Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

前転ボールキャッチ 4

2009-08-26 00:00:35 | 体育
 前転ボールキャッチで考えられるつまずきは,次のような点である。

(1)ボールの位置がわからない
(2)ボールをコントロールできない
(3)すばやい前転ができない
(4)すぐに前転していない


(1)ボールの位置がわからない
 ボールを投げ上げた後,ボールの位置を確認してから前転しては間に合わない。
 したがって,投げ上げたら,ボールの行方を見ずにすぐに回り始めなくてはならない。
 ボールの位置の確認はどこでできるであろうか。
 回転の途中でボールの位置が確認できるはずである。
 順次接触で背中がマットに着いたあたりのときである。
 
 苦手な子は,目をつぶってまわっていることがある。目をつぶっていてはボールの位置が確認できないので,うまくできない。


(2)ボールをコントロールできない
 すぐに回らなければいけないという意識が強すぎて,焦りからかボールをいい加減に投げてしまう子がいる。
 また,ボール投げが苦手で,ねらった位置に投げられない子もいる。
 どこを目標にするか,しっかりと位置を確認しておくことが大切である。

 ボールを持たずに前転して,前転の終了位置を確かめる。そこに目印として帽子を置き,そこを目指して山なりにボールを投げる練習をさせていく。

 どんなボールを選択するかということも大切になってくる。


(3)すばやい前転ができない
 ボールを正確に投げ上げ,位置を確認しても,前転が遅くてはキャッチすることが難しい。

 1つ目は,頭をつけないで前転することである。

 2つ目は,脚の蹴りを強くすることである。
 ただし,そのときに着手位置が手前すぎると倒立状態になり,倒れて背中を打つ危険性がある。
 
 3つ目は,着手位置を遠くにすることである。
 そうすれば手の間に頭が入るので,倒立になる危険性は減る。


(4)すぐに前転していない
 いつまでもボールを見ている子かいる。
 すばやく前転動作に入るように声掛けをしていく。
 ボールの行方を追わずに回り始めなくてはならない。

前転ボールキャッチ 3

2009-08-25 22:52:43 | 体育
 前転ボールキャッチは,難易度が高い技である。

 「寝てキャッチできたら1点」「起きてキャッチできたら2点」という方法だけでは,達成感が得られにくい。何回挑戦してよいかもわからない。

 アプローチとして考えられるのは,10回挑戦して,何回できるかというものもある。
 寝てキャッチしたら1点,起きてキャッチしたら2点のルールと併用すれば,最高が20点である。

 また,用具の工夫も考えていく。
 ボールといっても,さまざまな種類がある。ボールの種類によって難易度が違ってくる。
 
 例えば,次のような用具が考えられる。
・ソフトバレーボール
・ドッジボール
・ビーチバレーボール
・ハンドベースボール
・紅白玉
・ピンポン玉

 軽くて滞空時間が長いものを使えばできやすい。その観点から考えると,風船も有効である。
 
 ただし,軽すぎるボールや風船は,投げ上げてもねらったところに飛んでいかない可能性が大きい。

 今日,実際に試してみた。
 試してみたのは,ソフトバレーボール(ビニール製)20g,30g,50g,100g,ソフトバレーボール(ゴム製),ドッジボールである。
 一番よかったのは100gのビニール製ソフトバレーボールである。
 それより軽いものは,滞空時間が長いものの,投げ上げた後に横の方に流れていくなどして,ねらったところに投げることが難しかった。
 ドッジボールの場合は重いので,落ちてくるときにやや恐怖感があった。
 ボールを選択させてみるのも面白い方法ではある。

 苦手な子は大きめの風船から始め,少しずつボールを重くしていってもよいかもしれない。

前転ボールキャッチ 2

2009-08-24 22:56:02 | 体育
4 結

 最後は「探究」である。
 「ほかに○○してボールをとる動きは考えられないだろうか」と投げ掛ける。

 桐蔭横浜大学の松本格之祐氏は,次のような学習カードをつくっている。

  種目              得点
前転(寝てキャッチ)        1
前転(起きてキャッチ)       2
馬跳び               2
馬跳び2回(向きを変えて往復)   5
側方倒立回転            5
ハンドスプリング         10
前転2回転            15
後転               15
「     」          ( )
「     」          ( )
合計(自分の得点)
チームの合計得点
クラスの合計得点
 
