Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

説明させる算数 1

2011-04-30 23:49:19 | 算数
 「直方体と立方体の体積」の授業をしている。
 上のような立体の体積を求める問題がある。

 まず,面積のときにどのようにして考えたかを復習した。
 最初にHさんが縦に2つに区切って計算する方法を説明した。

 「今のHさんの説明と同じように言える人?」と聞いた。
 手が挙がらない子がいる。
 「では,もう一度発表してもらいます。聴く人はそれを再現できるようにしなさい」と指示した。
 次は自分が指名されるかもしれないのだから,ボーっとしてはいられない。
 この指示によって,全員が頭をフル回転して,しっかり聴くようになる。

 予告通り,K君を指名して再現させた。
 正確な再現ではなく,K君なりの解釈も入ったが,それもまたよい。

 この方法を「H-K型」と名付けた。

 このようにして,学びを共有化していくことは大切だと思う。

 指名すると,よく「○○さんと同じです」などと言う子がいる。
 そのまま流してしまう先生もいるが,私はそうはしない。
 「○○さんと同じならば,それを再現しなさい」「同じであっても,それをあなたの言葉で言いなさい」と指示するようにしている。
 
 このようにして,上のような6つのアイディアが出された。
 
 これらの考えを体積に応用するのである。
 
 「どのようにして体積を出したらよいでしょうか。図に線を入れて分けたり,補ったりしながら求めます。どのように考えたか,作文しなさい」と指示した。

オリエンテーリング

2011-04-29 12:38:43 | 特別活動
 28日,遠足が行われました。
 5年生は森林公園でのオリエンテーリングです。

 オリエンテーリングのポイントを3箇所設定しました。
 14グループあるので,袋の中に14の課題を入れて置き,通過したら1つ引いて答えるようにしました。
 課題は普通の問題では面白くないので,少し面白いネタにしました。

 1つ目はしりとりです。
 「『○』で始まる言葉から,しりとりで10回つなげましょう」というものです。

 今回はしませんでしたが,もう少し頭をひねらせるために,「最後は『ん』で終わるようにします」とか「『しりとり』→『とりにく』→『にくたい』のように下2文字でしりとりを10回つなげましょう」とすると,知的レベルが上がったと思います。

 2つ目はなぞなぞです。
 簡単なものから難しいものまで,様々なものを作りました。
 頭を回転させ,協力しなければ解けません。

 3つ目は早口言葉です。
 「次の早口言葉を3回連続で言えるように練習します。グループの代表の人を決めます。その人はゴールで先生に早口言葉を言います。合格できなかったら,グループの別の人と交代します」という課題です。

 ・生麦生米生卵
 ・ジャズシャンソン歌手
 ・老若男女
 ・魔術師魔術修業中
 ・青巻紙赤巻紙黄巻紙
 ・除雪車除雪作業中
 ・マグマ大使のママ マママグマ大使
 ・国語熟語述語主語
 ・美術室技術室手術室
 ・ニャンコ 子ニャンコ 孫ニャンコ
 ・親亀子亀子孫亀 親鴨子鴨子孫鴨
 ・坊主がびょうぶに上手に坊主の絵を書いた
 ・ラバかロバかロバかラバか分からないので ラバとロバを比べたらロバかラバか分からなかった
 ・新進シャンソン歌手総出演新春シャンソンショー

 本気で取り組んでいるくだらなさが実によかったです。

空手チョップ走法

2011-04-26 22:28:37 | 体育
 短距離走を行った。
 
 「短距離走で速く走るにはどうしたらよいか」と発問した。
 拡散的な発問である。

 すると,「腕を速く動かす」「ドタドタではなく,ポンポンと走る」「つま先で走る」「手は卵を握るようにする」など,様々な意見が出された。

 「よく知っていますね。いま出たような意見は全部正解です」と全て認めた。
 その上で,「今,『卵を握るように』という意見がありましたが,手はどうやったら速く走れるのでしょうか。では,まず卵を握る方法で誰かに走ってもらって実験します」と言い,H君とC君に校庭半周を走らせた。

 結果は,H君が13秒76,C君が15秒40であった。

 「今度は,違う方法で走ってもらいます。指先をピンと伸ばして走ります。空手チョップです」と言って,再び2人に走らせた。
 指先まで伸ばし,肘を直角に曲げていいフォームで走っている。

