片足で踏み切ってジャンプし,マット上の輪に着陸する。
(2)110㎝の位置の輪に着陸したら1点,150㎝の位置の輪に着陸したら2点。
(3)次の条件をクリアーしたときに得点になる。
  ・転ばないで着陸する。
  ・円の中に両足を入れて着陸する。
  ・着陸して3秒間止まる。
(4)1チーム4名で,合計得点で競う。
(5)2名ずつジャンプする係と審判係に分けて,交替して行う。

 山本氏の原実践では助走距離は5mであったが,短めに設定した。
 また,原実践ではマットにチョークで輪を描いているが,ケンステップを置いて目標地点がよりはっきりと見えるようにした。

 簡単そうに思ったが,意外に難しい。

 助走の勢いがつき過ぎると,転んでしまったり手を着いてしまったりして,うまく着陸できない。3秒間止まっているのも難しい。0点になってしまう。
 
 また,片足踏み切りせずに,両足で跳び箱の上に一度乗ってから踏み切る子もいた。
 両足踏み切りを教師が演じ,片足踏み切りの子の示範と比較させることで,違いに気づかせていった。
 練習を繰り返す中で,できない子は少しずつ減ってきた。

「基礎学力を保証する授業研究会in千葉」に参加して 5

2010-02-24 00:14:19 | 教師修業
■講演 向山洋一氏

 教師の仕事は「教えてほめる」ことである。
 これとは逆に「教えないで叱る」教師がいる。
 私も肝に銘じたいと思った。
 
 失敗させていいことは何一つないという。
 これは私も思い当たる失敗があった。
 4年前,開脚跳びの指導の際,失敗を経験させてそれを乗り越える喜びを味わわせることが大切だと考え,あえて向山式指導法を行わなかった。
 結果,跳べない子の意欲はみるみる失われ,向山式で跳べるようになっても喜びは半減といった感じであった。
 エラーレスラーニングが大切である。


■基調講演 根本正雄氏

 根本氏の3年間の学校づくりはすごいと感じた。
 知・体・徳・食の全ての面において,確実な向上が見られるのである。
 しかも,数値化されているので具体的である。
 ユーモアを交えて話されるので,大変わかりやすかった。
 
 体力づくりの面に関して,私も体育主任なので特に関心を持って聞いた。
 19年度はなわとび月間を設定。20年度は鉄棒教室,跳び箱教室を実施したという。そのことによって,持久力や腕支持力の向上が見られたという。
 また,ドッジボール,ソフトドッジボール,サッカーボール,長縄を各クラスに配付し運動の日常化を図ったという。結果として,投力や俊敏力の向上につながったという。
 体育主任がリーダーシップを取り,学校ぐるみで一丸となって取り組む大切さを改めて学んだ。
 
 規範意識を高める工夫も印象に残った。

(1)はまっこ合格認定証
  は はりきって学ぶかしこい子
  ま まじめでやさしい子
  っ つよくたくましい子
  こ こくさいせいゆたかな子

(2)はまっこの挨拶

(3)高浜第一小の10カ条
  ①浜っ子は,あいさつをします。
  ②浜っ子は,ありがとうを言います。
  ③浜っ子は,ごめんなさいを言います。
  ④浜っ子は,うそをつきません。
  ⑤浜っ子は,いじめをしません。
  ⑥浜っ子は,人の物に手を出しません。
  ⑦浜っ子は,時間を守ります。
  ⑧浜っ子は,物を大切にします。
  ⑨浜っ子は,外で遊びます。
  ⑩浜っ子は,清掃をきちんとします。
 
 これらは学校単位でなくても,クラス単位でもできそうである。
 自分の実践に生かせそうである。

「基礎学力を保証する授業研究会in千葉」に参加して 4

2010-02-23 00:15:49 | 教師修業
(3)対応の技術
 百玉そろばんで「カンって聞こえたら言ってね」と指導した。
 しかし,子どもがどんどん言ってしまう場合がある。
 木村氏は途中で玉はじきをストップさせることで習熟を図っていった。

 100ずつ1人1人に言わせていく場面で間違ってしまった子がいた。
 木村氏は「○○ちゃん,本当は2000って言おうとしたんだよな」とフォローを入れていた。

 ドットカードを子どもたちが黒板に間違って貼る場面があった。
 その場面ではそのままにし,子どもたちの気づきを促していった。
 3608を黒板に貼る場面でも,子どもたちは間違っていた。
 それに対して,次のように対応していった。
 指示は「先生が一目でわかるように貼ります」である。

・これ,何個なんですか。
・とても一目で分かりません。
・少し直して,これじゃ分からない。
・どうしたらいいの?近くの人と相談して。
・で,これはいくつになるの。
・(子どもが千の位に1100のかたまりを2つつくる)かたまりが2つあるから2000ですか。
・まだ分からない。
・1000が何個なんでしょ。千の位なんだから。
・百の位なんだから,100が何個なんでしょ。

 教師が一方的に間違いを指摘して直させたのではない。
 子どもとのやり取りを通して深めていったのである。
 子どもがどのような間違いをするか,あらゆるパターンをシミュレーションしてあるから,このような対応ができたのである。

「基礎学力を保証する授業研究会in千葉」に参加して 3

2010-02-22 00:12:25 | 教師修業
(2)ひきこむ技術
 ひきこむ技術としては,教師がわざと間違ってボケ役を演じることと挑発があった。
 このあたりは,有田和正氏の授業にも通ずるところである。

 2354の十の位にわざと「50」と板書し,間違う。
 そして,「50個あるでしょ。50個あるから50って書いたんだよ」と挑発していく。
 子どもは当然ブーイングを言い始める。
 この後の対応は次の通りである。

・ブーブー言わないで説明して。
・もっとズバリ言ってよ。
・5なんだな。何が5なんですか。
・そんなに難しく言わないで。
・ちょっと分かりづらい。
 
 同様の場面は3608の指導の際にも見られた。
 木村氏は十の位は何もないからと,何も書かなかったのである。

・3,6,8。だから,答え368。
・先生はなくてもいいと思う。何もないんだから。
・よし,分かった。先生も正解,みんなも正解ということにしよう。
・何か意見のある人?
 
