Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

公的話法

2010-08-14 00:01:48 | 国語
 私的話法と公的話法の特徴を挙げると,次のようになる。

 私的話法 
 ・日常的
 ・生活的
 ・個人的
 ・私人的
 ・個性的
 ・性格的

 公的話法
 ・非日常
 ・職務的
 ・社会的
 ・公務的
 ・標準的
 ・技術的
 
 授業中に子どもたちが話すとき,話したいように話すのではいけない。
 教師は私的話法を使わせるべきではない。

 野口芳宏氏は次のように言う。
 
 教室で話す時,授業で発言する時,教室で音読する時には「公的話法」「公的音読」を用いよ。私的話法,私的音読は不可である。このような指導を徹底するだけでも子供の「伝え合う表現スキル」は一変する。(『実践国語研究』2010年1月号)

 私が現在担任している3年生のクラスの実態はどうかというと,授業中に関しては丁寧な言葉遣いで話している子が多い。
 授業中ばかりではない。私に対して話すときは大半の子が敬語を使っている。

 これは言語環境との関係があるだろう。
 私は教室では丁寧な言葉遣いで話している。
 授業中,休み時間に関わらず,子どもに対しては「~です」「~ます」と話している。
 
 これは一見すると不自然な光景であろう。
 子どもにとっては,とっつきにくい先生であるかもしれない。
 だが,私のキャラクターもあるのだろうが,実際はそのような受け止められ方はしていないようである。
 
 公的話法は非日常的なコミュニケーション,社会的なコミュニケーションなのである。
 教師が自ら範を示す必要がある。
 しかも,徹底していかなければならないのではないだろうか。
 教師が私的話法を用いれば,たちまち公的話法は崩れていってしまうだろう。
 
 言葉遣いはよい。公的話法に関して,私のクラスでは次のような課題がある。

・声が小さい。
・公的話法で話し合えない。

 これらは他者意識の欠如が原因であるといえる。
 「声が届かなくても別に構わない」「話したいように話せばよい」というような潜在意識があるのではないだろうか。
 相手の立場を考えないから,このような実情になってしまうのである。
 子供たちの公的話法のスキルをさらに高める指導が必要である。 

言語活動の「充実」

2010-08-13 00:10:31 | 国語
 「言語活動の充実」は学習指導要領改訂の大きな特色である。

 言語は「行動」「活動」を伴ってこそ意味をなす。
 文字として書かれたり,音声となって発信されたりして初めて意味をなす。
 したがって,言語力は「活動」することによって形成されていくことは間違いないことである。

 しかし,「活動していれば力がつく」というものではない。
 言語活動の場を保障しただけでは,言語力は身につかない。

 「言語活動」をすればよいのではない。
 「活動」を通して「指導」するのである。
 「指導」によって,「充実」を図っていくのである。

 言語活動には「話す」「聞く」「書く」「読む」の4つが考えられる。
 日常的に最も機会が多いのは,いうまでもなく「話す」「聞く」である。
 しかし,これらの指導は活動主義的,経験主義的であるというのが実情である。

 「充実」を最も手堅く具現化するための手立てとして,野口芳宏氏は3点を提言している(『国語教育』2008年11月号)。

(1)ずばり一言で
 「ずばり一言」で問いに答えられるよう仕向けていく。
 分かっていないから長くなり,長くなるから分からなくなる。
 言えない子には教師がモデルを示す。

(2)「公的話法」で
 「私的話法」は生活話法であり,日常話法である。相手との距離は近い。
 一方,「公的話法」は教室話法,学習話法といえる。
 「常より大きく,常よりはっきり,常よりゆっくり」と野口氏は言う。
 「不自然な話し方をせよ」「価値ある無理」をして話せと言う。

(3)聞き手の反応を読みながら
 話すことの目的は,相手に自分の考えを「伝え,届け,受け止めさせる」ことである。
 そのためには相手の目を見たり,相手の表情を読んだりすることが必要になる。
 話しさえすればいいのではない。

野口芳宏氏の教師修業論を聞いて

2010-08-11 00:00:11 | 教師修業
 これらの野口先生の教師修業論を聞いて,私と共通していることが多いと感じた。
 当然である。
 私は野口先生からも学んできたのであるから。

「属する」
 最初は,「スタートライン」というサークルへの加入であった。
 他律による自律である。
 サークルに入らずに自由に学んでいたら,現在の自分はない。
 今では自分のサークルを持つようになっている。
 