 タイムを発表する前に,どちらの方法が速かったと思うか予想させた。
 「卵走法の方が速い」という子がほとんどで,「空手チョップ走法」と予想した子はあまりいなかった。

 結果は,H君が13秒56,C君が15秒05。
 2人ともタイムがよくなった。
 驚き,どよめく子どもたち。
 疲れているはずの2回目の方が速かったのであるから,驚くのも当然である。
 
 指先まで伸ばせば,その分だけ腕が長くなる。
 遠心力が増し,結果として体全体を使って力強く走ることができるのである。

 福島大学の川本和久氏の指導法の追試である。

 「力道山のように空手チョップで走ると,速くなります」と空手チョップの身振りを入れながら説明したが,さすがに力道山は理解できないようであった…。

 その後,全員に空手チョップ走法で校庭半周を走らせてみた。
 タイムは測っていないが,フォームは力強い感じがする。

 授業後,昨年度陸上クラブに入っていたAさんが「スタートのときの前脚を左右反対にすると速くなると教わりました」と言いにきた。
 「いいことを教わったね」と話した。
 利き足を後ろにした方が,スタート時に強くキックできるために速く走れるのである。

文の組み立てに気をつけよう 2

2011-04-24 00:15:21 | 国語
 今度は,漢字を使って文を書いてみます。

 「三.母は笑いながら走る弟を追い掛けた」と板書。
 
 漢字を使って書いたのですが,これも2通りの読み方,意味が考えられます。

 「なるほど」という表情の子と,「よく分からない」という表情の子がいた。
 そこで,「誰が笑っているかがポイントですね」と確認した。

 2通りの文をノートに書きます。
 どこで区切るか,読点を入れます。


 巡視していったが,片方しか書けていない子も数名いた。
 どういうシーンなのか,2つ目のイメージが湧かないのだろう。

 この文ばかりでなく,第1問も第2問にも言えることだが,文字ばかりでなくイラストも提示するとよかった。
 そういう支援があれば,更に分かりやすい授業内容になったはずである。

 まず1人目に発表させた。
「A:母は笑いながら,走る弟を追い掛けた」
 これは誰が笑っているのか確認した。
 
 次は弟が笑っているようにした文を発表しなさい。

「B:母は,笑いながら走る弟を追い掛けた」

 次に教科書にある「姉は嬉しそうに走る弟を眺めている」という文を検討させた。
 教科書にはイラストがついている。

 上のイラストでは,姉が笑っています。
 姉が笑う文になるように,読点を付けて書きなさい。

 
 3問目で方法を理解したので,ほとんどの子は書けた。
 
 今度は下のイラスト。
 弟が笑っているように書きなさい。


 このように,読点をつけないとどちらの意味なのか分からない場合があります。
 小さな読点ですが,きちんとつけて書くことが大切なのです。


 次回は,この文がどんな組み立てになっているのかを考えます。

 最後に板書を消しながら,子どもたちに板書内容を読ませていった。
 ただ消すのではもったいない。
 本時の学習を振り返りながら授業を終えた。

※「第2回仙台模擬授業フェスティバル」における鍛国研仙台ゼミ櫻井智雄氏の実践の追試である。

文の組み立てに気をつけよう 1

2011-04-23 20:11:48 | 国語
 授業参観で,国語「文の組み立てに気をつけよう」(東京書籍5年)の授業を行った。
 「姉は嬉しそうに走る弟を眺めている」というような,どこで区切るかによって意味が違ってくる文を検討していく。

 まずは教科書を使わずにウォーミングアップである。
 
 日記や作文を書くとき,なるべくなら漢字を使いたくないという人?
 いや,積極的に漢字を使うようにしている人?