 カードがあることにより,学習の見通しが持てるのに加えて,授業のシステム化が図られる。
 教師の指示がなくても,カードにしたがって自動的に学習に取り組んでいける。

 このカードの優れている点は,得点化である。
 得点化することにより,意欲が増し,達成感が得られる。
 できる子はどんどん難易度の高い種目に挑戦していく。

 また,自分の得点ばかりでなく,チームの得点,クラスの得点の記入欄があることも素晴らしい。
 グループで協力し,教え合いながら練習していくことで,連帯感が築かれていく。
 グループやクラスの得点に貢献したということで,存在感が得られる。
 達成感,連帯感,存在感を味わうことで,クラスの一体感が育まれていくシステムになっている。

前転ボールキャッチ 1

2009-08-23 21:48:25 | 体育
 前転ボールキャッチの授業を考える。
 対象は,前転の技能を身につけた高学年である。

 授業の構成は次のようになる。
 
 起【習得】… 前転
 承【習得】… 連続した前転・素早い前転
 転【活用】… 前転ボールキャッチ
 結【探求】… ○○ボールキャッチ


1 起 

 「習得」にあたる。
 まずは前転である。これが基礎技能になる。
 後頭部→背中→腰の順次接触の技術が身につけられるようにする。
 そのためには,自分の体から遠くに手をついて,腰角度を大きくさせていく。

 また前転ボールキャッチで大切なのは,手を着かずに立ちあがる技能である。
 回転の終末局面で,一気にお尻とかかとを近づけるようにし,手を前に出すようにさせていく。


2 承

 「習得」にあたる。
 前転ボールキャッチができるようにするには,安定した前転ができなければならない。
 まずは連続した前転である。安定していなければ,連続して行うことができない。

 また素早い前転も大切である。素早く前転できなければ,ボールをキャッチすることができない。
 ペアで前転競争を行うことで,楽しみながら練習させていく。


3 転

 「活用」である。
 いよいよ前転ボールキャッチの練習に入る。
 ソフトバレーボールのように,軽くて滞空時間の長いボールを使うようにする。

 まずは,前転して友達に投げてもらったボールをキャッチする。
 その後,自分で投げて練習する。
 しかし,すぐにはうまくできないであろう。

 「どのようにしたらうまくできるだろうか」と発問したり,上手な子の動きを見せて「どこがよいのだろうか」と発問し,ポイントを引き出していく。論理的思考力につながる。

 次のようなポイントが考えられる。
 ・すばやく前転する。
 ・ボールをしっかりと見る。
 ・ボールを高く投げ上げる。
 ・前転が終わる位置あたりにボールを投げる。

走り幅跳びの基礎技能

2009-08-22 00:15:40 | 体育
 走り幅跳びの基礎技能として,根本正雄氏は次のように挙げている。

(1)川跳び
(2)輪跳び
(3)立ち幅跳び
(4)跳び箱からの走り幅跳び
(5)ロイター板からの走り幅跳び
(6)踏み切り板からの走り幅跳び

 川跳びは地面にラインを引き,連続して跳んでいく。
 川幅を変えておき,自分の跳びやすいところ選択させる。そこが跳べるようになったら,もう一段階広い幅のところに挑戦させていく。
 踏み切りは右足だけでなく,左足でもできるようにする。両方の足で踏み切れるようにしていく。

 輪跳びは,輪を使ってのケン・パー跳びなどを行う。
 基礎感覚では片足でリズムカルに跳べればよかったが,基礎技能づくりでは膝の沈み込みができるようにしていくと,根本氏はいう。
 上に跳ぶためには,一度沈み込むことが必要である。
 輪跳びで沈み込みができるようにするには,連続跳びをさせるとよい。輪の間隔を広げるとよい。広げた輪を跳ぶには,膝を深く曲げなければならない。
鬼ごっこをしたりジャンケンゲームをさせたりしていく中で身につくようにさせていくとよい。
 これは「グリコじゃんけん」でも身につけさせることができそうである。

 立ち幅跳びでは,膝の沈み込みと両手の振り上げを意識して跳ばせることが大切である。
 立ち幅跳びによって,走り幅跳びの空中フォームができていく。

 走り幅跳びに入る前に,「跳び箱の台→ロイター板→踏み切り板からの走り幅跳び」を経験させておく。
 踏み切りが平面よりも高さがある方が,強く踏み切れる。
 しかも,引き上げ足が高くなるので,空中でのフォームもつくりやすい。

 このような基礎感覚,基礎技能づくりを,ゲーム化して低学年からきちんと指導していくことが大切である。

走り幅跳びの基礎感覚

2009-08-21 22:12:24 | 体育
 走り幅跳びは,「助走-踏み切り-空中姿勢-着地」からなる。
 根本正雄氏は,基礎感覚をそれらの観点から見て,次のようにまとめている。

