Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

パイナップルから沖縄を見る 5

2011-06-15 00:00:45 | 社会
 「静かに待っているR君にだけ見せます」と言って,冷静沈着な態度だったR君にだけパイナップルの切り口を見せ,確認させた。

 「中に芯がありました」

 缶詰のように空洞でもないし,タネも見当たらない。

 さあ,子どもたちにとってはいよいよここからがクライマックスである。
 上・中・下の部分に分けて,試食である。

 しかし,ここで問題発生である。
 何人かの子が1人で何個も食べたために足りなくなり,上・中・下の3種類を食べられなかった子が出てきた。

「勝手なことをしているのは誰ですか。
 自分さえよければいいのですか。
 先生なんか芯の部分しか食べていないんだぞ」

 教室に嫌な空気が流れる。
(まずい…。こんなときに説教を喰らってしまうのか…)

 子どもたちがそう思ったときである。
 バッグの中から2個目のパイナップルが登場した。
 「説教ではないか」とびくびくしていた緊張状態の中でオチがつき,ホッとした表情で笑いがこぼれた。
 無事に全員が試食できた。

 どこが一番おいしかったか問うと,真ん中という子と下という子に分かれた。
 これは「おいしさ」の基準が人によって違うからである。
 甘酸っぱいのが好きな人は真ん中,甘いのが好きな人は下を選んだのである。
 
 授業後,切り取ったパイナップルの葉の部分を畑に植えてきていいかという子がいた。
 これは私のねらい通りである。
 自主学習で調べたことで,葉の部分を植えると育ってパイナップルができるということを知っているのである。

 根づいて,ある程度は成長するだろう。しかし,その後はどうなるか。
 成長を観察し続けていくことで,沖縄の気候の特色を実体験からつかむことができる。