 黒板に文を書きます。写しなさい。

 「一・ほしいくつある?」と板書した。

 小声で口々に読み出す子どもたち。
 ユーモアたっぷりに「シーッ」と言って,制した。

 この文は2通りの読み方,意味が考えられます。
 ノートにA,Bと書いて,2通りの文を書きなさい。


 机間巡視し,子どもたちの理解度を確認した。
 「くつ」という漢字が分からないというので,板書して教えた。
 
 2名に発表させた。
「A:星いくつある?」
「B:欲しい靴ある?」
 
 2問目です。写しなさい。

 「二.あにがくるまでまっている」と板書した。

 「あー」と頷いたり,「わかった」などと言ったりする子どもたち。

 この文も2通りの読み方,意味がありますね。
 先程と同じようにノートに書きなさい。


 机間巡視した。
 1人1人のノートを確認し,褒めながら巡視していった。
 
 2名に発表させた。
「A:兄が来るまで待っている」
「B:兄が車で待っている」
 
 先程聞いたとき,漢字を使いたくないという人がいましたが,漢字を使わないとどちらの意味なのか分からなくなってしまう場合があるのです。平仮名だけの文では意味が伝わらないのです。

 ここまでがウォーミングアップ。本題はここからである。

赤道の長さは?

2011-04-22 23:28:42 | 社会
 社会で「世界の国々」の授業をしている。
 ここでは,赤道や緯線・経線,北半球・南半球などの用語,六大陸や三大洋の名称,近隣諸国の名称などを子どもたちに習得させていく。
 しかし,これまでは授業内容が活動的なものではなかったこともあってか,子どもたちの目の輝きがいまひとつだと感じていた。

 これではいけない。
 意外に思われることが多いが,私の大学での専攻は社会である。
 社会はもっと楽しい教科のはずである。
 何とかしなければならない。

 前回の授業で,子どもから「赤道はどれぐらいの長さか」という「はてな?」が出された。
 これを生かさない手はない。

 まずは予想させた。
 3億㎞,4億㎞,30億kmなどの意見が出る中,K君が90000㎞,T君が40000㎞という意見を出した。
 他の考えと桁が違うほど短いので,みんな驚いた。
 私もけげんな表情をして,驚いてみせた。

 さて,問題はどうやって調べるかである。
 子どもたちに聞くと,インターネットで調べるとか,地図帳のどこかに載っているのではないかという。
 それでは面白くない。

 地球儀を使うことを知らせた。
 地球儀にも地図と同じように縮尺がある。
 地球儀の赤道を凧糸などで測り取って,計算していけばいいことを教えた。
 子どもたちは「なるほど」「面白そうだ」という反応であった。
 
 凧糸が赤道上からずれないようにセロテープでペタペタ貼りながら作業していく子どもたち。
 このように活動が入ると,やはり表情が違う。生き生きとしている。

 学校にあったのは3000万分の1の地球儀と,2800万分の1の地球儀である。
 3000万分の1の地球儀で調べたAグループは,136㎝だったという。
 一方,2800万分の1の地球儀で調べたBグループは,155cmだったという。
 それぞれ一生懸命に計算していた。
 単位換算が少しあやしかったので私も手伝ったが,Aグループは40800㎞,Bグループは43400㎞ということになった。
 
 「地図帳や資料集のどこかに載っていないかな」と投げ掛けて調べてさせると,「およそ40000㎞」と出ていた。
 
 他の人の予想と比べて桁違いだったT君の予想が,ズバリ的中だったのである。
 これにはみんな驚いていた。

 「およそ40000㎞ということは分かったけれど,正確には何㎞なのだろう」という疑問が残った。

 「はてな?」で始まり,「はてな?」を解決し,また「はてな?」で終わる。 
 これが盛り上がる社会授業の真髄だと思う。

体つくり運動 2

2011-04-21 23:26:32 | 体育
 折り返しの運動は,筑波大学附属小学校などの実践で大変有名である。
 低学年などで基礎感覚を鍛える動きとして大変有効である。

 5年生相手に行ったのは初めてだったが,子どもたちたちの運動能力を把握するのにも有効であった。

 折り返し運動のよいところとして,筑波大学附属小学校の清水由氏は次のようにいう。

 ①すべての子どもに運動する機会を平等に与える。
 ②クラスの子どもの技能差を吸収する。
 ③様々な種類の運動を取り入れることができる。
       『子どもが動く授業マネジメントと折り返し運動』(学事出版)

 また,単純な内容なので,マネージメント効率がとてもよく,学習規律の確立にも有効であった。

 まずはチームづくりである。
 普段の教室の座席と同じように整列させた。
 6人ずつの6列に分かれているのでちょうどよい。
 また,普段の座席位置には様々な配慮がなされているので,効率よく授業も進められる。