「出掛ける」
 身銭を切って学んでいる。
 近ごろは金銭的には苦しいが,学べることが何よりも楽しみなのである。

「問う」
 セミナーに出て,参加するだけというのは少なくなってきた。
 自分がセミナーの授業者であるということも少なくない。
 授業をした自分が一番学べるということを実感している。
 
「まとめる」
 セミナーに参加したら,必ずまとめることにしている。
 まさに本ブログがそうである。
 
「実践する」
 体育の雑誌論文を書くことが多いが,私が書いている内容は,全て実践を通したものである。
 
「発表する」
 体育雑誌,算数雑誌などに論文を掲載していただいている。
 
 こうして見てみると,恵まれた教師人生を送っていることを実感する。

野口流 人間修業・教師修業

2010-08-10 23:31:40 | 教師修業
 野口芳宏先生がサインを求められて書く言葉のひとつに「虚往実帰」がある。
 謙虚な気持ちで学びに行き,帰りには実り豊かにして戻れる。これが修業の本質であるという。
 
 もうひとつは「感謝」である。
 自分が今あるのは,全て人さまのお陰であるという。

 ものの見方・考え方「観」を磨くことが,人生の幸・不幸を決める。
 「創業は易く,守成は難し」という言葉がある。
 「守成」とは換言すれば継続のことである。継続していると力が高まる。続けていれば進歩する。

 努力には2つあり,「迄の努力」と「からの努力」である。
 「~するまでは」と努力する人は多い。しかし,本当に大切なのは「からの努力」である。

 野口先生は教師修業の6つの段階について,次のように説いた。

1 属する

 属さないということは個人で努力する,自立するということである。
 属するということは会員になるということである。サークルに入るということである。
 野口先生もかつては自律を目指して努力したのだが,できなかったという。
 そこで至った境地が「他律的自律」である。
 属すことによって,つまり他律によって自律するのである。
 また,野口先生は「頼まれたら断らない」ということを信条としてきたという。


2 出掛ける
 
 民間の研究会に出るには,時間と金が必要である。これを惜しんでは駄目である。
 教師人生を楽しむことにつながる。
 また,研究会では様々な人との出合いがある。


3 問う

 研究会に出掛けても,受け身ばかりでは学びが深まらない。
 こちらからも発信することで学びが深まる。質問をするなど,何か発言することが大切である。
 反響があって面白く,それが自分の学びとなる。


4 まとめる 

 勉強しっ放しでは学びにはならない。
 「経験は意図的に積み,それに整理を加えなければ実力にはならない」
 野口先生が高橋金次先生から教わった言葉である。


5 実践する

 実践をくぐらせて理論を導く。
 実践がなければ空論である。
 野口先生は74歳の現在も,授業をしている。74歳で現役という先生は,ほかにいないのではないかと言っていた。


6 発表する

 発表するということは,異論・反論・批判を受け入れるということである。

体育授業のユニバーサルデザイン

2010-08-05 23:35:05 | 体育
 7月26日,「TOSS体育全国セミナー」に参加した。
 今回のテーマは,「特別支援に対応する体育授業の提案!」である。いわば「体育授業のユニバーサルデザイン」の提案である。

 合計17本の模擬授業から見えた「体育授業のユニバーサルデザイン」のキーワードを,自分なりにまとめてみた。

1 示範する

 示範することによって,目で見てわかるようになる。動きのイメージをつかませることができる。
 よくわからなくても,真似していくことで授業に参加できる。


2 視覚的に伝える

 ビブスではっきりとチーム分けをする。
 コーンやラインなどで並ぶ場所をはっきりと示す。
 順番がはっきりするようにする。


3 言葉を削る

 あれこれ説明してはいけない。
 そのためにも実際に動きで見せることが大切になる。


4 見通しを持たせる

 全体像を示したあとに活動に入る。
 1つの活動は短く区切る。部分に分けて指導する。
 何をしていいのか分からない,いつまで続くのか分からないのでは,見通しが持ちにくい。不安になり,飽きてしまう。


5 一時一事での指示や説明

 一時一事の原則に従って,短く端的に伝えていく。
 

6 変化のある繰り返し
7 スモールステップ


 ルールを簡易化するなどし,易から難へとステップを踏んでいくようにする。
 そして,少しずつ変化をつけていくようにする。


8 リズム言葉
 言葉で動きの原理を説明するのではなく,リズム言葉,イメージ言葉で伝えていく。


9 エラーレス

 誰でもできる簡単なことから始める。
 誰でも得点したり,達成感を得たりできるよう,用具やルールを工夫する。


10 温かい雰囲気づくり

 教師からはもちろんのこと,仲間からも温かい言葉を掛けていく。
 親和的な雰囲気の中で学習が進められるようにしていく。