 このように教師がボケ役を演じれば,子どもがブーイングをしてくる。
 そこをねらって挑発していくことで,子どもをのせ,授業にひきこんでいくのである。
 
 また,このクラスでは子どもが意見を言ったあと,「同じでーす」などと発言するようにしつけられているようであった。
 ある子が誤答を発表したあと,「同じでーす」と子どもたちが言った。
 すると,木村氏は「同じだな。本当に同じだな」と挑発していった。

「基礎学力を保証する授業研究会in千葉」に参加して 2

2010-02-21 00:09:27 | 教師修業
(1)のせる技術
 のせる技術として,ほめ言葉が挙げられる。
 次のようなほめ言葉が発せられた。

・そう!
・ねえ!
・上手だね。数字が大きくて。
・がんばってるな。
・いいよ,いいよ。
・すごい,すごい!
・きれいだな。
・よし。今「です」まで言ったの,えらいよ。
・おっ。速いな,速いな。
・よし。
・スピード違反だな。
・よし,正解。
・すごーい。
・OK。
・そう!
・さすが。
・天才。
・超天才。

 これらのほめ言葉は,一瞬目を合わせて言っている場合が多かった。
 そのため,言葉は宙を漂うことなく,子どもの心に入っていく。

 ノートを教師に見せに来る場面では,ほめ言葉が次から次へと浴びせ掛けられた。
 ノートは全員持ってくるのであるから,全員がほめられたということになる。

 スキンシップを伴う場合もあった。
 「すごーい」と言って頭をなでたり,個別指導の場面でうしろから近寄って赤鉛筆指導をし,「なぞってしっかり書く」と言ったあと,頭をなでて立ち去ったりしていた。スマートボードを使って説明した子に対しては,後ろから肩に手を添えてほめていた。

 挙手させ,「その手を頭の上に乗せて。いい子いい子しなさい」という場面もあった。

「基礎学力を保証する授業研究会in千葉」に参加して 1

2010-02-20 23:55:26 | 教師修業
 2月20日,「第5回基礎学力を保証する授業研究会in千葉」に参加した。
 会場は,根本正雄氏が校長を務める千葉市立高浜第一小学校である。
 1120名の参加があったという。

 1校時の授業は,11の中から1つ選択する。何にしようか直前まで迷った。
 河田氏の道徳,木村氏の算数,椿原氏の国語,関根氏の音楽と,4つが候補であった。
 最終的には道徳と算数にまで絞った。
 席を移動し,チケットを取りに行く時点でも,まだ決めていなかった。
 席を立つころ,「河田先生のチケットが間もなくなくなります」とのアナウンスがあった。一番人気の河田氏の授業をぜひ参観したい。しかし,最終的には木村氏の算数にした。
 理由は,向山型算数が自分の原点のひとつであるからである。原点回帰である。


■木村重夫氏:2年算数「10000までの数」

 木村氏は授業が始まる前に,子どもたちに積極的に話し掛けていた。初対面の子どもの緊張感をほぐしていく。
 さらに木村氏は子どもたちの鉛筆の長さにチェックを入れていた。

 木村氏の授業に,次の教育技術を見た。
(1)のせる技術
(2)ひきこむ技術
(3)対応の技術

野口芳宏氏の指名なし討論批判

2010-02-10 00:57:59 | 国語
 4日の研究授業では指名なし発表があった。
 指名なし発表,指名なし討論は,有効な手段なのであろうか。

 野口芳宏氏は,1998年の日本言語技術教育学会で,指名なし討論について「放牧の授業」と批判したという。石黒修氏の著作『学年別討論の授業 小学3年』(明治図書 2000)にまとめられている。
 次のような批判である。

 基本的に,授業というものは組織されるものであり,成り行き任せではいけない。
 教師は明快にして組織だった授業ができる腕をつけるべきである。

 指名なし討論は,次のような授業である。
(1)基本的に発言したい子が発言する。
(2)教師が筋道を作らない。
(3)偶発的なことを期待して授業を組んでいる。
 
 具体的には,次のようである。

発言したがり屋が発言する。
内気な子は発言しない。
さまざまな情報がコントロールされずに出てくる。
脈絡だって,子ども一人一人が整理しにくい。
発言は行き当たりばったりになる。
場当たり的になる。
成り行き任せに,さまざまな情報が飛び交う。
情報が混乱する。
分かりにくい授業展開になる。
非能率的で,ねらっていることがぼやけやすい。
成り行き任せの授業であって,よくない。


 これらの野口氏による批判は,授業観の問題を含んでいる。
 指名なし討論をよしとするTOSSの先生方との授業観の違いである。
 したがって,指名なし討論が悪いとは一概には言えない。

 ただ,4日の研究授業では,指名なし発表によって情報が混乱し,ねらいがぼやけ,分かりにくい展開になったと,私は感じた。