 行った運動は,次の通りである。
 ・スキップ
 ・クマさん走り
 ・クモ歩き
 ・うさぎ跳び
 ・アザラシ

 マネージメントとしては,「①ルールを守ること」「②応援をすること」の指導を入れた。

 素晴らしかったのは,応援である。
 運動な苦手な子に,一生懸命に声を掛けている声がたくさん耳に入った。
 最後の1人の子には,みんなで声を掛け,ゴールすると拍手を送った。
 このような温かい雰囲気の中で授業が進むと,子どもたちものって,勢いのある授業ができる。
 
 最後にターザンロープである。

 できるだけ高いところに登ったり,団子虫の姿勢で振ったりする活動を入れていった。
 離れた場所にマットを置き,そこに着地できたら合格という活動も入れた。
 ほとんどの子が合格だったので,更にマットを離したが,これは少し調子に乗り過ぎであった。
 ロープを振るときに勢いを付け過ぎたために,壁に激突してしまう子が数名いた。
 安全への配慮が足りなかった。これは反省しなければならない。
 
 今日の動きの様子を見る限りでは,子どもたちの運動技能は,決して低くはないと感じた。
 これから1年間の子どもたちの伸びが楽しみである。

体つくり運動 1

2011-04-20 23:23:48 | 体育
 体つくり運動の授業を行った。

 初めに見通しを持たせるために,「今日行うのは,太鼓のリズムに合わせての準備運動,折り返しの運動,そしてターザンロープです」と示した。
 見通しを示すことで,不安感を解消し,活動への期待を持つこともできる。

 折り返しの運動とターザンロープというように,通常2つ以上の運動を1時間の授業の中で組み合わせて行うようにしている。
 1つの運動だけで45分間行うと,5時間扱いなら当然ながら5回しか授業できない。
 しかし,20分間で行えば20分×10回となり,長期間にわたって運動を取り上げることができ,体力や技能の向上がより期待できる。
 また,同じ運動を45分間行うと,子どもはだれたり飽きたりしてしまうことがある。
 複数の運動を取り上げることで,気分転換もできる。

 まずは太鼓を使っての準備運動である。子どもたちにとっては初めての経験になる。
 次のような運動を取り上げた。
 ・太鼓のリズムに合わせた走
 ・腕立て回り
 ・スキップ
 ・ブリッジ
 ・ギャロップ
 ・かえるの足打ち
 ・クマさん歩き
 ・かえるのダンス
 ・アザラシ
 ・壁登り倒立

 慣れていない子どもたちは,仲良し同士で固まる傾向がある。
 最初の走の運動でも,仲の良い友達とくっついて一緒に走っている子が多かった。

 そこで,「友達のいないところに走ります」と何度か指示した。
 さらに,太鼓を鳴らし終えて動きを止めたとき,「両手を広げてみなさい。友達とぶつからない人が合格です」と説明した。
 こういった指示を繰り返して,固まって動く傾向は幾分解消された。
 
 かえるの足打ちで,最高に打てたのはK君で5回であった。
 示範させ,みんなで拍手をした。
 「演示した子がいたら,拍手をする」というルールを子どもたちに入れたのである。
 
 また,私が演じる下手な動きと比較させ,「K君の動きはどこがよいだろうか。先生との違いはどこだろうか」と発問した。
 「スタートの姿勢が違う」「腰が伸びている」などのテクニカルポイントを発見させた。
 発問して発見させ,それを試させてみるのである。

 壁登り倒立でも,同様にして「手と手の間を見る」「つま先を壁につける」などのポイントを発見させた。
 ポイントを見つけける前と後では,子どもたちの動きは明らかに違っていた。
 向上的な変容が見られた。

体育授業開き2011 2

2011-04-19 00:46:56 | 体育
 続いて集合の練習である。
 体育の時間でよく使うのは,「整列」よりも「集合」である。
 集合の方がすばやく集まれるからである。
 運動量の確保,学習従事量の確保につながる。