(1)リズムのある助走………リズム感覚
(2)片足で踏み切る…………跳感覚
(3)空間に体を投げ出す……平衡感覚
(4)両足で着地する…………平衡感覚

 助走で大切なのはリズムである。
 スピードがあれば記録が伸びるというわけではない。
 リズムのある助走をするには,低学年のうちからリズム感覚を育てておく必要がある。
 走り幅跳びでは,「ト・ト・トーン」の3歩助走から始め,「トン・トン・ト・ト・トーン」の5歩助走,7歩助走…と進め,最終的には「トン・トン・トン・トン/トン・トン・トン・トン/トン・トン・トン・トン/ト・ト・トーン」と15歩程度の助走にしていく。

 踏み切りは,片足で行う。片足での跳感覚が必要になる。
 普段の生活の中では,片足で跳ぶという経験はない。
 したがって,体育授業の中で,片足で跳ぶ動きづくりをしておく必要がある。
 片足踏み切りの感覚づくりには,「グリコじゃんけん」が有効である。

 踏み切った後,体は空中に投げ出される。空間での平衡感覚が必要になる。
 空間でバランスが崩れてしまったのでは遠くに跳べない。空間でのバランス感覚を育てていく必要がある。
 一般に小学校段階ではかがみ跳びが多い。その場合,空中姿勢は「く」の字形になる。

 最後は着地である。
 着地は両足で行い,安定した着地が求められる。
 つまり平衡感覚が大事なのである。
 着地時の姿勢は「ん」の字形になる。
 この感覚づくりにも「グリコじゃんけん」が有効である。

 日常的にこれらの基礎感覚を養っていくために,次のような運動を反復して取り上げていくとよい。

 リズム感覚
 ・スキップ
 ・ギャロップ
 ・リズムなわとび

 平衡感覚
 ・片足立ち
 ・ケンケン跳び
 ・平均台遊び
 ・片足ずもう

 跳感覚
 ・両足跳び(カンガルー)
 ・ケンパー跳び
 ・スキップ
 ・ギャロップ

肋木の授業づくり 3

2009-08-20 02:01:47 | 体育
 文部科学省から発行されたパンフレット『多様な動きをつくる運動(遊び)』では,動きのポイントとして次のものが挙げてある。

・親指をかけてしっかり握る。
・足をかける場所をよく見て移動する。
 
 1つ目は,安全な握り方である。
 子どもたちの様子を見ていると,5本の指をそろえて握る子がいる。これはつまずきである。
 親指を掛けてしっかり握るようにさせる。
 
 2つ目は,安全な足の掛け方である。
 足を正しい位置に掛けられなければ移動できない。
 どこに足を掛けるかしっかり見るようにさせる。
 
 そのほかに,私は次のものを考えている。

・安全に着地する。
・しっかり握ってぶら下がる。

 3つ目は,安全な着地である。
 膝のクッションを使わずに,ドタッと跳び下りる子がいる。
 膝をしっかり曲げ,トンと下りるようにさせる。
 跳び箱運動などにもつながっていく動きである。
 
 4つ目は懸垂力・握力である。
 しっかりぶら下がる,ぶら下がりながら移動する,いろいろなポーズでつかまりそのポーズを保つためには,懸垂力・握力が必要である。
 腕支持の技能にもつながっていく。
 
 まとめると,次のようになる。

○安全な握り方
○安全な足の掛け方
○安全な着地
○懸垂力・握力
 
 これらをしっかりと身につけさせることが「習得」となる。

 「活用」としては,ゲーム化が考えられる。

 『多様な動きをつくる運動(遊び)』では,「ゲームをしてみよう」として次の動きが紹介されている。
 
 2つのグループで対戦。
 ジャングルジムや肋木につかまり,隣のチームと足じゃんけん。
 勝ったら次の人に交代。
 負けたら残る。
 先に全員交代したチームの勝ち。
 

 桑原和彦氏の授業展開を,習得・活用に分類すると(はっきりと分けられないものもあるが),次のようになる。

●習得…①②③④⑤⑥⑨⑩⑭⑮
●活用…⑦⑧⑪⑫⑬


肋木の授業づくり 2

2009-08-19 01:59:32 | 体育
 『学習指導要領解説体育編』にある肋木に関する記述は,次のとおりである。

■第1・2学年
B 器械・器具を使っての運動遊び
ア 固定施設を使った運動遊び
 ジャングルジムや雲梯,登り棒,肋木,平均台などで,いろいろな登り下りや懸垂移行,渡り歩きや跳び下りをして遊んだり, 逆さ姿勢などをとって遊んだりする。
[ 例示]
 ○肋木を使った運動遊び
 ・登り下りや懸垂移行などをすること。