 集合には,次の4つの原則がある。
 (1)場所を示す
 (2)時間を示す
 (3)方法を示す
 (4)最後の行動を示す

      『楽しい体育の授業』№260佐藤泰之氏論文

 場所に関しては,バスケットのサークルを利用した。
 3つのサークルに「ディズニーランド」「ベニーランド」「リナワールド」と命名した。
 そして,「ディズニーランドに集合」のように指示した。

 クラスの人数が36名と多いので,バスケットのサークルからははみ出してしまう。
 そこで,私が両手を広げ「この範囲に入るようにします」と指示した。
 また,3m以内に入るように座らせ,へそを教師に向けるように指示した。

 時間については,10秒以内に集合するように指示した。
 そして,集まった人から私と一緒にカウントダウンをするようにした。
 教師だけでなく,みんなで声を出していく。

 方法については,集合と整列の違いについて説明した。

 最後の行動はカウントダウンと体育座りである。

 場所を変えながら何度か集合の練習を行い,習熟させていった。
 初めはカウントダウンの声を出していなかったが,やり直しをさせていくとできるようになった。
 
 体ほぐしの運動の内容は,新聞を使った体ほぐしの運動である。
 いろいろなネタがあるが,新聞紙リレーを行った。
 お腹に新聞紙をつけ,新聞紙が落ちないようにして走るのである。

 4列で整列させ,チームを作った。
 1チーム9人とやや多めになってしまった。

 1回戦では,腕を振っている子は少なかった。
 新聞を押さえながら走っているような子も見受けられた。
 
 そこで2回戦の前に次のように聞いた。
 「速く走るためには,腕を振った方がよいか,振らなくてもよいか」
 
 発問があるのが,私の体育授業スタイルの特徴である。
 ただ指示通りに運動するのだけではなく,考える体育授業を目指している。
 そういう私のスタイルに慣れさせる必要がある。

 3回戦では,新聞紙をパスするとき手で渡してはいけないというルールにした。
 「どのようにして渡せばよいでしょうか。グループで考えなさい」と発問・指示した。

 単純なネタではあるが,様々な発見もあり,盛り上がった授業になったと思う。

体育授業開き2011 1

2011-04-18 23:43:52 | 体育
 18日,体育の授業開きを行った。
 内容は,「集団行動」と「体ほぐしの運動」である。

 最初にリズム太鼓を使っての準備運動を行う予定であった。
 私の授業スタイルの根幹となる部分のひとつだからである。

 しかし,時間の都合で入れられなかった。
 着替えに予想外に時間が掛かったからである。
 耐震工事が行われており,着替え場所が通常と異なっているためである。
 休憩時間も5分間しかない。
 5分の間に場所を移動し,着替えるのは大変である。
 授業時間を45分確保するのが難しい。

 体育授業を効率よく行うためには,マネージメントが重要である。
 整列や集合で時間が掛かっていては,授業の勢いが失われてしまい,テンポある授業はできない。

 初めに整列を指導した。

 まずは背の順1列である。
 「いちいち身長を測ってはいられないのですから,微妙な場合は大体で並びなさい」と指示した。

 次に1列から2列への隊形移動である。
 本来なら「番号」と号令を掛け,偶数の子が動くように指示すればよいのだが,おそらく今までそのような指導は受けたことはないと思われる。
 そのため,「今から頭を触られる人は何かの合図です」と言って,1人置きに私が頭を触っていった。
 その上で,「触られた人は右前に1歩出なさい」と指示した。
 2列への隊形移動は大変スムーズであった。

 今度は2列から4列である。
 先ほどと同じ要領で頭を触っていき,移動させた。
 これもスムーズにできた。

 なぜスムーズにできたのか考えてみる。

 それは頭を触られたからである。

 番号を言わせて「偶数の人は移動しなさい」とか,1人置きに手を挙げさせて移動させるなどという方法では,すぐには理解できなかったと思う。

 「頭を触られた人は何かの合図です」と言われ,何の合図なのだろうかという期待感を抱いたことと,触られたという触覚からの情報入力があったからこそ,すぐに理解できたのではないかと思われる。
 誰にでも理解しやすい,いわば「整列のユニバーサルデザイン」ともいえる方法である。

 その後,私が場所を移動し,その場にすばやく4列,あるいは2列で並ぶ練習を何度か行った。