■第3・4学年
A 体つくり運動
イ 多様な動きをつくる運動
(イ)体を移動する運動
 速さ・リズム・方向などを変えて,這う,歩く,走る,跳ぶ,はねる,登る,下りるなどの動きで構成される運動や一定の速さでのかけ足などの運動を通して, 体を移動する動きを身に付けることができるようにする。
[例示]
 ○登る,下りるなどの動きで構成される運動
 ・ジャングルジムや肋木に姿勢を変えながら登ったり,下りたりすること。


 これらから読み取れるキーワードは,
・登り下り
・懸垂移行
・渡り歩き
・跳び下り
・速さ・リズム・方向を変える
・姿勢を変えながらの登り下り
 
 これらで重要な動き,テクニカルポイントは何であろうか。

肋木の授業づくり 1

2009-08-18 23:56:32 | 体育
 桑原和彦氏の肋木の授業の流れは,次のとおりである(約30分の模擬授業)。

①高いところに上ってタッチし,次の人と交代する。グループでの競争。

②高いところに上り,みんなのほうを向いて,跳び下りる。個人。

③「とてもいい下り方がある」と示し,テクニカルポイントを見つける。
 ・下りた瞬間に顔を前に向けている。
 ・下を向くと,前につんのめることがある。

④②より少し高いところに上って跳び下りる。
 テクニカルポイントに沿って,見ている人が○×で評定する。ペア。

⑤セーフティマットを用意し,さらに高いところから跳び下りる。
 ○×で評定する。相互評価。

⑥自転車こぎを10回する。個人。

⑦ぶら下がって,次の人とじゃんけんをする。
 勝つまでぶら下がり続け,勝ったら交代する。3連続で負けたら交代してよい。ペア。

⑧1人がぶら下がる。次の人がボールを投げる。そのボールを足でキャッチする。ペア。

⑨横に移行して渡る。個人。

⑩上下にジグザグに動いて移動する。個人。

⑪人をくぐったり,乗り越えたりしながら移動する。みんな。

⑫右側,左側から同時に出発し,すれ違いながら移動する。みんな。

⑬「飛行機」をつくる。「1・2・3・4」で飛行機,「5・6・7・8」で縮む。「2・2・3・4」で反対向きの飛行機,「5・6・7・8」で縮む。個人。

⑭肋木のぼり倒立をする。手を着く位置によって,A・AA・AAAと評定する。個人。

⑮拍手を何回できるかに挑戦する。個人。


 基本的には個人での活動となっている。
 関わり合いを持たせるために,次の手法が用いられている。

●グループでの競争……………①
●相互評定………………………④⑤
●ペア活動………………………⑦⑧
●スキンシップ…………………⑪⑫
 
 基礎感覚との関係から見ると,次のようになっている。

●高さ感覚……………………①②④⑤
●腕支持・逆さ感覚…………⑭
●平衡感覚……………………⑬⑮
●懸垂…………………………⑥⑦⑧
●渡り歩き……………………⑨⑩⑪⑫


1年 幅跳び遊び 3

2009-08-11 00:13:39 | 体育
2 助走→片足踏み切り

 助走→片足踏み切りの技能を楽しく身につけさせるには,「グリコじゃんけん」がある。

 2人組になって,スタートラインに並ぶ。
 じゃんけんで勝った子は,グーで勝ったら「グ・リ・コ」,チョキで勝ったら「チ・ヨ・コ・レ・イ・ト」,パーで勝ったら「パ・イ・ナ・ツ・プ・ル」と大股走で進む。
 最後の着地は両足で着地するようにする。
 10mほど離れた折り返しラインまでたどり着いたら戻る。戻ってスタートラインに辿りついたら1点とする。
 制限時間内で点数が多いほうを勝ちとする。

 意外にできない子が多いのは,両足着地の技能である。
 教師は上手な子をしっかりと見ておく。そして,次のように問う。

「○○君の動きはどこがよいのでしょうか。」

 「遠くに跳んでいる」「膝を曲げて着地している」「両足で着地している」などの意見が出る。

 意見が出ないときは,教師が下手な動き(片足着地)を演示して問う。

「○○君と先生の動きは,どこが違うのでしょうか。」



3 折り返しリレー

 ケンパーや幅跳び,障害走などの感覚を取り入れた折り返しリレーを行ったことがある。
 これは活用にあたる。

 往路はケンパーのリズム走→倒したカラーコーンを跳ぶ→幅跳びとコースを設定し,復路は走って戻り,次の子とタッチする。

 アンカーがゴールしたら,チーム全員で「フィニッシュ!」と叫ぶ。
 みんなで応援していく中で,チームの一体感が育まれていく。